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【学校紹介】超能力体験イベント「でるた1」の謎

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【学校紹介】超能力体験イベント「でるた1」の謎

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第8章 Xは友好的!?

「おお、終わったか。次は俺だ」
 席をたった後も、首をかしげる比島にサイモンが何か説いているの見送りながら、
ラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)がXの前に座った。
「やあ、X。俺は、天御柱学院にきたのははじめてだ。いろいろ知りたいことがあるんだが、まずはお前と手合わせ、じゃない、感応させてもらうぜ」
 ラルクは挨拶をして、Xの目を覗き込む。
(おっ?)
 一瞬にして、ラルクは深い海の底の光景の中にいた。
(こいつはすごいぜ。肉体を鍛えるだけじゃ到達できない領域もあるってことだな。しかし、この海は、Xの記憶の中にある光景なのか? いったいXにはどんな過去があるんだろうな?)
 ラルクは、深い海の中をたゆたう。
(おや、あれは?)
 海底の岩の間に、不気味に光り輝く宝石のようなものをみつけて、ラルクは怪訝そうに声をあげた。
(何でこんなところに宝石が? しかもあれ、どこかでみたことがあるような気がするぞ?)
 ラルクは、海底にある宝石が何なのか、思い出そうとしたが、すぐにはピンとこない。
 ピンとこない理由としては、「まさかあれがこんなところにあるはずがない」という、ラルクの無意識のうちでの拒否反応も作用しているのだろう。
(この海はどこだ? 海京の近くか? この景色は、過去のものなのか? それとも、Xが近い将来に起きる何かを予見したものなのか?)
 ラルクは、まさに疑問百出の状態になった。
(なあ、X。教えてくれよ。お前はどこからきたんだ? そして、俺たちに何を伝えたいんだ?)
 ラルクは、Xに問いかけた。
 すると。
(僕は、警告を伝えにきた。君がみている景色の中にも危険はある。だが、それ以上に、人が人を滅ぼすような愚行が現実になる危険を防ぐことが、緊急の課題だ)
 Xの「声」が、感応世界に響き渡った。
(X。お前のいう危険とは何だ?)
 ラルクが、さらに問う。
(既に目にしているはずだ)
 Xのその答えに、ラルクは戸惑う。
(そういわれても、わからんさ。はっきりいってくれよ)
 ラルクは率直な要求を述べるが、Xの反応はない。
 そのとき。
(ラルクちゃん、お邪魔するよ☆)
 騎沙良詩穂(きさら・しほ)が、感応世界に入ってきた。
(騎沙良! お前もイベントにきていたのか)
 同じ大学の生徒の登場に、ラルクは心強さを覚えた。
(うん。いま、胡坐をかいて、アコースティックギターを演奏して歌いながら、感応に入ったところだよ)
(そういえば、アコギの演奏が聞こえるな)
 ラルクは、深い海の底に、どこかから低い演奏の音が聞こえているのに気づいた。
(そうだ。お前、あの宝石が何だかわかるか? あれ?)
 ラルクは、自分がみた宝石を騎沙良に示そうとしたが、振り返ってみると、先ほどまで海底にあった謎の宝石が、いつの間にやらなくなっていた。
(何のこと? それより、Xちゃんとお話しなきゃ☆)
 騎沙良はXに語りかけようと、意識を集中させる。
(Xちゃん! 詩穂は、世間との関わりを絶っていたXちゃんが、イベントで一般参加者と交流する決心をしたことに、すごく興味があるんだ。どうして? さらし者になってまで、何をしたかったの? 詩穂は、Xちゃんの気持ちをまっすぐ受け止めたいと考えているよ☆)
 騎沙良の問いに、Xの答えが返ってくる。
(繰り返し、警告を行う。人は、ときとして、行き過ぎた行為に手を染めるという欠陥を持つ)
(うーん、人間不信的な発言が多いけど、要するに何なのかな)
 ラルクは首をかしげた。
(でも、詩穂には何となくわかるよ! Xの素性について知ってること、そして、このイベントで行われていること、イベントの背後にある天御柱学院のことを考えれば! 危険とは、兵器に関する危険だよね? 学院で開発している兵器で、Xと関係するのは超能力だよ! 軍事目的で超能力の研究を行うことが、危険だといってるんだよね?)
