シャンバラ教導団へ

百合園女学院

校長室

薔薇の学舎へ

闇世界の廃工場

リアクション公開中!

闇世界の廃工場

リアクション


第6章 ずれ始める歯車Story2・・・デス・ダンス

-AM11:00-

「カガチたち遅いな・・・」
「もしもーし。俺をお届けに来たよー」
 冗談交じりに言い、カガチはコンコンッとドアを叩く。
「待ってたよ!あれ、果物は?」
「あー、俺も五条ちゃんも生憎金欠でね。でもちゃんとフル装備で来たから簡便してくれないかな」
「そっか、分かったよ」
 お金はないけどゴーストを倒すことだけはちゃんとやると言う彼に真は思わず苦笑する。
「このメンバーだと何か危険な匂いしかしないんだけど?」
 まさかと五条が不安そうな顔をする。
「ん?もしかして知らないで来ちゃったのかな五条ちゃん。俺はいつものことだから分かってたけどねぇ。夜中に呼び出されるのがデフォになりそうだよ」
「ま、待て。夜中に呼び出されるほど、そんなにやばいもんと戦うのか!?」
「うーん、腕の1本や2本はね。おや、来たようだよ」
 ドスンッドンッと乱暴にドアを叩くような音が響き、花散里と初霜抜き放つ。
「あのおてんばどもより、こっちのほうがはるかにマシさ」
「は、はぁあ!?こっ、こいつら・・・ゴーストじゃないか!おぉおお俺が心霊現象知ってて呼ぶなんて・・・っ」
「おてんばに腕の1本マジで持っていかれそうになったから、こいつらのほうがまだいいよ。向こうに行ったって、悪霊に憑かれるかもしれないんだから」
「あ、悪霊・・・憑かれるっ!?はっははは・・・。あっははは!!こりゃいいぜぇえっ、ぶっ殺しタイムといこうじゃねぇか!」
 恐怖のあまり気がおかしくなったのか、ゲラゲラと高笑いをしてハイテンションになってしまう。
「カガチぃ、ゲームしようぜェ。ゴーストハンティング。沢山ゴーストブチ殺した方が勝ちな。負けたり死んだりしたら昼飯おごり」
 改造人間パラミアントに変身した五条は、扉を破って侵入してきた亡者を鉄甲と一体化した腕で殴り潰そうとする。
「はは、おーけーおーけー俺ぁ明日はもう財布もってかねえからよ、朝ちゃんと金下ろしとけよぉ?」
「そりゃ勝つ気でいんのかぁ?」
「最近、椎名くんに呼び出されまくって寝不足だからねぇ。疲れを癒してくれるパラナミンCもおまけにつけてもらおうかな」
 カガチは栄養ドリンクもおまけに欲しいとずうずうしくリクエストする。
「いいぜぇ、勝ったらの話だけどな!ただし俺の勝ちなら、ロイヤルゼリー配合のパラミタンEXを5ダースおまけにつけてもらうぜっ」
 昼飯にプラスアルファーつける話をしながら、五条はドラゴンアーツのパワーでラプチャの頭部をプチトマトのように潰す。
 頭から引き抜くとぬちゃっと脳漿がつく。
「さぁ火葬パーティーといこうぜぇえ?ディストーション掛かったシャウトをあげながらよォ、朝まで楽しくモッシュとイこうぜェ?」
 まだ動こうとするゴーストを、腹部に手を入れて中から爆炎波の炎で焼き尽くす。
 臓物がゴォオウッと燃え、吐きそうなほどの死臭が漂う。
「殺気でそこにいるのは分かってんだっ。こそこそしてねぇで俺と戯れろよぉお」
 手摺から壁へと飛び移り、天井からギロチンのような刃で狙う亡者の首をひっつかむ。
「このラインから1歩でも奴らを入れたら執事さんのこあいお仕置きが待ってるからねえ。体ぶっ千切れても守りきるぜえ五条ちゃん」
「そりゃあ、実力行使でフルボッコにされんだろうなぁっ」
「洞窟の館なんてダンスにゃもってこいだねえ。さあ踊ろうぜぇ、不眠症の腐りかけのレディども」
 ぐねぐねと身体をくねらせ、長い舌で自分の位置をさぐろうとするゴーストの首を刎ね飛ばす。
「これで10匹かねぇ?」
 カガチは剣の舞のように雷光閃の青白い雷光を放ち、女の姿をした亡者を灰にする。
 ころんと転がった目玉を踏み潰すと、サァアッと黒い灰となって消え去る。
 一方、真はオメガとミニミニを連れてリビングへ走り、ナラカの蜘蛛糸を張り巡らせソファーやテーブルでドアを塞ぎバリケードを作る。
 もし侵入してきたらサイコロステーキのようにバラバラになり、スプラッターなことになるだろう。
「あの向こうで休憩しようものなら、間違えなくナラカ逝きだよ」
 SPタブレットをガリッと噛み砕き補給する。
「そりゃあ魔法でも治らないだろうぜ?」
「ははは。俺は病院送りになるなんてそれこそデフォだからねぇっ。1人じゃ寂しいから隣に来てよ」
「断るっ!カガチの隣は真だって決まってんだろっ。ち、冗談言ってたら囲まれたぜ・・・。2度死ぬ気分ってどうなんだろうなぁあ?そういやぁもう死んでるから2度ってことはねぇか!」
 則天去私の拳で頭部を粉々に破壊し、石畳の上へ破片がベショッと飛び散る。
 顔面を潰されながらもギェエッと金きり声を上げ、仕留めきれなかったゴーストの刃が五条の腹をブシィイッと斬り裂く。
「ぐっ、ぶ・・・っ。ち、油断したか。へっ、こんなもの痛いうちに入らないぜ。失血多量になるまで暴れてやらぁあっ」
 血と一緒にSPタブレットを飲み込み、ぶっ倒れるまで遊んでやると嬉々として動かない心臓をブシャッと握り潰した。

