リアクション
終章 鐘を鳴らすのは? エメネアのちゅーは?
日暮れと共に、食い倒れ祭りは終わりを告げる。
それまでに提出されたカードを係りの者が集計して、優勝者を決めるのだ。
今年は、提出されたカードのほとんどが枠全てにスタンプが押されてある。そのため、どれくらいの時間でそのスタンプを集めたのかが問われていた。
『2019年、エルデ豊穣祭、食い倒れ祭りの優勝者は……』
広場に、係りの者の声が響く。
参加していた者たちも、見学だけの者たちも、しーんと静まり返った。
『イルミンスール魔法学校よりお越しの、カレン・クレスティアさんだー!!!』
うわあああ……と、歓声が上がる。
カレンは驚きながらも係りの者たちに促されて、広場中央へと進んだ。
「おめでとうございます、カレンさんー」
エメネアが彼女の傍へと近付いていく。
エルシュがそれを阻もうとするけれど、彼女たちが知り合いであることを昼間のうちに確認しているため、エースがそれを止めた。
「ありがとう、エメネア。ちゅー、してもらうよ?」
優勝できれば、彼女にちゅーしてもらい、今後、安易なことを口にしないようにもう一度諭すつもりでいた。
「はい。約束は約束ですー」
エメネアは微笑んで、カレンへと近付くと、口付ける。
また周りから歓声が上がった。
「何だか、恥ずかしい、ですねー……縁結びの鐘はどうされますかー?」
唇を話した後、照れながらエメネアが問いかける。
そこまでは考えていなかったカレンは、次点の人にその権利は譲ると、告げた。
『では、縁結びの鐘を鳴らす権利を手に入れた栄えあるカップルを紹介するぞー!!』
再び広場が静まり返る。
『栄えあるカップルはー……イルミンスール魔法学校よりお越しの水神樹さんと、薔薇の学舎よりお越しの佐々木弥十郎さんだー!!!』
またまた、うわあああ……と、歓声が上がった。
「わ、私たちなんですか!?」
「やりましたねぇ、樹さん」
驚いた樹を弥十郎が抱きしめる。
ぎゅっと強く抱きしめられて、樹は「苦しいです……」と呟いた。
「あ、ご、ごめんなさい」
言われて、力を緩めながら顔を上げた弥十郎。
公衆の面前であったことを忘れていたようで、一瞬にして、その顔が赤く染まった。
『お2人は鐘の元へとどうぞー!!』
そう言われて、町長らしき男性に案内されて講堂の上の鐘の元へと案内される。
広場に集まる者たちが2人を見上げていた。
樹と弥十郎は、頬を朱に染めながら、ゆっくりと鐘を鳴らす。
響き渡る、澄んだ鐘の音。
願うはこれから先もずっと2人、幸せであること――。
鐘の音に、人々は何処からともなく拍手を贈る。
2人が永久に、幸せであるように――。
朝緋あきらです。
参加、ありがとうございました!
まさかの作戦勝ちされました。
確かにその手で行けば、スタンプも集まるし、自分が苦しいことはないね、と!
優勝&エメネアからのちゅーのげっと、おめでとうございます。
縁結びの鐘を鳴らすことが出来たお2人もおめでとうございます。
楽しんでいただけたなら幸いです。
それでは、また別のお話でお会いしましょう。