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少年探偵の失敗

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少年探偵の失敗

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3. 一日目 撮影セット 午前十時二十三分

 維新です。カメラ回ってまあす。城をでたらさっそく仲間ができました。
「ねえ、自己紹介してくれるかな。メイキングの撮影なんだ。それと、ピースサインとかは、絶対しない方がいいよ」
「おぬしがそんなにして欲しいのなら、してやろう。ほら。ぴーす。ぴーす。ぴーす」
 似合わないし、不気味なのに。
 ほら。デュパンが、どっかに逃げた。
 しかも編集するの面倒くさいのに。
「ちゃんと名前から、はじめて」
「んふ。人の嫌がることをやるとゾクゾクするのう。わしは、ファタ・オルガナじゃ。見ての通り、撮影しているおぬしとお似合いの愛らしい女の子じゃ、チュ。よろしくねっ。んふんふ」
 十才くらいの女の子が、不自然なハイテンションで、投げキッスしたりして一人で盛り上がってる、好感度度外視の自己紹介です。
 ファタちゃんは、十五才以下のかわいい女の子が大好きだから、僕を手伝ってくれるんだって。
 動機はスルーして、結果重視で採用決定。
「メイキングの撮影と、かわい家全体の撮影と、現場の雑用全般、仕事はいっぱいあるから、一緒に頑張ろう!」
「仕事の後のご褒美は、おぬし、じゃな」
 出会って二分で、妖しい目つきで、それか、この少女は。
 売り手市場の就職戦線は、企業として人材を選べないっていうか、そのう。
「なにを考えておる?」
「考える余地もないです。まず、仕事しましょう」
「んふ。ウブじゃのう」
 誉めてくれて、ありがとう。