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「 水中での戦い!人魚と魚人の協奏歌 」(第1回/全2回)

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「 水中での戦い!人魚と魚人の協奏歌 」(第1回/全2回)

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第四章 封は解かれて

「だいぶ奥まで来たようじゃが、どこまで行くつもりかのぅ」
 ルファニーの後を歩くファタ・オルガナ(ふぁた・おるがな)が声をかけた時、岩場の陰に隠れていた高月 芳樹(たかつき・よしき)比島 真紀(ひしま・まき)はその様子に驚きの表情を見せていた。多くの魚人たちが出入りしていた通路の先へ、ルファニーとファタ達が歩んで行くのを見たからである。魚人たちは今も多く、いや、通路の先に集まっているようにも思えた。
「ぐっ、何をするんじゃ」
 通路の先、洞窟内の大神殿に出た瞬間に、ファタと2人のパートナーは魚人たちに捉えられてしまった。その声を聞いて飛び出してきた芳樹と真紀、そのパートナーも共々に捉えられてしまった。
 石柱の通路の先にある階段を、ルファニーが上ってゆく。最上段には玉座があり、ルファニーはそこへ腰かけた。魚人たちは一斉にルファニーを見上げると、ゆっくりと跪いていった。
 ルファニーが界下を見下ろした時、通路の一つから飛び出してくる影が見えた。影の主はナイトのソウガ・エイル(そうが・えいる)とパートナーのアリア・エイル(ありあ・えいる)、そして樹月 刀真(きづき・とうま)のパートナーでソルジャーの漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)志位 大地(しい・だいち)であった。4人は神殿内を、魚人たちの間をすり抜けて駆けたのだが、魚人たちの数が多すぎた、壁の様に塞がれてしまい、すぐに4人とも捉えられてしまった。
「なぜこんな事をしたのです」
 ルファニーの首に光条兵器の片刃剣を当てながら、ローグの樹月 刀真(きづき・とうま)は問いた。侵入箇所も目的地も、4人とは異なり、刀真は最短距離でルファニーの元へと向かっていたのだった。
「魚人たちを操り従えて、争わせて、一体何が目的なのです」
 ルファニーに表情が無かった。
「青龍…… 女王器…… 復活させる…… 」
「女王器? 何の事です」
「五聖獣の一つだ」
「うぐっ」
 腹への一撃、そして肩から地に叩きつけられた。一瞬にして刀真は、その男に踏みつけられてしまっていた。
「人魚の君、お役目御苦労、あと一息だ」
「誰だ、お前は」
「俺か、ここで名乗ると悪役のようだが」
 そこまで言った所で男を銃弾が襲った。機関銃にて銃撃をしたのはソルジャーの桐生 円(きりゅう・まどか)である。通路の一つから、円を含めて数名の生徒が入って来ていた。
「やはり君か、フラッドボルグ
「ノーム、貴様、なぜここに」
 ノーム教諭の背後から声を上げたのは和原 樹(なぎはら・いつき)のパートナーでウィザードのフォルクス・カーネリア(ふぉるくす・かーねりあ)である。
「ノーム教諭、知り合いなのですか?」
「あぁ、昔の知り合いだ、腐れ縁でねぇ」
「ガキ共のお守りをしているとはな、貴様らしくない」
「君こそ、洗脳魔術を使う時の癖、今だに直してないみたいだねぇ、鈴の音を聞いてすぐに分かったよ」
「はっはっはっはっは、鈴の音で気付く者など貴様の他には居ないのだ、今更直すなど時間の無駄以外の何物でもない」
「くっくくくっ、そうかもねぇ、くっくっくっ」
 場に合わない笑い声が二つ響いていたが、不意にフラッドボルグが後方を指さした。
「あれも、お前の生徒か?」
「おっと、やはりバレてたか、その上で尾行させてたってか?」
 姿を見せたのは閃崎 静麻(せんざき・しずま)レイナ・ライトフィード(れいな・らいとふぃーど)であった。岩場に隠れ行く姿を見つけてから、ずっと尾行していたのである。
「噛み付いてこない犬は居ぬも同じだからな、好きにさせたんだ」
「言ってくれるぜ、まぁ、あんたが仕掛けた爆弾は全て解除させて貰った、構造は玩具並みだったがな」
「ただの時間調節だ、暇だったんでな」
「暇? 何の事だ?」
「待っていたんだろう? 赤く染まりきるのを」
 ノーム教諭の言葉に、フラッドボルグは見上げみた。
 天井には二本の刀の様な形をした岩が突き出ていた、それは湾の海上に突き出た青刀の双岩そのものに見えた。双岩は先だけを残して赤く染まっていた。


 地上の『 青刀の双岩 』を調べていたチーム「真実の探索者」の面々は双岩を見上げて、首を傾げていた。
 情報と、覚えていた絵と違っているのだ。エース・ラグランツ(えーす・らぐらんつ)のパートナーであるクマラ カールッティケーヤ(くまら・かーるってぃけーや)ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)に問いかけた。
「ねぇ、赤いよね、青くなくて、赤いよね」
「えぇ、真っ赤ですね、こんな色にもなるという事なのでしょうか」
 セイバーの五十嵐 理沙(いがらし・りさ)は、
「何だか、泣いているみたい」
 そう言った。悲しいようにも、また不気味にも見えた。普段は青い双岩が今は真っ赤に染まっているのだ。


