校長室
学園祭に火をつけろ!
リアクション公開中!
◆ ロア・ドゥーエ(ろあ・どぅーえ)は、昼前から共に文化祭を回っているレヴィシュタール・グランマイア(れびしゅたーる・ぐらんまいあ)、グラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)、ゴルガイス・アラバンディット(ごるがいす・あらばんでぃっと)を前に座りこんでいた。 「くそー、回る順番間違えたって、ぜってー」 「何とだらしのない! 地べたに座るな、みっともない!」 アミューズメントブースの外れ、ロアは疲れからか地面に座り、足を投げ出してた。 「まさかこっちの方、全然休憩する場所がないなんてな。それにしても大丈夫か? ロア」 「いただけないな。何処かに休める場所でもあれば良いのだが――と、あれは…………」 ロアを心配して声をかけるグラキエスの隣、懸命に休める場所を探していたゴルガイスはそこで、何かを見つけた。 「あれはなんだ?」 「うぉ! クレープだっ! やったゴルガイスの旦那! あんたやっぱナイスだ、行こうぜグラキエス!」 「お、おいロア、そんなに走ったら不味いだろ! 店は逃げないから落ち着けよ」 「大丈夫だって、行こうぜ! ほら、レヴィシュタールも置いてくぞ!」 「走るな! 全く………すまんな、アラバンデット殿」 「何、気にする事などない。若い内はああでなくては困る。はっはっは」 ロアが走っていったのは、体育館付近にあるエースたちの出しているクレープ屋『くれーぷ☆きんぽうげ』。 「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいます?」 先行する(と、言うよりは半ば強引に連れてこられた)グラキエスの元にエオリアが笑顔でやって来た。 「とりあえずクレープ四つ!」 「………ロア。念のために聞くけど、それはみんなの分、だよな?」 「あぁ、そっか! ごめん、お兄さん、クレープあと三つ追加ね!」 「え……と、では、全部でクレープ七つで、良いですか?」 「よろしくー」 「ロア、絶対食べ過ぎだよ」 「そんな事無いぞ! これからの事を考えたら控えめにしとかないとさ」 「控えめに…………? それでか」 勿論、と胸を張る彼。と、彼らが座っていた席に、後からやって来たレヴィシュタールとゴルガイスもやって来て席についた。 「ん? なんの話をしていたのだ?」 「クレープを頼んだから、それの話」 「ほう、その話は」 「俺がクレープ頼んだんだけど、グラキエスは食べ過ぎって言うんだ」 「ロア、何個頼んだんだ?」 「四つ。あ、でも安心しろよ、皆の分も頼んだんだぜ」 「そう言う問題じゃない」 大きくため息をついたレヴィシュタールは頭を抱えるだけだった。 四人がそうこう話をしていると、彼らの後ろで未散とルカルカ、ハルとダリルが、エース、メシエ、クマラと話をしていた。 「そう言えば、なんだかこの辺りが午後からさわがしくなってきたんだが、知ってるか?」 「さぁ、体育館でなんかやんじゃねぇの」 エースの質問に未散が答えた。するとハルが懐からパンフレットを取りだし、机の上にそれを広げる。 「流石に準備が良いな。ふむ、どうやらやるらしいな、何か」 ハルのそつない行動に関心するメシエ。 「ヒーローショー………へぇ! 粗方出店は見ちゃったし、見に行ってみる?」 ルカルカの提案に対し―― 「良いだろう。ただし未散の隣は俺だ」 「いや、そこは私が」 いがみ合う二人。 「でっけーお二人に囲まれんのはうっとーしいからやめてくれ」 「じゃあオイラ」 「お前はいい加減働け」 「うぁーん、エースの意地悪ぅ………」 そのやり取りを聞いていたグラキエスが、三人に訊ねた。 「どうする? 俺たちも見に行ってみるか――て、ロア、食うのにマジになりすぎだろ………」 「私はどちらでも良いが――」 「貴公らの任せよう。行きたいのか、グラキエスよ」 「そうだなー、見たことないし、見てみてーってのはあるよ。やっぱり」 「ならば行こう。ロアもそれならば付き合うだろう」 懸命にクレープを食べるロアに三人は苦笑を浮かべて目をやった。