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【ろくりんぴっく】貫け! 君の想い!

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【ろくりんぴっく】貫け! 君の想い!

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第5章


 実況が終わりを告げると、観客から選手達を称える拍手が巻き起こった。
 全員が湖から出ると、陽太は敵チームへと握手を求めた。
 その行動を見て、他の選手達も握手を求め、爽やかな幕引きとなった。


「あの時は応援ありがとうな」
 ケイがホイップやティセラ、カナタ、ベアへと近寄り、お礼を言った。
 応援していた人達が全員びしょびしょなのは、キャプテンが浮上した際に、応援用の丸い台も一緒に巻き込まれたらだ。
「あの声援のおかげで頑張れました!」
 ソアも、嬉しそうに言う。
「みんな格好良かったよ!」
「ええ、何かに一所懸命になっている姿は美しいものですわ」
 ホイップとティセラが口ぐちに言うと、それを見たケイやソアは顔を見合わせ、笑いだした。
「な、なに?」
「なんでしょう?」
 その様子にホイップとティセラはきょとんとしてしまっている。
「うん、すごく仲が良さそうだなって」
「そうです、そうです」
 ケイとソアの言葉を聞いて、ホイップとティセラが笑顔になったのは言うまでもない。
「あ、ホイップーー!」
 ホイップに気が付いて、声を掛けてきたのは歌菜だ。
 走って近寄って来る。
 その後ろにはブラッドレイもいた。
「歌菜さんもお疲れ様!」
「うん! 負けちゃって悔しいけど……後悔はないよ!」
 負けたことに関しては本当に悔しいのだろうが……笑顔でいるので、楽しめたようだ。
「カナ、よくやったな。ずいぶんと逞しくなったものだ」
 ブラッドレイが歌菜の頭をなでなでしながら言うと、歌菜は笑顔をそちらに向ける。
「レイ、今日は一緒に戦ってくれて有難う! これからも……宜しくね!」
 仲睦まじい兄妹のようだ。


 ホイップ達とは離れたところで、エルとグランが対峙している姿が見える。
 その様子を物陰からそわそわしながら見ているのはホワイトだ。
「単刀直入に聞く。グランさんは……ホイップの事が好きなんだよな?」
「………………はい」
 少しの沈黙の後、グランは正直に答えた。
「わかった……。ボクは今まで、ナンパだった頃に心がけていたことがあるんだ」
 グランはエルの言葉にちょっと首を傾げながらも口を挟まず、大人しく聞く。
「恋人持ちには手を出さない。本気で嫌がられたり、断られたらそれ以降、絶対に手を出さない。……そして、もし1人の女性を誰かと競うことになった時、想いが負けたらあきらめる」
 グランは最後の言葉を聞いて、はっとする。
「でも、これは今には当てはまらない。例え今、ホイップへの想いがグランさんの想いに負けたとしても、諦めるわけにはいかない」
 エルの力強い言葉をグランは真剣な表情で受け止めた。
 ホワイトは、ほんの少しだけ寂しいような、泣きたいような、嬉しいような……複雑な顔をしていた。
 誰にも見られることはないだろう。
「ホイップちゃんが幸せであれば、それで良いと思って言わずにいたのですが……そうですね、それはエルさんに失礼ですね。ボクもホイップちゃんを諦めません」
 エルとグランはにやりと笑うと拳を突き合わせ、互いの健闘を称えた。
 そのまま、2人は背を向け合い、違う方向から帰っていったのだった。


 観客もいなくなったヴァイシャリー湖では、1艇のカヌーが出ていた。
「たまにはこうやって、のんびりするのも良いよなぁ!」
 昶が言うと、北都も、そうだねぇと頷く。
 競技では北都が漕いでいたが、今は昶が漕いでいる。
 湖の底は元の色を取り戻し、もう何もいない事を告げている。
「バタバタした戦いだったけど、楽しかったよな!」
「うん。東チームは負けちゃったけどね」
 ちょっとだけ残念そうに北都が言った。
 北都は左手を湖に少しだけつける。
 手の後ろには、波が少しだけ立ち、道を作った。
 こうして、ヴァイシャリー湖には元の静けさが戻ったのだった。

担当マスターより

▼担当マスター

えりか

▼マスターコメント

 大変お待たせしました!
 そして……遅くてごめんなさい……。
 ろくりんぴっく『ボート競技』の結果でございます。

 色々と競技ルールの穴を見つけて、アクションを掛けてきた方がいて……こんな結果になりました!

 途中、ずっと実況だったりとか……。
 ええっと……少しでも楽しんでいただけたのでしたら嬉しいです。

 次のシナリオはまた、マスターページで告知をさせていただこうと思っていますので、宜しくお願いします。
 ではでは!