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年越しとお正月にやること…エリザベート&静香

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年越しとお正月にやること…エリザベート&静香

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第7章 暖かい部屋でぬくぬく・・・元旦のお節

-AM6:00-

 天 黒龍(てぃえん・へいろん)に初日の出を見せるため、夜中に高 漸麗(がお・じえんり)が部屋から連れ出す。
「・・・空全体が輝いて、・・・何と表現すればいいのかわからないのだが。・・・・・・綺麗、だな」
「(よかった、喜んでくれたみたい)」
 橙色に輝く空を見つめ、綺麗だと感動する黒龍を連れてきてよかったと笑顔になる。
「お誕生日おめでとう黒龍くん、新年明けましておめでとう!」
 彼の誕生日を拍手をして祝う。
「僕からのお誕生日プレゼントはこの初日の出と・・・」
 持ってきた筑を打ち曲を奏でる。
「君に捧げるこの一曲だよ♪」
「(高漸麗はいつも騒がしくて不愉快に思うが・・・。だが・・・不思議と、この筑の音だけは心地良いと、・・・いつも思ってしまう。腐っても英霊、ということか)」
 流麗な曲に聞き惚れてしまう。
「いい音色だ・・・」
 輝く空を見ながら、曲をじっくりと聞き楽しんだ。



「見てみろ、日の出だ」
「なんかとても・・・綺麗です、兄様・・・」
 沙耶と恭司はイルミンスールの和室の窓から見える初日の出を眺めた。
「ふぁあ〜・・・初日の出ですか〜」
 眠っていた明日香は目を覚まして新年の初日の出を見た。
 朱色に輝く美しい光が部屋の中に入ってくる。

-AM7:00-

「あれ・・・朝?えぇっ皆とカウントダウンしようと思ったのに!!」
 年明けを待っている間、寝てしまったラビが起き出し、悔しそうにじたばたする。
「あけおめ〜!ことにょろ〜!ってなわけで日本の味を再現してみました〜!」
 大型のタッパを抱えてミルディアが生徒たちが集まる和室にやってきた。
「皆〜黒豆持ってきたよ!」
「黒豆!?食べるー♪」
 不機嫌になっていたラビの表情が、ぱぁっと笑顔に変わり、黒豆をもらおうと取り皿を出す。
「はい、どーぞ」
「わぁい。もぐもぐ・・・おぉお美味しいっ」
「そう?ありがとう♪」
「僕たちにもちょうだい」
 空京の寺から帰ってきた北都が取り皿を持ってきた。
「どれくらいいる?」
「うーん、とりあえず2人分かな」
「これくらいかな」
「そうだね、ありがとう」
 黒豆を落とさないように、クナイが待っているテーブルの方へ歩いて行く。
「向こうなくなりそうだから、早めにとっておこう」
 北都が取りに行った涼介が作った栗金団とクレアの紅白なますは数秒でなくなった。
「ふぅふぅ・・・温まるね」
 熱い甘酒を息で覚まして飲む。
「柚子の器の紅白なますも美味しいですよ」
 箸でつまんで北都に食べさせてやった。



 生徒たちが作ったお節を食べようと恭司は取り皿を手に持ち、お重から取り箸でつまむ。
「さてどれにしようか」
「俺様が焼いた伊達巻なんだが食べてみないか?」
「それじゃあ6つもらおう」
 ミュラホークが作った伊達巻をお重から皿に移す。
「こちらにお雑煮もありますよ」
「2つくれ」
 コーディリアからお雑煮を受け取る。
「沙耶は何が食べたいんだ?」
「私は・・・」
 どれいにしようかお重の中を見て、有栖が作った里芋とキノコ、ニンジンの煮物を選んだ。
「とってあげますね」
 有栖に煮物を器に移してもらう。
「美味しい・・・です」
「まだいっぱいありますよ」
「はい・・・。後で・・・また取りにきます・・・」
 沙耶はテーブルに持っていた料理を、ゆっくりと味わって食べる。
「どれも美味しそうですね〜」
 お節をどれから食べようか、明日香はお重の中を見てじっくり選ぶ。
「あれー黒豆がないです」
「黒豆ならまだあるよ」
 ミルディアはタッパのふたを開け、スプーンで明日香の取り皿に乗せてやった。
「甘くて美味しそう・・・。今すぐ食べたいけど、ちゃんとテーブルに持っていかないといけませんね」
 他にもお雑煮とポテトパイを持ってコタツの中に足を入れる。
「ちゃんとダシが出てて美味しいですわ」
 持ってきてもらったお雑煮を食べて、神代 夕菜(かみしろ・ゆうな)はぽかぽか温まる。
「黒豆やわらかくて甘いです〜。ポテトパイも美味しいですよー」
 美味しそうにもぐもぐと、お節を口の中に入れて食べる。
「新年・・・明けましておめでとう・・・ございます・・・」
 たどたどしい口調でメイベルに挨拶する。
「明けましておめでとうございます〜」
 恭司に言われて挨拶回りをしていた沙耶は、気軽に挨拶を返してくれたメイベルは話しやすそうな人だと思いほっとする。



