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リアクション
■空中要塞との戦い2
一方そのころ、空中要塞の周りでは。
曖浜 瑠樹(あいはま・りゅうき)と
マティエ・エニュール(まてぃえ・えにゅーる)が、
別々の光る箒に乗って接近していた。
「敵さんも必死だねぇ……大国なのにどうしてそんなに焦るんだろ?
どの道、シャンバラに被害が及ぶ前に……食い止めるしかないだろうねぇ!」
瑠樹が、空中要塞を見上げながら言った。
2人が行っていたのは、ワイヤーについての調査だった。
「すでにわかってるけど、
ワイヤーは切断は可能……じゃあ、無限増殖したりはするのかなぁ?」
瑠樹が、仲間と携帯で連絡を取りあいながら、
ワイヤーの特徴を確認した。
「りゅーき、やっぱり増えてるみたいです!」
マティエが、パートナーに注意を呼びかける。
「だとしたら、ここに長居する必要はないよねぇ!」
瑠樹とマティエが、光る箒を翻して、撤退した。
生身のメンバーが、全員、空中要塞を離れたのを確認した後、
天御柱学院の学生を中心としたイコン部隊が、
空中要塞を取り囲んだ。
どことなく神々しさを感じさせるイコンとは異なり、
無機物を取り込んだ巨人の姿は、
おぞましいものに感じられた。
「ワイヤーが絡め取った機械が混じり合って……なんだか不気味な怪物みたいね」
館下 鈴蘭(たてした・すずらん)が言った。
「うん、あんな要塞、絶対ゾディアックのドックには近寄らせない!」
共にネレイドに乗る
霧羽 沙霧(きりゅう・さぎり)が答えた。
そこに、和泉 直哉(いずみ・なおや)と
和泉 結奈(いずみ・ゆいな)のスプリングが、
通信を送ってきた。
「俺は3時の方向を担当する。
鈴蘭は反対側を頼む」
「こっちは私と兄さんとスプリングに任せて」
結奈が、イコンを人のように扱って言う。
天御柱学院生にとっては、もはや、こうしたことは日常的な光景だった。
スプリングは、直哉と結奈の、
共に戦いを潜り抜けてきた相棒なのだ。
「了解。気をつけてね!」
鈴蘭が答えた。
2機のイーグリットが左右に分かれて、ワイヤーを誘導した。
生き物のように、のたうつワイヤーが、
ネレイドの足を捕えようとした。
「させないわ!」
鈴蘭がビームサーベルを振るってワイヤーを切り裂く。
「イーグリットの機動力は数あるイコンの中でもトップクラスだ。
捕らえられるもんなら捕らえてみやがれ!」
「兄さん、後ろからも来るよ! 気をつけて!」
スプリングが複雑な軌道を描いて飛行し、
ワイヤーからの追撃を逃れた。
「頭部を狙うには絶好の機会ね」
天貴 彩羽(あまむち・あやは)が言った。
天貴 彩華(あまむち・あやか)とともに、イロドリCに搭乗していた。
2人とも、最高クラスの実力を誇るパイロットである。
その能力であれば、
ワイヤーの根元を狙い撃つという芸当も可能なはずだ。
「大吾さん、行くわよ」
「おお!」
無限 大吾(むげん・だいご)が答えた。
大吾は、西表 アリカ(いりおもて・ありか)とともに、
アペイリアーに搭乗していた。
(バーニアかプロペラか脚か翼か、たぶん何かしらの動力推進があるはずだから、
そこをブラスターカノンで撃つことができれば。
力を貸してくれ、アペイリアー!)
大吾が、大形ビームキャノンの照準を定めようと集中した。
「でっかい怪人はビームキャノンでドキューンですぅ〜。
あはは〜っ!」
お菓子を食べながら彩華が笑った。
そうしていても、操縦の能力はとても高かった。
大形ビームキャノンが、イロドリCから放たれた。
「大吾! 弱点はあそこだよ! そこを狙って!」
同時に、アリカが言った。
「おお!
カンテミールは、シャンバラの人たちを使って帝国と戦うつもりらしいが……ふざけるな!
多くの人の命を駒のように使って作る平和なんて、俺は認めないぞ!」
大吾が答えて大形ビームキャノンを撃った。
二筋の光が空中要塞を穿った。
「あいつは身体に大量の爆弾を抱えてるに等しい、そこを上手く狙えば!」
雨月 晴人(うづき・はると)が、
事前に味方に送っていたイコンの画像データを示しながら言った。
整備士の晴人が、わかりやすく作った物だ。
取り込んだイコンや小型飛空艇を誘爆させて、
空中要塞を破壊するという作戦だった。
アンジェラ・クラウディ(あんじぇら・くらうでぃ)が、精神感応で伝えた。
(要塞表面上、場所、確認したよ)
空中要塞に取り込まれたイコンの場所を伝えてきたのだ。
クェイルが、
マジックカノンを構えた。
「量産型なめんな!」
晴人が叫び、大破したイコンをマジックカノンの一撃が爆発させた。
イコンパイロットたちの攻撃により、
巨人の上半身……空中要塞の上部に、
大きな穴がいくつか穿たれた。
これにより、シャンバラは、いくつかの侵入口を確保することとなった。
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