シャンバラ教導団へ

百合園女学院

校長室

薔薇の学舎へ

彼氏彼女の作り方 1日目

リアクション公開中!

彼氏彼女の作り方 1日目

リアクション



戦争開始!

 そうして紅茶がメインの人たちは作業に取りかかるが、いくら説明を聞いても感覚の違いというものがあるらしい。
 佐野 亮司(さの・りょうじ)は一通り初心者が淹れやすい道具と葉を貰ってきたのだが、紅茶の缶を前に2本のスプーンを見比べている。
「1人分はスプーン……1杯。いっぱい?」
 たくさんの人がいたので、背の高い自分は後ろの方から眺めていたのだが、説明は聞こえるものの手元まではよく見えていなかった。紅茶缶を開けるために用意したスープ類を食べるときの大きなスプーンと、ティーカップについていた小さなティースプーン。このどちらを使うべきなのか、そして一杯とは1さじなのかたくさんなのかが理解出来ていない。
(とりあえず時間も材料もあるし、2種類やってみるか)
 見比べた末、ひとまず大きい方のスプーンですることを決め、湯を注いでティーコジーを被せる。缶の側面を見て蒸らし時間を再確認し、時計に目をやった。
(4分……以外と長いな)
 普段から料理をしないので家事はからっきしダメなのだが、最近気になる人がいる亮司は料理やお菓子作りが得意なその人のために紅茶が淹れられるようになれば……と期待をこめて参加した。
 自分ではそこそこ仲良くなったつもりではいるのに、相手にはまるでこの気持ちは伝わっていないのだろうかと不安なのだ。
(いや、デートには誘ったら来てくれるし、嫌われてはない……よな?)
 他人に冷やかされるのが恥ずかしいのか、それとも自分は相手にとって釣り合いが取れていないのか。彼女の友達には紹介されることもなく、少しだけ不満が残る。
(確かに片思いだけど、俺のことはどう思ってんだ?)
 はぁ、と大きな溜め息をつくも彼女の心の内などわかるわけもなくて、せっかく来たのだから色々勉強して帰るかと思い再び時計を見る。ぐるぐると考え事をしていると程よい時間がたっていたらしく、メッシュ状の細かいこし器でカップに移してみた。
「……紅茶、だよな」
 自分が開けた缶も漂う香りも紅茶そのものなのに、カップに注がれるのは紅というよりもどす黒い感じで、ものすごく濃い。
(ティースプーンの方だったか……)
 そこまで面倒な手順じゃない分、やり直すのも苦ではない。お湯を沸かしながらまた1人考え事をしようかと思っていたら、隣のテーブルからルイン・ティルナノーグ(るいん・てぃるなのーぐ)が覗き込んできていた。
「今日はねっ、おこーちゃ淹れるんだよっ! コーヒーはね、レオン様が好きなんだよっ!」
「……いや、コーヒーを淹れたつもりはないんだが」
 きょとんと亮司を見上げて、まじまじとカップの中身を見る。
「じゃあじゃあっ、おこーちゃなのかなっ? ルイン、お砂糖とミルクたっぷりがいいなっ!」
 確かに、ミルクティーを作る際には濃いめに出す人もいるが、通常の倍以上で抽出されたコレには対応出来るのだろうか。試してみるかとばかりに牛乳を取りに行った亮司を見送ると、じっとしていられないのか自分たちの作業台へと戻ってシルヴァ・アンスウェラー(しるば・あんすうぇらー)の隣にぴったりとくっついた。
「シルヴァ様、シルヴァ様っ! 真っ黒なおこーちゃ、ルイン初めて見たよ! お砂糖とミルクを入れてねっ、飲むんだよっ!」
「ルイン、あまり余所様にご迷惑をかけてはいけませんよ?」