「お嬢様、お注ぎしますわね」
 ミルフィは有栖のカップに甘酒を注ぐ。
「もう飲めません・・・。んふ・・・みるふぃ〜・・・良い気持ちですぅ♪」
「あら・・・お嬢様、もう酔いがおまわりですの?わたくしが介抱して差し上げますわ♪」
 よっぱらって晴れ着が乱れた有栖が、ミルフィに甘えるように抱きついた。
「向こうはもう酔っ払っているようですね」
 伊達巻を食べていたメイベルが騒いでいる彼女たちの方へ視線を移す。
「ちゃんと鶏がらのダシが出てて美味しいね」
 セシリアはエレノアが時間をかけて一生懸命に作ったお雑煮を食べていた。
「これ栗金団ですの?」
 潰した紫芋をそれらしい形にし、氷雨が謎の黄色い粉で染めたやつをフィリッパが食べてしまう。
「美味しい?」
 自分が作ったやつを食べているの見た氷雨が感想を聞こうとやってきた。
「なんか・・・ちょっとだけ辛いような、不思議な味ですわね」
 着色用に混ぜられたのはカレー粉の粉末だった。
 隣に練辛子を粉末にしたやつがあり、それを使っていたら口の中が大火事になっている。
「こちらもいただいてみましょう。・・・さっぱりとした味で美味しいですわね」
 フィリッパは玉露を飲んだ後、コーディリアが作ったお雑煮の汁を飲んだ。
「どれもうめぇなぁ!」
 彼女たちの隣のテーブルで武尊がムシャムシャと、鰤や鯛の塩焼きを食べている。
「この栗金団なんか最高だぜっ」
 なくなる前に確保しておいた涼介とミュラホークの手作り栗金団をあっとゆう間に平らげてしまう。
「甘すぎなくてちょうどいいな。次は何を食おうか、そういやまだあれを食っていなかったか」
 伊達巻も食べ終わり、お雑煮を取りに行った。
 コーディリアの手作りを見つけ、3杯ほどお盆に乗せた。
「えぇなー、それどこにあったんどすか?」
 お節を食べようと選んでいたイルマが声をかけてくる。
「あっちのほうだが・・・、いるか?」
「ほんまにもろぅてぇえんかいな!」
「まだあったからな」
「おおきに♪」
 武尊から受け取り、嬉しそうにコタツの方へ走っていった。



「ねぇー、ねぇってばぁあ!反省してるから食べさせてよー」
 エレノアを怒らせてしまった伊月はお節のおあずけをくらっている最中だった。
「仕方ありませんね、少しだけ食べさせてあげます」
「やったー!もぅお腹ぺこぺこよ」
 ようやく許可を貰った伊月はお雑煮をもぐもぐと食べ始める。
「美味しい〜」
「ふふふっ当然です」
 ずっとおあずけをくらっていた空腹の腹の中に、エレノアのお雑煮が入って幸せそうな顔をした。