 騎沙良の言葉に、Xはすぐ反応した。
(そうだ。「力」を人を殺めることに使うことが、どれだけ愚かなことか)
 ラルクは、騎沙良の言葉がXの同意を引き出したことに驚いた。
(すごいな! 騎沙良が相手の真意をそんなに的確に言い当てるなんてびっくりだ!)
 ラルクの問いに、騎沙良も神妙な様子だ。
(うん。でも、詩穂、頭とかは使ってなくて、勝手に言葉が出てきたんだ☆)
(何だって!? そりゃ、推理や推測じゃないな。騎沙良、お前はXとの深い感応に成功しているんだ! Xの心の中にあったことを、感じることで理解したんだ!)
 ラルクは、直感的に悟ったことを騎沙良に伝える。
(そうなんだ! でも、どうして詩穂ができたんだろ?)
(アコギの演奏が鍵か? お前、演奏のときかなり集中するだろ?)
(そうかもね☆ Xさんも、詩穂の演奏に耳を澄ませているようだったけど)
(音楽が深い感応を引き出したように思えるぞ! ほかにわかったことは?)
(えっと、ほかにはないけど)
 そのとき。
 再びXの声が響き渡った。
(既に目にした最大の危険を、それぞれの母校に伝えるんだ)
(ああ、またか。既に目にした、っていわれてもな)
 ラルクは感応世界でため息をつきたくなった。
(Xちゃん、演奏だけじゃなくて、詩穂の歌も聞いて! 感応に入ったら、歌が中断したような気がするよ☆)
 騎沙良は、演奏の音にあわせて、心の言葉で歌い始めた。
(幸せの歌、か?)
 ラルクも、騎沙良の歌に耳を澄ませる。
(ああ、感じる。Xちゃんは、詩穂の歌を。いい人だよ! 飛翔体だ、飛翔体だよ)
(何だ、何をいってる? 飛翔体って?)
 錯乱したような騎沙良の思考に、ラルクは戸惑う。
(わからないの? 既に目にした最大の危険だよ!)
 騎沙良は、どこかヒステリックな口調になっていた。
 Xとの深い感応により、X自身の感情が騎沙良に移ったか。
 いや。
 あるいは、感応の影響で騎沙良の精神は不安定になったのか!?
(おい、大丈夫か。もう、歌はやめろよ)
 ラルクは助言する。
(うん。大丈夫だよ☆ わけわからないこといってごめんね。でも、わかった。Xちゃんは、サイコ粒子を特に危険なものだと考えているんだよ)
(サイコ粒子!? あれは、会場にあるが、別に重要なものとは発表されていないような? どういうものか、淡々と説明されて終わっていたな)
(だから、本当に重要な機密を、カモフラージュで、機密でも何でもないように扱ってるんだよ。灯台もと暗し☆ って、ちょっと違うかな)
(そうか。ところで、騎沙良、深い感応をこれ以上続けるのは危険だ。一緒に出よう。だが、いいか、いま知ったことを他の連中に話すときは気をつけろよ)
(どうして?)
(お前の知ったことこそ、学院上層部が死ぬほど知りたがっているXの「真意」のひとつなんだからな!)