 ルインの姿が見えなくなったので、レオンハルト・ルーヴェンドルフ(れおんはると・るーべんどるふ)を助手にしながら神の1杯を目指しているが、講座の内容はあくまでも基本を知らない人向けの内容だったため、高みを目指すには個人的に質問に行くしかなかった。そうした熱意が伝わったのか、出された課題はガラスのポットで淹れるというもの。
「ポットはポットだろう、何が違うというんだ」
 ガラスのポットで淹れて2杯目、シルヴァは納得いかないのか眉間にシワを寄せて自分のカップを置いた。透明な見た目はキチンと葉が対流に乗りジャンピング出来ているか確認しやすいのは利点だが、薄いガラスのポットは冷めやすいのでこの時期ホットで飲むには難しい。特にダージリンなど淹れ方で大きく味と香りが変わる物には不利だった。
「今度は、ポットごとタオルにくるんだ上でティーコジーを被せてみましょうか」
「……まだやるのか」
 少し休憩に出るぞと一声かけ、レオンハルトは作業台を後にする。コーヒー派の彼にとっては紅茶を淹れるという作業はあまり興味を惹く内容ではなかったし、シルヴァが頑張っている気持ちも理解出来ないからだ。
(おもてなし……ねえ。良く分からん思想だ。対等の関係にまでそんなに肩肘を張ってどうするのやら)
 少し離れた壁側の席からポットを丁寧に洗っているシルヴァを見つつ、他の参加者はどうだろうかと見回せば同じようにパートナーを見守っているウィノナ・ライプニッツ(うぃのな・らいぷにっつ)がいた。
「ふむ、君も紅茶の淹れ方を学びに来たクチかな?」
「ああ、パートナーがね。ボクはお持て成しされる側としてお嬢様役だよ」
 また面白そうな遊びをしているな、と苦笑をすれば自分たちが笑われたのかと思ったのか眉顰められてしまった。
「すまない、教導団は学園生活とは縁遠くてね。出逢いもなければ花も足りない」
「……それが目的で来たの?」
 訝しんだ目は、ナンパとでも思われたのだろう。相手のいるレオンハルトにとっては心外だっが、確かに年の近い女性相手には警戒する物言いだったことを詫び、話を続けた。
「――という訳でね。他校生の友人を作ろうと思えばこうして出張るしかない訳なのだよ」
「確かに、色んな依頼をこなしても中々繋がりは出来なからね」
 なんとか誤解もとけると気さくに話してくれた彼女は、どうやらパートナーが無事に紅茶を淹れ終わったようなので作業台に戻ってしまった。1人ここにいてもつまらなく思い、レオンハルトは立ち上がる。
「さて、そろそろシルヴァを手伝ってやるか」
 ルインがチョロチョロとしている様子を見ていると、仲睦まじい様子に眺めていようかとも思うが何分その動きは危なっかしい。愛らしいからと放っておく訳にもいかず、仕方がないと言った様子でポケットにしまい込んでいたメモ帳を広げる。
(紅茶の基本……っと、ここか)
 興味が無いなどと言っておきながら、先ほどの講義内容はしっかりメモをとってある。自分なんかより随分詳しいシルヴァだが、何か見落としがあるんじゃないかとメモを確認してから作業台へ戻っていった。
「ウィノナちゃんおかえりなさい! 今ね、ちょうど準備出来たところなんだよ」
 教えてもらった基本通りにやったからか、ほんの少し自信を持った顔で迎え入れる広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)は、嬉しそうにカップを温めていたお湯を捨てる。
「ファイ、講座中はボクのことを何て呼ぶんだっけ?」
「あぅう、お嬢様……です」
 試食係をお願いしただけなのに、どうしてこんなにも恥ずかしいことになってるんだろうと顔を赤らめつつ、ポットを軽くゆらして注いでみた。何度も何度も手順を確認して繰り返し練習したおかげで、紅茶の色や香りはまずまずのようだ。
(そして、本番はここから……!)
