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【海を支配する水竜王】リヴァイアサンを救出せよ

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【海を支配する水竜王】リヴァイアサンを救出せよ

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第7章 捕らわれてしまった大切な存在を救出せよ

「もう出ても大丈夫みたいです」
 ゴーストたちがいないか、広瀬 ファイリア(ひろせ・ふぁいりあ)はドアを開けて確認する。
「今のうちに行くですっ」
 地下3階のダンボール箱の置いてある部屋から出て、下の階にある牢へ向かう。
「ウィル、ごめんね。すぐに助けて見せるから、無事でいるんだよ!!」
 ウィノナ・ライプニッツ(うぃのな・らいぷにっつ)も彼女と共に、地下牢へ行こうと部屋から出る。
 捕まってしまった生徒たち、そして囮になってくれたウィルヘルミーナ・アイヴァンホー(うぃるへるみーな・あいばんほー)を助けるために、彼女たちは必死に走る。
「もしかして・・・地下牢へ生徒たちを助けに行くのかい?」
 施設の外で一緒に陽動作戦を実行した、リアトリスがファイリアたちに声をかける。
「牢に捕縛された皆を助けに行こうと通気ダクトから侵入したけど、地下1階までにしかつながってなくて・・・。他に入れそうなところ探したけど、見つからなかったんだ」
「だったらファイたちと一緒に行くですっ」
「そうだね、一緒に行こう」
 リアトリスは5歳の容姿から元の容姿に戻り、ファイリアたちと地下牢へ行くことにした。



「ユリウスのために作れそうな素材がないか探してみたが、木材くらいか・・・」
 天城 一輝(あまぎ・いっき)ユリウス プッロ(ゆりうす・ぷっろ)のために、フェザースピアを作ろうとしたが、日曜大工セットでは似たような形の木製の槍しか作れなかった。
「こんなのでもないよりはマシか」
 出来栄えを見てチェックする。
「そろそろ行きますわよ」
 ドアを開けて通路に見張りのゴースト兵がいないか確認し、ローザ・セントレス(ろーざ・せんとれす)が急いで室内から出るように言う。
「何名捕まったか分からないけど、深手を負っている生徒たちも沢山いそうだから早く行かないと」
 そう言うとコレット・パームラズ(これっと・ぱーむらず)も部屋から出る。
「よっし、俺は保管庫に行くとするかぁ!」
 休憩を終えた久途 侘助(くず・わびすけ)は背伸びをし、武器を取り戻そうと通路を歩く。
「俺も行きます。あの人だけに手柄を取られるのも癪ですからね」
 侘助だけいい格好させまいと、香住 火藍(かすみ・からん)も保管庫へ向かう。
「静かだな・・・。また敵のトラップじゃなきゃいいけど」
 どこかでゴーストたちが待ち構えていないか、侘助は警戒して辺りを見回す。
「この階段を上れば、もうすぐ地下牢のある場所だな」
 階段を上り地下4階のフロアへやってきた一輝は、スナイパーライフルを構える。
「何人か見張りがいるな」
 物陰から様子を窺う。
「助けに来て掴まるとか・・・・・・ハァ〜、我ながら間抜けすぎる」
 愛沢たちを助けに来た巽は、董天君に倒されてゴースト兵に牢へ放り込まれてしまっていた。
「牢の中に喋る力が残っているやつがいるのか・・・」
 彼の声を聞いた一輝は、助けに来たことを知らせようと壁を叩く。
 コツン・・・コンッコン、と牢に捕縛されている者たちに聞こえるように音を立てる。
「(牢の近くに誰かいるのか?我たちを助けに来た生徒かもしれないな・・・)」
 見張りを倒す隙を作ろうと、巽は兵の気を引き付ける方法を考える。
「化粧、化粧、厚化粧〜♪例え皺は隠せても、性悪根性隠せない〜♪年増、年増、大年増〜♪例え年は隠せても、作戦計画隠せない〜♪」
「そこのヤツ、うるさいぞ!」
 突然歌いだした巽を黙らせようと、兵が怒鳴る。
「うるせー、痛いの誤魔化してんだよー。黙ってると怪我の方に意識集中しちゃんだよー」
「そんなもん知るかっ」
「あ、今、『ああ、頭の方も重症なんだな』とか思っただろ!頭の中腐って沸いてる奴にだけは思われたくねーよ!!」
「(よし・・・今だ!)」
 巽の方へ向かう兵の頭部に、銃口の照準を合わせて狙い撃つ。
 セントレスは鞘から高周波ブレードを抜き、バーストダッシュのスピードでいっきに接近して、ターゲットを爆炎波の炎で焼き尽くす。
 仲間を助けようとチャンスを窺っていたミサが、動かないただの死体に戻った兵の服から、鍵を奪い取り先に深手を負っている者たちがいる牢を開ける。
「これを使え」
 一輝はユリウスに木製の槍と、倒した兵の服を渡す。
「術でも治しきれないわね・・・」
 牢にいる者たちの傷をコレットが、ヒールで傷を癒そうとするが治しきれなかった。
「酷い怪我ね・・・じっとしてて」
 せめて血を止めようと、ナーシングで止血する。
「大丈夫?よかったらこれ食べて。お茶もあるわよ」
「暖かい・・・ありがとう」
 ポットに残っているお茶を、コレットがティアに飲ませる。
「風森、ティア!」
 ミサは急いで2人の元へ駆け寄る。
「・・・董天の奴、よくもっ・・・」
「今は、手当の方が先なのだよ」
 怒りのあまりにキレかかるミサを、水海が宥めて手当てを勧める。
「無理しないでね・・・」
 そう言うとミサはナーシングで2人を手当てし、驚きの歌を歌いSPを回復させる。
「ありがとう愛沢。これでなんとか歩ける・・・」
 巽たち4人は先に牢から出て行く。
「俺たちも連れてってくれ!」
 彼らが入れられていた牢の中に一輝が入り、鎖を自分でぐるぐる巻きにし、鎖の端を握り締めてわざと叫ぶ。
 情報攪乱で地下4階にいる兵に、捕縛された者たちがすでに逃げ出したと思わせて、怪我を治療し終えるまでの時間稼ぎだ。
 コレットも同じ牢の中に入り、捕まっているフリをする。
「重傷者は駄目だ、足手まといになる!」
 少し声色を変えて、もう1度わざと叫んだ。
「他のゴースト兵が来ないうちに早く逃げろ・・・」
 一輝は捕まっている生徒たちに逃げるように、小さな声音で言う。
「しかし・・・まともに動けない者たちばかりでは、また捕まってしまうのでは?」
 深手を負っているティアの枕になってやっているスプリングロンド・ヨシュア(すぷりんぐろんど・よしゅあ)が、まともに動けない者たちが多すぎて、逃げるのは危険だと眉を潜める。
 狼化している状態で牢に捕まっている彼は、周囲に気を配ろうと枕になっている。
「さきほど捕まった生徒もいるようだ」
 捕縛されて動けない唯乃や、美羽たちの方を見る。
「だがこのままじゃ、症状が悪化してしまう者がいるかもしれない。地上へ連れて行ってくれないか?」
「そうしたほうがいいようだな」
「地下3階の保管庫へ武器を取りにいっている生徒がいるから、彼らと合流して外へ出るんだ」
「ふむ・・・了解した」
 ヨシュアは一輝に拘束から開放してもらう。
「ありがとうございます」
 ロープと鎖でミイラのように簀巻きにされているパルマローザ・ローレンス(ぱるまろーざ・ろーれんす)も、一輝に拘束から開放してもらい、ようやく喋れる状態になった。
「では行くとしようか」
 ヨシュアたちは深手を負っている者たちと共に地下3階へ向かう。
「むっ・・・やってきたな」
 捕縛した者たちが逃げ出したことに気づいた兵が牢屋の方へ走り、迎え撃とうとユリウスは槍を構える。
「槍は、こうやって投げる!」
 ローザのタワーシールドで兵の刀をガードし、ターゲットの額を狙い槍を投げつける。
「我らも地上へ脱出しよう」
 ユリウスたちは地上を目指し、階段を駆け上がっていく。




