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「うぎゃあ!」
 声がする。それはシャムシエルから命を受け、ティセラ・クローンを援護しているマッシュであった。
「ほら、やっぱり!」
「あらあら…」
「猫、ですか?」
「知りませんわよ、私には」
「ならば何だ。わらわにも説明せよ」
 思い思いに口を開くと、美羽はベアトリーチェに耳打ちした。どうやら彼女、先ほど自分に投げつけられた飴に、何かひらめいたらしい。言い終わると、ベアトリーチェはこくりと頷いた。そしてエクス、睡蓮、プラチナに小さな声で説明した。
「もう一度、偽ティセラさんに全員で攻撃を仕掛けましょう」
 三人は不思議そうな表情を浮かべるが、何か企みがあるのはわかったので、頷いた。
「何度掛かってきても、同じ事ですのよ?」
 武器を手にティセラ・クローンへと向かっていく四人。と、そこで、ティセラ・クローンに向かって何かが飛んでいった。それは紛れもなく、先ほど美羽が投げつけられた物だ。
それは紛れもなく、今回の事件の根源だ。
「こ、これは――!?」
 思わずティセラ・クローンが動きを止めた。
すると周囲に、随分と甘い匂いが漂い始める。
「ふん、そう言う事か。ようやくわらわにも理解出来たわ」
「うわぁ、美味しそうな匂いですね」
「私はあの手の匂い、あまり好きではないですけどね」
 エクス、睡蓮、プラチナムは徐々にキャンディとなっていくティセラ・クローンを見つめて言った。
「さて、それでは偽ティセラさん。もうこんな事はしないで、いい子にしていてくださいね」
 ベアトリーチェが彼女の近くまでやってくると、彼女の懐からエリクシル・ソーマを取り出した。
「戴きます」
 にっこりと笑顔を浮かべてから、彼女はティセラ・クローンに背を向けた。その後、ティセラ・クローンは飴となったまま、崩れて跡形もなく消えてしまった。
 物陰からマッシュの尻尾を握って出てきた美羽の前にやって来たベアトリーチェが、エリクシル・ソーマを渡した。
「ありがと♪毎度助かるよ」
「どういたしまして。それより、皆さんの下へ戻ってあげてください。皆さんには私から連絡しておきますので」
 美羽はエクス、睡蓮、プラチナムにも礼を述べると、足早にその場を後にした。
「さて、では私は電話して、みなさんにお伝えするとしましょうか」
 徐に携帯を取り出すと、彼女はセイニィに電話をする。
「もしもし、私です。今エリクシル・ソーマを美羽さんが届けに…え?シャムシエルをお仕置きしてから帰るから遅くなる?はい。わかりました、伝えておきます」
 ベアトリーチェの言葉を聞いていた三人は笑っていた。
「可哀想にな」
「仕方ないですよ、こんな問題起こしちゃったんですもの」
「私はどちらかと言うとそちらに参加したかったですけどねぇ…お仕置き」
 エクス、睡蓮、プラチナムが話していると、ベアトリーチェが話しかける。
「私たちもそろそろ帰るとしましょう」
「そうですね」
「わらわは疲れた」
「みんな一緒ですからね」