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第4章 獅子の宴

 シャンバラ教導団、軍人養成学校として名を連ねているここではすでに隊を組んでいる生徒たちもいる。
 『鋼鉄の獅子』、レオンハルト・ルーヴェンドルフ(れおんはると・るーべんどるふ)が隊長を務めるそこでも新入隊員を迎えていた。
 そこで彼は新人歓迎会を翔した催し物を開くことを各員に通達。
 昼休み前の時間、慌しそうに料理をしているシルヴァ・アンスウェラー(しるば・あんすうぇらー)ルイン・ティルナノーグ(るいん・てぃるなのーぐ)ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)ウォーレン・アルベルタ(うぉーれん・あるべるた)の4人。
 大人数ではあるが、それにしてはと言わんばかりの料理を続々完成させていく。
「うわっ!? もうすぐ昼休み始まっちゃいます!! シルヴァ様シルヴァ様、煮物類大丈夫かな?」
「任せておけ、もうすぐ終わる。 ダリル、そっちはどう?」
「問題ない、こちらももうすぐ終わる。 ウォーレン、そっちはどうだ?」
「心配するな、煮込み料理に関してなら大船に乗ったつもりで安心していろ」
 忙しさの中にも何処か和気あいあいとした時間が流れる。
 そんな4人が懸命に作っている料理をこちらも忙しそうに運んでいくナナ・マキャフリー(なな・まきゃふりー)
「すみません、どいてください! 通りまーす!!」
 周りに聞こえるように大声を上げながら、小走りで駆けていく。
 そんな姿を見ているのはレーゼマン・グリーンフィール(れーぜまん・ぐりーんふぃーる)イライザ・エリスン(いらいざ・えりすん)だ。
 レーゼマンはナナの後をついていくように歩きだすが、何故かイライザはどこか違う場所を見ている。
「どうしたイライザ? 早くしないと遅れるぞ」
「マスターはお先に。 私は手伝ってまいります」
「待て、何処へ行く気だ?」
「もちろん、厨房という戦場でございます」
「やめろ、一気に戦況悪化を招きかねない事態になりかねんことになる。 そんなことになれば二人して銃殺刑間違いなしだ」
「大げさでございます、少し手伝うのでありますから」
 厨房へと向かうイライザを必死で止めるレーゼンの顔色は青くなる。
 イライザの料理は壊滅的で、某学園の金髪美少女も真っ青な腕なのだ。
 何とも死守しなければ何をされるか分かったものではない、と一人影に刻々と迫りつつある死神に怯えるレーゼマンだった。


「はいはーい、注目!! それではこれより『鋼鉄の獅子、新人歓迎会』を開催します! 司会進行は私ルカルカ・ルー(るかるか・るー)が務めさせていただきます!! それでは挨拶と乾杯の音頭を我らが隊長、レオンハルト・ルーヴェンベルト様です。 どうぞ!」
「諸君、今年も我らが隊に新人が入った。 今後もこうした機会は増えていくだろう、その時は下の者に抜かれるように気をつけるがよい。 遅れを取るものは容赦なく置いていくからな、覚えておけ。 それでは無礼講と今はしよう、乾杯!」
 昼休みの中庭の一角、鋼鉄の獅子の歓迎会が開催されていた。
 教導団の許可をもらっているのか、そこには他の生徒の姿はなく小隊メンバーのみそこにいた。
 ルーの司会、レオンハルトの挨拶とも思えない言葉の後に些か重い空気の中、歓迎会が始まる。
「がっはっはっは!! 騒ぐぞ騒ぐぞ〜!! ほらてめえらぁ、飲め飲め!!」
 盛り上げ役としてルース・メルヴィン(るーす・めるう゛ぃん)が場の空気を導いていく。
 彼の行動で、レオンハルトの言葉を聞いて緊張感を覚えていた者たちも気楽になり始める。
 やがて場の空気はどんどん上がり、笑い声が絶えない空間を形成していた。
「あーあ、梅琳とレオンも来ればよかったのに……」
「まぁ仕方ないんじゃない、任務があるんならどうしようもないしね」
 そんな中で、橘 カオル(たちばな・かおる)は残念そうに声を上げる。
 ここにはいないが実はカオル一人誘ったのだが、仕事のため断られてしまったのだ。
 カオルの言葉に同調するようにルーもまた、断られたのだ。
 こればかりは仕方がないと決めて二人は歓迎会を楽しむ。
 そこへ、遅れながらも合流する二つの影が現れた。
「すみません、遅れました」
「やっと一息つけるよ〜、もうヘトヘト」
「やっほう、悠に翼」
「仕事の方は落ち着いたみたいだな」
「はい、さっき報告書を提出してきたので問題ないと思います」
 遅れて登場したのは月島悠(つきしま・ゆう)麻上 翼(まがみ・つばさ)の二人だ。
 気付いたカオルとルーは二人を席に誘導して、飲み物を提供する。
 よほど喉が渇いていたのか、渡された飲み物を一気に飲み干す翼と、休み休みではあるがこちらも飲み干す悠。
 そんな二人の到着に気づいたレオンハルトがルーを呼ぶ。
「役者はそろった、始めよう」
「お、了解です!! はーい皆さん注目!! それではこれより、ゲームを開催しまーす!」
 ルーの言葉に全員が耳を貸して、きょとんとした顔色を浮かべる。
 そんな様子を見て内心レオンハルトはこの後どうなるか楽しみにしているなど誰も知らなかった。