 いって、ラルクは騎沙良の意識を抱えて海から抜け出るようなイメージを想い描いた。
「あっ☆」
 騎沙良は、我に返った。
 Xの前に座って、アコースティックギターを演奏しながら、長い感応に入っていたのだ。
 全身、汗だくになっていた。
「疲れただろう。さあ、行こう」
 ラルクが、騎沙良を抱え起こす。
「ハラホロヒレハレ〜☆ 何だか、フラフラするよ。あと、いろんなものの奥がみえそう」
「何をいってるんだ?」
 ラルクは一抹の不安を覚えながら、騎沙良を運んでいった。
「……監視をつけろ」
 感応体験の様子をモニタしていた、学院上層部の幹部が呟く。
「空京大学の生徒ですよ。監視が発覚すれば、大学側との対立も考えられますが?」
 上層部の付き人が、意見する。
 空京大学は、天御柱学院が最も対立を避けたい学校のひとつだった。
「構わん。それだけの価値はある」
 そういった幹部のメガネが、蛍光灯の光を反射して光る。
 幹部たちは、まだ、騎沙良がXとの深い感応で知りえたことを、知らないでいた。

「さて、いよいよ私の番ですね」
 ラルクたちが去った後、月詠司(つくよみ・つかさ)はおもむろにXの前に座る。
「どうも、はじめまして。私は月詠司と申します。あなたの本名は? ああ、その様子では話せませんね。いいでしょう。後は、感応で話ましょう。私は、あなたに大変強い興味を抱いています」
 月詠は、Xの目をみつめた。
 他の参加者と同様、月詠も感応の世界に入る。
 深い海の底の光景に、月詠は感嘆した。
(これが、超能力のなせるわざの一端なのですね。実に興味深い)
 実際に感応を行ったときの感覚は、想像していたよりも遥かに刺激的であり、月詠は、感応できたというだけで自分が興奮しそうになるのを必死で抑えていた。
(X。私がお聞きしたいのは、超能力とは何なのかということです。超能力は魔法とは違うという風に聞いているのですが、具体的にどのように覚醒するものなのですか? 全部は教えられないかもしれませんが、せっかくこうして感応しているのです。何らかのお導きを頂ければ幸いです)
 月詠は、Xに問うた。
 月詠の、超能力のことを知りたいという想いは、真摯なものであった。
(魔法は、どこか科学と似ている。科学と違う方向からアプローチしているが、魔法も、物質間の法則を究め、法則を利用することで成果を出そうとする)
 Xの「声」が響いた。
(それは、私も既に知っていることです。超能力は、魔法や科学とどう違うのですか)
 月詠は、真摯に尋ね続ける。
(超能力は、もともとある法則を利用するのではない。それどころか、法則を飛び越えようとする)
(えっ、どういうことです? 比喩的な表現ではわかりにくいのですが)
 謎めいた説明に、月詠は戸惑った。
(超能力は、法則を崩そうとする)
 Xの説明は、断片的であった。
(物質間の法則を崩す? 宇宙の秩序を無視するというのですか? でも、そんなことをすれば)
 聞けば聞くほど、月詠は迷路に迷いこんでいった。
(そう。「力」は、危険だ。だからこそ、慎重にならざるをえない)
(そもそも、そんなことがなぜできるんです?)
 月詠は、超能力がどこか自分の理解を超えているように感じ始めていた。
 だが、そんなことはないのだ。
 月詠自身の中にも、「力」はあるのだから。
(超能力は、自我のある存在が、自分の望みどおりに世界を改変していこうとする「力」だ。自分自身の中から掘り起こして発動する)
 Xの説明は、そこでプツッと切れた。
 まるで、これ以上伝えるのが危険だとでもいうかのように。
(自我のある存在が? つまり、人でなくても可能だと? 自分自身の中から掘り起こす、とは? 自分の望みどおりに改変するなどとは、傲慢なことでは? というより、何で望むことで法則を崩せるのか? ちょっとムチャクチャじゃないですか)
 月詠は、次第に混乱してきた。
(超能力は、私の理解を遥かに超えますね。Xは荒唐無稽なことをいっているように思えますが、現に、彼の「力」が、私を感応の世界に引き込んでいる。学院は、この摩訶不思議な作用をどうやって研究するつもりなんでしょう?)