「彼は鏖殺寺院の一人だ」
 ノーム教諭の言葉に、一同は驚きを得ていた。
「女王器の復活を狙っているんだ、眠っているんだろう、この遺跡に」
「その通り、青刀の双岩には青龍の女王器が眠っている、だがこの封印が厄介でね。憎しみ、悲しみ、血によって遺跡と水が汚されなければ封印は解けない、だから人魚の力を利用したのさ」
「彼女を操り、人魚の歌声の力を増幅させて魚人たちの戦意を高め、更には操らせさえもした。実に君らしい案だ」
 これには六本木 優希(ろっぽんぎ・ゆうき)が教諭に問いかけた。
「では、ルファニーさんは操られているだけなのですね?」
「そう、操られていて、魚人たちを操っているんだ」
「それも今やどうでも良い、見ろ、間もなく封印は解かれるのだ」
 双岩が先まで赤く染まりかけている、すべてが赤く染まった時、封印は解かれる、それなら。
 譲葉 大和(ゆずりは・やまと)ベア・ヘルロット(べあ・へるろっと)が駆け向かおうと構えた時、魚人たちも構えを見せた。
「邪魔はさせない」
 そう言ってフラッドボルグが呪文を唱えると鈴が鳴り、そして魚人たちが襲いかかってきたのだ。
「厄介だねぇ」
「ウゥゥゥゥーイクヨォ!!」
 桐生 円(きりゅう・まどか)のパートナー、オリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)が放ったサンダーブラストは広範囲への威嚇をなし、またナイトのミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)はその雷撃をナイトシールドで防ぎ、ランスでの突きにつなげて抵抗していたのだが、何せ魚人の数が多すぎる。神殿内には生徒も多く居るのだが、誰もが理不尽に多い複数の敵との戦闘を余儀なくされていた。
 そんな中、閃崎 静麻(せんざき・しずま)のパートナーでセイバーのレイナ・ライトフィード(れいな・らいとふぃーど)がフラッドボルグへ斬りかかったが、フラッドボルグは短剣でそれを受け止めた。
「あなたさえ倒してしまえば、ルファニーさんだって元に戻るはずです、そうすれば」
「真理だ、しかし、できるかな」
「もちろんです」
 レイナはカルスノウトを強く握り直すとソニックブレードを放った、しかし、フラッドボルグは簡単に避けると首への手刀でレイナを気絶させた。その瞬間には静麻も詰めていたのだが、アサルトカービンを短剣で受け防がれていた。
「あんた強いな、鏖殺寺院ってのは皆そんな強さなのか?」
「分からない事は、ノーム先生にでも聞くんだな」
 大きく地面が揺れた。揺れはすぐに大きくなり、立っていられない程の揺れとなった。


「何だ? 何だ何だ? 何なんだ?」
 藍乃 澪(あいの・みお)と共にようやく2体の魚人を倒したばかりのシルバ・フォード(しるば・ふぉーど)は一息つく前に揺れに襲われていた。
「でかぃな」
 魚人との戦いを楽しんでいるラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)も揺れの異常さに、すぐに気付いた。
「熱い、熱い熱いぃ」
 洞窟内を逃げ走っていたメニエス・レイン(めにえす・れいん)は立っていられずに座り込んでいたが、今度は地面が焼けるように熱くなってきたのだ。
「何よ、一体何なのよ」


 青刀の双岩が完全に赤く染まった。灼熱の熱を放ちながら光輝いていった。
 巨大な揺れの中に居ながらに、ノーム教諭とフラッドボルグだけが立ち見上げていた。
「青龍の女王器が具現化するは『 黄水龍 』、刀の如き鱗を持つ青き龍だ」
「さぁ、甦れ! そして舞い昇るが良い 『 黄水龍 』 よ!!」
 光の中から黄水龍が姿を現した。黄水龍は神々しい姿を見せると、双岩の間を一気に天へと飛び昇って行ったのだ。
 岩盤や海水は一切に妨げにもせずに。その姿は正に昇龍。
 水面から飛び出した黄水龍は宙で、その美しい翼を大きく広げて雄叫びをあげた。
「キュォォォォォォォォ」
 今ここに、五聖獣の女王器が一つ、青龍が解き放たれたのだ。

担当マスターより

▼担当マスター

古戝 正規

▼マスターコメント

 おかえりなさい。始めましてでしょうか。こんにちわ、古戝正規です。
 人魚と魚人の事件の背景には鏖殺寺院が暗躍していましたね。
 封印が解かれ、姿を現した「黄水龍」、五聖獣の女王器と鏖殺寺院、操られたままのルファニーと魚人たち。
 魚人たちとのバトルや会話は勿論の事、ストーリー展開も楽しみ読んでいただけたなら幸いであります。
 本シナリオは全2回の1回目です。もう1話分、ヴァジュアラ湾での事件解決をお楽しみ頂けます。  
 続編のシナリオガイドは近日公開予定です。
 次回のシナリオでもお会いできる事を楽しみにしております。