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リアクション
【8・宴の後の生徒達】
全員の告白が終わり、この企画はこれまでとなったが。
未だ興奮冷めぬ生徒達は、まだ帰ることはせずその場に残り続けていた。
気絶から冷め、つい先程遊戯室に辿り着いた永太は、パートナーのザイエンデと隣同士で座っていた。
「……ザイン。あの……」
「……なんですか?」
「……いや、なんでもない」
「……そうですか」
ふたりはそのまま何を言うでもなかったが、お菓子などを取りに行くこともなくしばらくその場に居続けるのだった。
樹は、ジーナと章を床に正座させ、説教をしていた。
「2人共、あの程度の罠に負けて王子役を逃してしまうなんてたるんでいる証拠っ! 明日から修行のやり直しだ!!」
そして。樹の指示通り罠という罠にほとんどはまりまくって、服はところどころ焦げてやぶけ、その上びしょ濡れでヘトヘト状態のふたりはというと。
「ワタシがこんなナリしていたから、あんころ餅、あんたが男でも樹様に受け入れてもらえたんですよ。その恩を覚えておけと言うわけではありませんが、樹様に笑顔が見られるようになったのは、ワタシがいたからではないかと思っております。私と出会った頃は、樹様、ちっとも笑わなかったんですもの」
「分かっているよ、カラクリ娘。お前さんが心の壁を砕いたから、僕が居られるって言うんだろ? でも、酒飲みのつきあいは出来ないだろう。僕との酒飲み話のおかげで、最近は樹ちゃん、深酒しなくなったし。近頃では、酔って冗談の一つもとばせるようになっただろ」
対抗心だけは未だ燃やし続けながら言い合いをして、
「ジーナ、洪庵! ちゃんと聞いているのかっ!」
それをまた樹に説教されるというエンドレス状態に陥っているのであった。
「それじゃ、またいつか遊ぼうねぇ」
恋愛について最後までわかっていなかったフェリスは部屋を後にし、
「それでは、私も失礼致しますわ……」
結局、ふぇいとの視線が痛くて踏み込みきれなかった綾も、落ち込み気味に部屋を後にしていた。
「あ〜あ、かわいい子ゲットできなかったわ〜。ふぇいとちゃ〜ん、やっぱりあたしにはあなたしかいないわ〜」
「え、あ、ちょ、ちょっと……」
どりーむはふぇいととじゃれあいながら、その耳元で囁く。
「ふぇいとちゃん、あたしが他の子とおしゃべりしてるとき妬いてたでしょ? ふふふっ」
「えっ!? そ、それはその……」
戸惑うふぇいとを、どりーむは終始からかい続けていた。
セシリアは、不満げに声を漏らしていた。
「結局メイベルは告白されずじまいかぁ。奥手のメイベルは、こういうイベントできっかけを掴まないとって思ってたのに……つまんないの」
だが、フィリッパの方は確かに残念そうではあったが、顔は微笑んでいた。
「けれど、無駄ではなかったのではないかしら? わたくしは今回のことで、メイベルも恋愛について多少関心を抱いてもらえたんじゃないかと思いますわ」
そんなふたりが見つめるそのメイベルはというと。
「好きとか嫌いとか、恋愛とか……私には、難しいですぅ」
ハート型のクッキーを、くるくると指で弄んでいるのだった。
「なんでこういう告白ものって、特定の子ばっかり人気が集まるんだろうな」
「なに? やっぱり告白されたかったんだ」
「ちっ、違うっ! ただ感想を述べただけじゃんっ!」
パメラは弥生にそう言っていたが。
実際、やはり告白されなかったことが不満だったらしく憮然とした様子であった。
そのとき。
「ふふふふ……」
生徒Aが何やら不敵な笑いを浮かべると、バッ、と、お面を外して宣言をする。
「残ったプリンセスの皆さん!」
その顔に皆が驚く。
それはなんというか……本当にア×パンマンみたいで、外す前とほとんど変わっていなかったからだった。だがそれは「カワイー」とかになる部類の顔ではなく「リアルだと、なんかキモイ……」的なツラであった。
「安心してください! このワタシがいますっ! 恋人が欲しいのであれば、遠慮なさらずこのワタシの元へと飛び込んできてください!」
生徒Aの言葉を受け、女子生徒達は気づいた。
彼は、はじめから残ったプリンセスの独り占めを狙っていたのだと。
そして。
「人が苛ついてる時に……つまんないこと言ってんな――――っ!」
「へ? わ、うぎゃああああああああ!」
パメラ他、恋人が欲しかった女生徒達にボコボコに叩きのめされましたとさ。
おわり
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担当マスターより
▼担当マスター
雪本 葉月
▼マスターコメント
こんにちは。マスターの雪本葉月です。
本シナリオのテーマは『想い』です。
真面目なものからヨコシマなもの、良し悪しは様々でしょうけれどどんなもので強く想うと、かなりの強さになるものです。
そういった想いの篭ったアクション投稿を、今回は皆様ありがとうございました。