 わからないことだらけだが、月詠は、興味を強くかきたてられていた。
(X。ありがとうございます。私自身がより研鑽していく中で、またあなたの教えを請うこともあるでしょう)
 礼をいって、月詠は感応から抜け出た。
 だが、月詠は、「力」を外側から眺めて研究する必要などはないのだ。
 Xとの感応により、月詠自身の「力」が目覚め始めているのだから。

「さあ、僕の出番ですね。Xさんとゆるりと語りあうとしましょう。意外と、マブダチになってしまうかもしれませんね」
 難しい顔で考え込みながら月詠が退席した後、神和綺人(かんなぎ・あやと)が颯爽とXの前に座った。
「綺人、本当に大丈夫なのか。Xがどのような人格の持ち主かはわからないのだ。礼節を尽くして接しなければ、ちょっと変な言葉遣いをしただけで怒り出すかもしれないのだぞ」
 ユーリ・ウィルトゥス(ゆーり・うぃるとぅす)は、綺人のキャラを知っているだけに、Xの怒りをかうのではないかと、心配でならなかった。
「大丈夫ですよ。イヤだな、そんな、まるで僕の話し方が変だといわんばかりですね。これでも、歌はうまいんですよ」
 ユーリの心配をよそに、綺人はニッコリ微笑む。
「歌が関係あるのか!? まあ、これまでの各体験をみる限り、音楽が深い感応を導き出すようではあるが」
 綺人は、深い考察のもと話しているのか、それとも、単なる天然ボケトークなのか。
 はっきりしないので、ユーリは苛立った。
「心配いりませんよ。私もアヤについていくのですから。アヤのためにがんばります! ところで、感応って何ですか?」
 綺人に並んで、クリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)もニッコリ笑っている。
「……」
 だから余計に心配だ、という言葉を噛み殺して、ユーリはぶすっという顔になった。
 綺人とクリスのダブル笑顔を前にしては、何をいっても無駄だという気になる。
「それでは、潜るとしましょう」
 綺人とクリスは、ともにXの目をみつめた。
 たちまちのうちに、2人は深い海の底の光景の中にいた。
(す、すごいです! これが感応!?)
(そうです。クリス、これが強化人間Xさんと精神感応を行った者が引き込まれる、心の中の世界なのです)
 あたふたするクリスに、綺人が解説する。
(Xさん! あなたのもともとの名前は何ですか? 名前はその人そのものをあらわあす、大切なモノです。できれば、あなたをもともとの名前で呼びたいものです。ちなみに、僕は神和綺人といいます。アヤと呼んでも構いませんよ)
 綺人は、おっとりとした口調で呼びかけた。
(私はクリス・ローゼン! クリスちゃんって呼んでいいですよ!)
 クリスも、無邪気な口調で呼びかける。
 Xからの反応はない。
(おやおや。お昼寝でもなさっているんでしょうか? 子守り歌でも歌ってあげましょう。ね〜むれ〜)
 何を思ったか、その場にそぐわぬ歌を歌い出す綺人。
 その歌は、感応を外から眺めているユーリにも伝わった。
「何だ!? 感応しながら、歌い始めたぞ。しかしこの歌、ナメてるのか?」
 ユーリは、いよいよ不安になってきた。
 綺人もクリスも、Xの怒りをかって、精神を破壊され、廃人にされてしまうのではないか?
 そうなる可能性が高いだけに、笑えない想像である。
 しかし。
 綺人に対して、Xからの返答がきた。
(ありがとう。だが、僕は眠るわけにはいかない。まだまだ、他の参加者が控えているのだから)
 その言葉に、綺人は歌うのをやめる。
(これは失礼しました。Xさん、僕の話を聞いていないのかと思いましたよ。いまのご気分はどうですか?)
