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リアクション
Interval
「いやー……良い天気ですね」
「そうっすね」
「釣れますか?」
「あんまアレっすね。
やっぱ竿も急拵えだし」
「ですよねぇ。
でも引きがこなくてもじっと我慢するしかないですねぇ」
「そっすね」
「大きいの釣れるといいんですけどねぇ」
「いっそ主みたいなヤツ?
明日のゲン担ぎにもなるな」
「そしたら一食どころかここに何日かとどまれそうですし」
「それもそれで嫌だけど」
「確かにそうですねぇ」
「あーーーーーーーーーーーーーーっもう!!
お魚かからないし最悪だよぉおっ!!」
唐突に大声を上げた鬼龍 白羽(きりゅう・しらは)に、鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)は釣竿を置いて隣で大の字になった白羽を見た。
「どうしたんですか?
突然叫ぶからお魚逃げちゃったじゃないですか、ほら、あちらさんにも謝って」
貴仁はそういって少し離れた位置で、適当な長さの木の枝と蔦で作った即席の釣具で釣りを続けていた国頭 武尊の背中を指す。
「あのねぇ!
ボクはっ! もうっ! 疲れたのっ!!
そもそもここに来る事になったのだって貴仁が釣り船と間違えてこの船に乗り込んだのが原因でしょ!?」
「まぁまぁ、元々釣りに行く予定だったんだから、何処で釣ったっていいじゃないですかー」
「はーーーーーーーーーーーあーーーーーーー
喉渇いた、最悪ーもおおおお」
「仕方無いですねー」
貴仁は小さく息をついて、掌を上へ向ける。
詠唱が完了すると、空から恵みの雨がぽつりぽつりと降ってきた。
「ほら、これを飲めば大丈夫でしょ?」
「飲めって、舌でも出すの!? てゆーか濡れるだけだし!」
二人のやり取りに武尊は背中を向けたまま、くっくと小さく笑った隣で、それは突然に起こった。
「かかったああああああああああああ!!!」
またたび 明日風(またたび・あすか)の声に皆が立ち上がる。
「あ、明日風君!!」
海に引きずり込まれそうな勢いで踏ん張る明日風の腰を、リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)が掴む。
「手伝いを、頼むわッ!!」
リカインの声に武尊と貴仁、白羽も同じように互いの背中を支えあった。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
夕暮れ時のロマンチックな海に、ロボットアニメの主人公のような叫び声が木霊すると、
派手に波の花を広げて巨大魚が空に舞い上がった。
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