 取ってきた材料の中からシロップを手に取り、甘めが好きなウィノナ向けに味付けられる紅茶。くるくるとスプーンで混ぜ、そのまま置いて適温に下げてからスプーンを取り出す。
「お待たせしましたウィノ……っと、お嬢様」
 さっき注意されたばかりなのにと気を引き締め、カップとソーサーの絵柄を揃えて出すと、まるで本物のお嬢様のように優雅な微笑を浮かべている。
「ありがとうファイ、いただくね」
 緊張した面持ちで行方を見守っていると、その優美な居住まいのまま紅茶を飲み、もったいつけるように思案顔。苦くなかったか、色の割に味が薄かったのかと心配が絶えないファイリアはお祈りをするように胸の前で手を組んでいる。
「うん、少し甘くなりすぎたけど、いい紅茶でしたよ」
「ほんとに……?」
「もちろんだよ、よく頑張ったね」
 にっこりと微笑めば、緊張がほぐれたのかファイリアも嬉しそうな顔をする。
「わーいっ、褒められたです褒められたですーっ!!」
「ってファイ、はしゃがないの! もう、片付け終わるまで気を抜かない」
「あ! ごめんなさいウィノナ……ちゃんじゃなくて、お嬢様」
 後もう少しで終わりだったのに、ついつい飛び上がって喜んでしまったファイに苦笑してしまう。よっぽど嬉しかったんだろうなぁと思いつつも、審査する立場としては甘くしてやることは出来ない。
「立ち振る舞いは減点だね」
 悪戯に笑うウィノナにがっくりするけれども、アメとムチの使い方は心得ているのか褒めることも忘れてはないらしい。
「ボクの好みにあった紅茶を作ってくれたから、味は合格だけどね」
「ほんとっ!?」
「ファイー?」
 またはしゃぎそうになっているのを注意して、はっとするファイはやっぱり慣れない立ち振る舞いに苦戦しているようだ。
 まだまだメイドのようなお淑やかな振る舞いは出来ないかもしれないけれど、自分のためにこんなに頑張ってくれてくれている彼女に嬉しくなるウィノナだった。
 そうして誰かが試食役ということもなく、そしてメインがいて補佐をすると言うこともなく。麻野 樹(まの・いつき)たちはそれぞれが淹れたいお茶を持ってきての参加となった。樹はキャンディー、雷堂 光司(らいどう・こうじ)はルフナとそれぞれのこだわりが見える中、天草 四郎(あまくさ・しろう)は玉露を持ってきていた。
「確かにそれもぉ、お茶の一種だとは思うんだけど……ねぇ?」
 ポットは同じ物で代用出来るとが言え、用意するお湯の温度などは変わってきてしまう。それでも、絶えず笑みを浮かべたまま四郎はティーカップに注いでいく。
「今回は恋愛講座ということですから、私はお役に立てませんし……せめて、ゆっくりして頂こうかと思いまして」
 どうぞ、と差し出されるカップも、厚みのある湯飲みであれば美味しくいただけたことだろう。洋菓子ではなく和菓子を作る講座があって、縁側に見立てて中庭なんかにベンチを置いて。そんなことを考えながら1口手をつけるが、もともと適温の違うお茶にはティーカップは合わない気もする。
「しぶ……っ! おい四郎、これは四郎のいた時代からあるもので得意なんじゃないのか?」
「いやですね、私そんなこと一言も言ってませんよ?」
 ダメでしたか、と笑う四郎に光司はまだ飲む前だった樹のカップを取り上げて2つ揃えて突き返した。
「んなモンで樹を釣れると思うなよッ!」
「あなたも腕前はそんなに変わらないじゃないですか」
(というよりも、私は最初からお2人にと用意したはずですが……)
 元々負けず嫌いな光司は、四郎を一方的にライバルだと思っているからか何かにつけて突っかかる節があり、樹も素直に喜んでいいものなのかわからない。
