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少年探偵の失敗

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少年探偵の失敗

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9. 一日目 撮影セット 午後十二時二十一分

 実害は、標本のビンが割れたくらいだったけど、予定外のトラブルで遅れてしまったんで、お昼休みは後にして、撮影続行です。

 講堂のステージで、真都里ちゃんとホワイトちゃん、二人の生徒がピアノの練習をしていて、先生役のエルさんと尋人さんが様子を見に来るシーン。
 曲は、ショパンのエチュード「別れの曲」。
 本番前に、偶然、でてきていたピアノが得意な流ちゃんにコーチされて、ホワイトちゃんは、それなりに、らしいものを弾いてる。
 真都里ちゃんが、緊張もあってか、両手を振り回して、超現代音楽を熱演してるから、余計に、ホワイトちゃんが上手に見えるなあ。
「真都里ちゃん。発表会が近いから、放課後もがんばろうね」
「ホ、ホ、ホワイトちゃん。俺は・・・」
 真都里ちゃんがフリーズした。俺って、言ったし。
 半石化した真都里ちゃんをどうフォローしていいかわからないらしく、ホワイトちゃんの髪がうねうねしてるところへ、黒猫のデュパンがどこからともなくあらわれた。
「にゃん」
 ホワイトちゃんの胸元に飛びつく。
「あー、猫ちゃんです」
「か、かわいいな」
「やあ、キミたち、遅くまで残って練習かな?」
「あんまり上手だったから、感心しちゃったよ」
 空気がほぐれかけたところで、エルさんと博人さんの先生たちが二人の前へ。
「熱心なのはいいが、最近、妙な事件が起きてるから気をつけてな」
「ひひひひゃろと先生。エルせんせせ
「先生たち。私たちの演奏、聞いてください」
「うん。いいよ。弾いてごらん」
 二人は鍵盤にむかう。見守るエルさんと尋人さん。
「せーの」
「ニギャ!」
 曲がはじまりかけた時、デュパンが爪をだし、ピアノの二人に飛びかかった。
 直後。
 天井から照明用ライトが落ちた。
 ぐしゃん。