 綺人はマイペースに語り続ける。
(僕の気分は、まだ一定だ。綺人。君に、邪心はないようだね。クリスも、瀬織も、そしてクレアも、信頼していきたいと思っている)
 やや多弁に語るXに、綺人もクリスも歓迎されているような感じを覚えた。
(ありがとうございます。ところで、瀬織もいるんですか?)
 綺人の素朴な疑問に、神和瀬織(かんなぎ・せお)は一瞬びくっとしたが、すぐに答える。
(そうです。わたくしも、少し後から潜ってみました。わたくしは魔道書なんで、感応はできないかと思ったら、Xさんは、すぐに気づいてくれました。魔道書でも精神感応できるとわかって、嬉しいです)
 瀬織は、Xに声をかけられたことに少し感動していた。
(僕は、魔道書でも当然感応できると思ってましたよ。だって、心があればみんな友達なんですから。えーっと、それで、クレアさんという人もいるんですか?)
 綺人の問いに、クレア・シュミット(くれあ・しゅみっと)が答える。
(はじめまして。さっき、瀬織さんと一緒に入らせてもらった。乱入するようで申し訳なかったが、あなたたちとXの対話をみていれば、私のXについての考察のよき参考になりうると思ったのだ)
 クレアは、落ち着いた口調で答える。
 クレアは、Xと交流するうえでの「適度な距離」を模索したいと考えていたのだが、綺人たちがXに無邪気な絡み方をするのをみて、それに対するXの反応を是非みたいと思ったのだ。
 そして、ある程度の答えは出ていた。
(Xが綺人さんに友好的な反応をするのをみて、驚いた。どうやら、Xは本質的には穏やかな人格を持ち、誰かが遠慮もなく近寄ってくることを、かなりの程度まで許容するようだ。つまり、Xは自分の壁に閉じこもらず、多人数との接触を嫌がらない、友好的な人間なのだな)
 クレアの考察に、綺人は同意するが、複雑な気持ちだった。
(Xさんの心意気は、確かに感じました。それにしても、僕はそんなに遠慮がなかったですか?)
(気にすべきではない。綺人さん。あなたの器は意外に大きく、人に不快感を与えるものではないのだから)
(はあ)
 クレアが誉めているのかどうかが、綺人にはわからない。
(しかし、私の考察が正しいとするなら、Xがどこか近寄りがたい存在に思われてきたのは、これまで学院上層部が彼を封印し、他との接触を絶ってきた影響であるようだ。そして、Xは、学院上層部の幹部たちや研究スタッフたちに対しては、彼にとって例外的なことに、友好的な態度を示さなかった。だからこそ、扱いにくいとされ、このイベントで多数との接触を許されたわけか。ふむ)
 クレアは、自分の考察がスムーズに進んでいることを喜びたかったが、それでもなお、Xの全貌をとらえられたわけではないと感じていた。
(ということは、彼は私が思っていたほど「病的」ではないということか? むしろ、かなり健全な精神を持っている? しかし、彼の外観はどうだ? なぜこうも崩れさった感を与える? しょせんは強化人間ということか? どこかに得体の知れなさを感じるのは事実だ)
 気がつくと、クレアは感応から抜け出て、しきりに考察にふけっていた。
 傍らで、綺人とユーリの話す声が聞こえる。
「ユーリ、あなたが心配したような問題は起きませんでしたよ」
「結果的にうまくいったが、危険な行為だったという認識は持つべきだな。それに、うまくいってXと友好的な関係になれたなら、それはそれで危険をもたらすだろう」
 ユーリは油断のならない視線を周囲に送っている。
「えっ? どういうことです?」
 綺人は、なぜか、ユーリのいうことが全くわからない。
「学院上層部は、Xの『意向』を知る可能性のある者を放ってはおかないということだ。さあ、行くぞ」
 綺人たちは、退席。
 遅れて、クレアも考え込みながら、一人退席していった。