「地下牢の階から沢山、足音が聞こえてくるです・・・」
 ファイリアが階段を降りようとすると、下の階からドタバタと足音が聞こえてくる。
「あれは・・・ウィルちゃん!」
 よろめきながら歩くウィルヘルミーナの姿を見つけて駆け寄っていく。
 他の生徒たちと一緒に、すでに牢から助け出されたのだ。
「誰か武器を回収しにいってるようだから、俺たちは先に脱出するよ」
 巽の身体を支えながら、ミサは施設を出ようと地上へ向かう。
「皆が頑張っているのに・・・何も出来なくて悔しいけどね・・・」
 ティアは自分の袖を掴み、悔しそうに呟く。
「それじゃあ僕は、施設から皆を脱出させるね」
 脱出の手伝いをしようと、リアトリスはファイリアたちと別れる。
「じゃあファイたちも武器を回収しに向かうですっ!」
 保管庫の方へ行くと、侘助と火藍を見つけた。
 侘助が鉄鎖に氷術の冷気を伝わせ、兵たちの足を凍てつかせる。
 火藍に保管庫の中にある自分の薙刀を使わせて兵の首を狩る。
「皆の武器、返してもらうですっ」
 保管庫の中へ駆け込んだファイリアは、牢屋から脱出した生徒たちの奪われた武器を見つけ両腕で抱える。
「使い魔もいるね」
 ウィノナがネズミとフクロウを回収する。
 施設から出ようと、階段を駆け上がっていく。
 一方、リアトリスたちは地下1階までたどりついていた。
「後は出るだけだから、無理やり倒そうとしないで両手を使えないように斬り落とそう!」
 兵の両手首を高周波ブレードの刃で斬り落とす。
「しつこいですねっ」
 氷術で階段を凍結させたパルマローザが、追ってくる兵を突きとした。
「もうすぐ1階の階段が見えて来る頃だよ」
 脱出しようと必死になるあまり、ミサはいつのまにか巽の手を握り廊下を走る。