「美味しいですねぇ」
 明日香はエレノアが作ったお雑煮を美味しそう煮食べる。
「ふぅふぅ・・・んぐ・・・ほんと美味しいですわ。伊達巻もいけますわね」
 ミュラホークが作った伊達巻を、夕菜は箸でとって口に入れた。
「あ!エリザベートちゃん、着物が!こっちの部屋で着付けし直してあげますぅ」
「すみません、ありがとうございますぅ〜」
 女子しかいない隣の部屋に連れて行く。
 部屋に行くと茅野 菫(ちの・すみれ)が着物を着ようとして、服を全部脱ぎ終わっている。
「着付けしてあげうと思ったんだけど、誰も来ないわね」
 彼女の振袖は黒を基調とした、牡丹などの花をあしらった華やかな柄の着物だった。
「うーん・・・着づらいわ・・・」
 パビェーダ・フィヴラーリ(ぱびぇーだ・ふぃぶらーり)も服を脱いで素肌の上に着ようと悪戦苦闘している。
 振袖の柄は菫と同じで、色は白を基調とした着物だ。
「あぁっ、着物が!」
 着付けに失敗して着物がずりおしてしまう。
「生徒たちは自分で着付けしているのかもしれぬな」
 綺麗な振袖を相馬 小次郎(そうま・こじろう)も着ようと、牡丹などの花柄の華やかな柄の柄は桃色を基調とした着物を自分で着付けする。
「せっかく教室まで通ったのだが、仕方あるまい」
 他の生徒たちに教えてあげようと着付け教室に通ったのにまったく誰も来なかった。
「人がいますわね、別のお部屋へ連れていきましょう」
 2人は着物を着せ直すため、エリザベートを別の部屋へ連れて行く。
「ここも崩れていますわ」
 夕菜と明日香で囲うように着物を着せ直す。
「ちょっと動かないでくださいね〜」
 着崩れているエリザベートの着物を明日香が着せ直してあげた。



「あ、いたわ!」
 校長の2人を見つけた菫が駆け寄る。
「あたしたちと一緒に参拝しない?」
「いいですよぉ〜」
「ほんとに?やったー!」
 菫は嬉しそうに喜ぶ。
「他の生徒さんたちもいるから、かなり団体行動になってしまうですぅ」
「まぁ、あれだけの人数だもの。仕方がないわ」
「すみませんですぅ・・・」
「いいわよ、来てくれるだけでも嬉しいから」
 申し訳なさそうに言う少女に菫はニッと笑ってみせた。



「初詣に行かない人たちのために簡易おみくじを持ってきたよ」
 静香がキーホルダーの小さなおみくじを持ってきた。
「どれ引いてみるか。おっ、超最大吉か!こりゃ新年早々、いいことありそうだぜ」
 最初に武尊が引いてみると最もいいくじが出た。
「それじゃあ俺も・・・」
「私も引いてみますね」
「なっなんだと・・・・・・」
 司は超ウルトラ最大凶を引き、サクラコは凶を引いてしまう。
「それでは私も引いてみます。・・・・・・なんと残念ですね」
 ザカコも司と同じ結果がだった。
「ではワタシも引いてみましょうか。スーパーのおばさんにネギをとられてしまいましたし、今年は気をつけないといけませんね」
 彼の後にルイが引くとまた超ウルトラ最大凶が出てしまった。
「くじがあるの?私も引きたい!超凶・・・・・・うぅ」
 キーホルダーをカラカラと振り、伊月が引いてみると深い悲しみに包まれた。
 彼女のパートナーも同じ超凶が出てしまい、どんよりと気分が沈む。
「オレ様もか・・・」
 ミュラホークは伊月と同じ超凶が出てしまった。
「兄様・・・・・・おみくじを・・・」
「はいよ。しまった、大凶か」
 沙耶と恭司は運悪く大凶を引く。
「ボクも引いてみよう。たぶんレインも同じ結果だよ」
「同じ!?おみくじまで巻き込まれるなんて・・・」
 何が出るか楽しみという顔をして氷雨がカラカラと振ると吉が出る。
「それがしも引いてみるであります!」
 エミリーが振ると大吉が出た。
「やったでありますー!!」
「むっ、あたしも。それっ!えぇえーっ最凶!?」
 続いて茜がおみくじを振る。
「我らも・・・。末吉だな」
 大佐とプリムローズは同じ結果が出た。
「おみくじ?引かせてー。うーん超凶か」
 ミルディアはめいっぱいカラカラと振りって出す。
「どきどきますねー。あぁ・・・っ」
 大凶を引いてしまったエルシーたちはしょんぼりした。
「おっ、大吉か」
「凶でした・・・」
 先に引いた剛太郎は大吉を引き、後から引いたコーディリアは凶を引く。
 結果の落差に室内の寒暖差が激しかった。