「ほらほら、今日はそれを練習する日だからぁ頑張ろうよ」
 バチバチと火花が飛ぶような視線で睨む光司にお手上げだと言わんばかりに四郎は肩を竦めるが、闘志を燃やす光司にはそれが「勝負にもならない」と馬鹿にされたように見えたようだ。
「樹っ! 俺だってな、やろうと思ったらこれくらい余裕なんだからな!」
 不機嫌なまま手順をしっかりメモしたノートを見ながら作業に取りかかる光司を見て、溜め息をつくしかない2人。
(いつも、あのくらいわかりやすくて素直だったらなぁ)
「……へっくし! あーくそ、最初からやり直しじゃねぇか」
 ブツブツと文句を言いつつ、誰が素直じゃないかというのは気付いて貰えてるようで笑いを堪えると、樹も作業に取りかかる。3人で誰が1番美味しいお茶を淹れられるのか。それは男同士のちょっとした戦いだった。
 自分の好きなお茶の、1番良い淹れ方を知る。それは最大限の贅沢をしているようだ。葉を持参した樹は1回1回丁寧に淹れて、自分好みの味になるようにアドバイスをもとに葉の量や蒸らし時間を調整していく。少し気に入らない出来だったとしても、そのポットの中身を捨てることなく飲みながらどうしてそうなってしまったのかを考えた。
(3杯目ともなってくると、だんだん見えてくる気がするなぁ)
 緊張しながら淹れたもの、考え事をしながら淹れたもの、焦っても仕方ないと大らかな気持ちで淹れたもの。手順はほとんど同じハズなのに、それを行う動作に時間のズレやタイミングなどがあったのだろう、なんとなく違った味わいを感じられるようになった気がする。
「これは、直様に感謝だねぇ」
 自分の1番憧れているイエニチェリ直々の講義。それに参加出来たことも嬉しかったけれど、それを通じて自分が成長出来たことが嬉しい。ほんわかした気持ちでゆったりと紅茶を飲んでいると、それをぶち壊す騒音が聞こえてきた。
「うわっ!? あっちぃー!!」
「こ、光司? 今度はどうしたの」
 燃える闘志に冷静さを欠いていたからか、光司は何かをやらかさずに紅茶を淹れられたためしがなかった。あるときはお湯が沸いたとすぐさまやかんの取っ手を素手で握りしめて、熱くなっているそれに驚きやかんをひっくり返して熱湯をぶちまけてみたり。またあるときは続けて紅茶を作ろうとポットを洗っている最中に手を滑らせて割ってしまったりと、色々大惨事を起こしてくれた。どうやら今回は、お湯を注ぐ際に跳ねさせてしまい、自分の手にかかってしまったようだ。
「あーもう、何やってるんだよぉ〜。ホラ、すぐ冷やして」
「少しかかったくらいで大げさだっ」
 そうは言っても怪我は怪我。小さな水ぶくれになってしまうかもしれないし、痛みが出てしまっては大変だ。
「こーいうのにね、男も女も関係ないんだからねぇ。光司が怪我をしたら、俺が嫌なの」
 わかった? と子供を諭すように手からやかんを取り上げて、水道の所まで連れて行く。そんなやりとりがあったためか、幾分か冷やすのが遅くなってしまった手には赤い小さな斑点のような火傷跡が残った。
「もういいって、これくらいなら暫くしてると消えるだろ」
「まったくぅ……痛痒くなっても掻かないで薬塗るんだよぉ?」
「俺はガキかっ!」
 そうして、お湯を入れてる途中で開けっ放しになっているポット。何度かやり直している姿を見かけたけれど、光司は1度だって自分の所に試飲を持ってきてはくれなかった。
(料理と違って、そこまで壊滅的にならなそうな気もするんだけどなぁ)
 どうしてだろう、とポットをしげしげ見つめていると、恥ずかしそうに前に立って隠されてしまった。
「時間いっぱいやるから、まだ飲むなよ! 絶対やってる所もみんなよ!」
