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遺跡に眠る謎と託された想い

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遺跡に眠る謎と託された想い

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第七章 託された想い

「それじゃあ、さっそく……あの剣はなんだろうねっ!」
マーガレッドは台座に刺さっていた剣に向かった。

「……めて……れ……」

「えっ……?」
御凪真人は何か懇願するような声を聞いた。
「今の声はどこから……?」

「……やめて……れ」

「!? マーガレットさん、だめです!その剣を引き抜いてはいけません!」
真人はそう叫ぶと剣に触れようとしていたマーガレットはその場から離れた。
「どうしたの真人?」
「みなさん静かに……なにか聞こえませんか?」
そういうと一斉に静かになり皆は耳を澄ませた。

「……やめてくれ。俺たちはもう戦いたくない……」

「もしかしてこの声は……」
真人が振り向いた先には先ほどの戦闘で動かなくなったガーディアンの姿があった。
「これ以上俺たちを……兵器にしないでくれ……俺たちは誰も殺したくない……」
その声は紛れもなくガーディアンから発せられていたものであった。
「ねぇ、真人。兵器にしないでくれってどういうこと?」
「わかりません……」
マーガレッド達はどういう意味なのかさっぱり分からないでいた。

「……鍵を……この兵器を封印する鍵を抜かないでくれ……」

「まさか……!?」
真人は先ほど抜かれようとしていた剣を見た。

「もしかしてあれが鍵……? けれど鍵とはどういうことでしょうか……」

「鍵が抜かれれば……この兵器が再び動き始めてしまう……俺たちはもう殺したくない……」

その言葉でメシエはどうやらこの遺跡の正体がわかったようだ。
「……もしかしてだが、古時代には非人道的な研究がされていた施設があるという噂があった。その中にも人の命を利用した兵器が研究されていた、というのもあったな」
「メシエさん、もしかしてそれが」
「あぁ、この遺跡で研究されていたのかもしれないな。それならそのガーディアンの言っていることは辻褄があう」
「けれど、それならどうしてガーディアン達はあたしたちを襲ってきたの?もうこれ以上苦しみたくないならこの遺跡を守るのにそこまでしなくても……。もしかしてその研究で強制されていたとか……?」
マーガレットは不思議そうな顔で質問した。それに答えたのは真人であった。
「メシエさんの言っていたことが正しければ、きっとこのガーディアン達は僕達を守ってくれていたのかもしれませんね」
「えっ、真人どういうことなのっ?」
「この遺跡を守る者がいなければ今頃鍵は抜かれ、この施設は再稼働していたかもしれません。そうすると多くの命を犠牲にして、多くの人を殺す研究が進んでしまっていたでしょう」
「……そっか。そうなんだね」
そういったマーガレットの頬には一筋の涙が流れていた。
「きっとこのガーディアンは後世を生きる俺達の為に、魂を機械に縛り付けてでも鍵を守ろうとしていたのですね……」
「じゃあ、回復魔法が効いたのって……」
「機械と魂のつながりを断ち切る物だったから効いたのかもしれません。一種の怨念のようなものですからね」
そういうと奥山沙夢はなにか心あたりがあったようだ。
「そういえば、道中に倒したゾンビたちはありがとう、と言っていましたね……」
そう沙夢が発言するとメシエはどこか悔しそうな顔で
「ゾンビたちは兵器に命を狩りつくされた人間の末路なのかもしれんな。だからあのようなまっとうな死に方をしなかったんだろう」
と、沙夢に返答していた。
「そんな……そんなのあんまりですわ……」
「沙夢……そんな悲しそうな顔しないで……!」
そう弥狐がいうと倒れたガーディアンの前に立ち魔法を詠唱し始めた。
「弥狐? なにをするつもりなのかしら?」
「あの人たちの想いと願いはあたしたちがここでちゃんと聞いたでしょ?だからもうゆっくり眠らせてあげようよ」
そういうと弥狐はガーディアンに向けてヒールを放ったのである。
「もう大丈夫だよ。あとはあたしたちに任せて……だからおやすみなさい」
ガーディアンはまるで憑き物が取れたようで少しずつ粒子化し始めた。

「……ありがとう。後世を生きる者たちには俺たちのような苦しみを味わって欲しくなかったんだ」

「うん、そんな人たちを生み出さないようにみんなで頑張るよっ!」
弥狐がそう返答するとガーディアンは少し微笑んだように見えた。

「……そうか。それと……」

ガーディアンは加夜とセレスティア、そして弥狐の方を向き

「俺たちの魂を救ってくれてありがとう……」

ガーディアンを強い光が包み込み、

「………後は任せたぞ、後世を生きる者たちよ」

そう言うと、ガーディアンは光となって消えて行った。
「……後は俺たちに任せてください」
こうして彼らの遺跡でも冒険は終わりを告げたのであった。