-PM15:00-

「いたーっ!見つけちゃったねぇ♪」
 秦天君の姿を見た霧雨 透乃(きりさめ・とうの)が、嬉しそうにニコニコと笑う。
「他の生徒は・・・いないみたいね」
 月美 芽美(つきみ・めいみ)は周囲を見回し、周りに人がいないか確認する。
「クレイジーバードな小娘たちか。何のようさ?」
「何よ、そのネーミングは」
「ピーピー煩いっていう意味だねぇ。中身はまるで血に飢えた獣って感じ?まぁ、男は寄ってこなさそうかねぇ」
「はぁ?そんなのどうだっていいわ。寄ってこようがどうしようが、殺し合いには関係ないもの」
 わざとらしくバカにしたように言う女に、フンッと笑い飛ばす。
「殺し合いねぇ。いいよ、ただし・・・骨を折られても文句を言うんじゃないよ」
「えぇ言わないわ。そんなの見苦しいだけよ!」
 神速の速さで間合いを詰め顔面を狙う。
 ヒュパッ。
「ただの目に映る速さじゃあ、あちきは倒せないよ」
 彼女の拳は簡単に手の平で止められてしまう。
「握り潰そうかぁ?」
 つまらなそうな顔をし、ギリギリッと爪を立てる。
「くっ、なめるんじゃないわよ」
 表情をまったく崩さず見下ろされたことに苛立ち、腹部に膝蹴りをくらわそうとする。
 ゴスッ。
 芽美の行動をまるで読んでいるかのように膝で止める。
「あなた、先の先でも使ってるんじゃないの?」
「さぁどうだろうねぇ?自分の行動がちゃんと見えれば分かるんじゃないかねぇ」
「どういう意味よ・・・」
「芽美ちゃんだけ戦うなんてずるーい!」
 ぷんぷんと怒り顔をした透乃が眉を吊り上げ、秦天君に殴りかかる。
「技や武器は使わないさ。その代わり、何だって使ってやるけどねぇっ」
 秦天君は芽美の片腕を掴み、透乃に向かって力いっぱい投げ飛ばす。
「あわっ!大丈夫、芽美ちゃん」
 投げられた彼女の身体をキャッチする。
「何とかね・・・」
「ぶつかって肋骨でも折れてくれればよかったのに残念ねぇ」
「そう簡単に折れないもんっ」
 ムッとした透乃はコンクリートの床を走り正面から突っ込む。
「ぜーんぜん当たらないねぇ」
「うわぁんっまた避けられた!」
 狙いやすいように何かに飛び乗ろうにも、足場になりそうなのがほとんどない。
「むーっ、体術を使わないとあの棚とか飛び乗れないよねぇ」
 あるにはあるがさすがに軽身功を使わないと飛び乗れない高さだ。
「えぇん芽美ちゃん、当たらないよぉ」
 床に手をつきカカトで足を狙ってみるが、身軽な彼女に避けられてしまう。
「せめて軽身功くらい使いましょうよ」
「やだぁあ!向こうは何も使ってないんだよっ」
「そんなこと言われてもね。やらなきゃこっちが重傷負わされるのよ」
 騒ぐ透乃をちらりと横目で見て、棚に手をつき延髄蹴りをくらわす。
「フッフフ、腕にヒビが入ったかしら?」
 首をガードした腕がミシィッと音が響き、芽美は思わずニヤッと笑う。
「小娘ふぜいが、なめるんじゃないよっ」
 たかだか数年生きた小娘相手に傷を負わされたと、怒りのあまり秦天君はぽっくりで彼女の背を蹴りつける。
「かはっ、こほっ」
 床へ突っ伏した芽美が、げほげほと咽る。
「―・・・芽美ちゃん!」
 透乃は彼女の傍にぺたんと座り、めそめそと泣いてしまう。
「泣かないで。まるで死んじゃった人みたいじゃない」
 痛む身体を芽美は無理やり起こし冷たい床から立ち上がる。
「身の軽さだけじゃ勝負がつかないのかしら。―・・・霧!?」
 ソニアのアシッドミストで突然、視界を塞がれてしまったが、彼女の目的は秦天君だ。
「こんなものであちきを捕らえられると思っているのかいっ」
 秦天君はテーブルに飛び乗り、サイコキネシスで蛇のようにうねうねと動くロープとアウタナの戦輪を避ける。
「よし、今だ・・・ぐぁ!?」
 則天去私で追い詰めようとするが、ゴツンッと頭突きをくらわされる。
「小僧・・・なんのマネだい?」
 光学迷彩で姿を消していたグレンは右手に銀の飾り鎖を巻きつけ、パワーブレスで強化し殴って気絶させようとするが、両手で止められてしまう。
「この野郎、離せ!離しなっ!」
「(仕方がない、眠らせるか・・・)」
 暴れる彼女にヒプノシスの催眠をかけ眠らせる。
「何・・・?あ、あなたたち何やってるのよ!」
 秦天君を逃がそうと、外へ連れ出そうとしているグレンたちの姿を見つけた芽美が怒鳴る。
「まだ勝負はついてないわ。邪魔するなら殺すわよっ」
「(悪りぃなっ、無闇に殺させるわけにはいかねぇんだ)」
 追って来ようとする芽美たちに、ナタクがしびれ粉を撒く。
「卑怯よ、覚えてなさい!」
 芽美の怒鳴り声が倉庫内に響き渡る。