「えぇ〜光司とまったりしたいのに〜」
 つまんないなぁと口を尖らせられれば、自分だってキリの良い所までにして残りはゆっくり過ごしたくなる。しかしこれは、四郎との戦い以前に自分との戦いなのだ。
(絶対苦手なものなんて無くしてやる、樹を驚かせてやるんだ……!)
 家庭科は得意でないのに一生懸命取り組む姿を見て、樹はついつい微笑んでしまう。
「なんだよ、変な笑い方しやがって」
「ううん。光司があまりに一生懸命だから嬉しくて」
 どんなお茶が飲めるかなぁとにこにこしている樹に言い返せる言葉も思いつかなくて、いつものように照れ隠しで喧嘩腰な物言いをしてしまう光司。
「うるせぇっ! これは俺の戦いだ!!」
(――夫婦喧嘩は犬も食わないといいますが)
 ずずっと渋い日本茶をすすりながら顰められた眉は、2人に対してなのか味に対してなのかはわからないが、四郎はあの2人との距離感をどう取って行けば良い物やらと溜め息を吐きながら眺めているのだった。
 そうして牛乳を手に戻る途中だった亮司は、紅茶の指導をしてくれた翔を見つけた。
「翔、だっけ? 濃いめに淹れすぎた紅茶をミルクティーにしようと思うんだがコツとかあんのか?」
「ミルクティーですか? 半量の湯で出して温めの牛乳で抽出する方法と鍋で煮出す方法がありますが……」
 既に抽出されているをとなると、その方法は使えない。お客様の手を煩わせないよう、カップ上でミルクティーは作らないようにしていたので、その手段の記憶が少し曖昧だった翔は少し考え込む。
(牛乳を使用する際、先に入れるか後に入れるかで状態が大きく変わったはずですが……)
「どうしたの? 何か困りごとかな」
 巡回していた直が考え込んでいる翔を見つけて声をかけると亮司が事情を説明する。それを聞いて、直は翔が悩んでいる理由に見当がついた。
「牛乳の殺菌方法の違いによる選び方はこだわりのある人だけだとして……牛乳は温度が高くなるとどうなる?」
「変性が生じ、匂いも……そうか、摂氏75度を上回らないよう牛乳の中へ紅茶を注ぐとその可能性が低くなります」
「その通り。やっぱりここは翔くんに任せて正解だね」
 満足そうに笑って去っていく直に頭を下げて、一体何の話をしているのか分からないという亮司にも噛み砕いて説明する。
「牛乳は温まると臭みが出る上、高温の水に入るとタンパク質が分離し味を損なってしまう特性があるのです」
「なるほど。それで冷たい牛乳の中に紅茶を淹れる方が牛乳は加熱されにくいってことか」
 普段何も考えずに飲み食いしている物も、そういう些細なところに拘ると美味しくなるのかもしれない。誰かを喜ばしたいと思うのなら尚更だろう。
 それは別に見返りを求めてのことじゃない。もしかしたらほんの少しは自分を良く見て欲しいと思うことはあるかもしれないけれど、自分がしてあげたくてしたことに対して過剰に期待などはしない。ただ嬉しそうな顔を見られるだけで幸せだし、それを想像して練習を頑張るのも悪くはないだろう。
(……ちょっと、焦りすぎてたか)
 彼女とデートして、好意もそれとなく伝えて。そろそろ次の1歩を踏み出したくても相手の態度に自信喪失してしまうのは、どこかで期待しすぎていたのかもしれない。友達を大事にする彼女から蔑ろにされているわけでもないのだから、もう少しゆっくり歩み寄る余裕が今の自分に必要なんじゃないかと漠然と思う。
(紅茶を淹れるように時間をかけると、見えてくる物もあるだろうしな)
 次に会ったときには驚かすことが出来るだろうか。何度も何度も淹れ直して、彼女が気に入ってくれそうな紅茶を淹れられるように亮司は特訓を再開するのだった。