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料理バトルは命がけ

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第四章 駄目だこいつら……早く何とかしないと……

「……想像以上だったな」
「……想像以上でした」
 黒崎 竜斗(くろさき・りゅうと)ユリナ・エメリー(ゆりな・えめりー)が呟く。
「……なあ、あの二人にちゃんと教えたよな?」
「え? は、はい……教えた……つもりです……」
 竜斗が聞くと、ユリナが自信なさげに俯く。
 自身のパートナーが参加しており、その際にユリナが料理を教えたのだが、実際それを理解しているかは疑問であった。
「矢鱈と張り切ってたけど……大丈夫か?」
「だ、大丈夫ですよ……多分」
「……覚悟はしておいた方がいいですよ」
 竜斗達の隣にいた荀 灌(じゅん・かん)がポツリと呟いた。
「覚悟? 一体……」
 竜斗の言葉に灌は答える代わりに、モニターを指さした。

『えーっと……ってなんで束のままくっついちゃってんのよー!?』
 そこに映っていたのは、鍋から一本の棒のような物を取り出していた芦原 郁乃(あはら・いくの)であった。
 よく見ると棒のような物はパスタの束のようであった。
『……ま、まぁソースが美味しければ問題ない! その為のこれよ!』
 そう言うと郁乃が取り出したのはパンパンに膨らんだ缶詰。早速それに缶切りを突き刺す。
 瞬間、空いた穴から液体が吹き出し、郁乃が浴びてしまった。
『ぶわっ!? な、何この汁……ってくっさ! すごいくっさい!』
『誰だシュールストレミングなんて開けた奴はー!?』
『密室で開けるんじゃねぇー! くせぇー!』

「……あれ、私のお姉ちゃん」
 灌の呟きに、竜斗とユリナが「うわぁ……」と呟く。
「何処も似た様なもんなんだな……」
 横で話を聞いていた日比谷 皐月(ひびや・さつき)が呟く。
「……そっちも?」
「ああ……」
 竜斗に問われ、皐月が頷いた。
「なんか『面白い物が見れるから来い』とか言われて来たはいいんだけど……不安になってきたな……」
「面白い物……? なんですか?」
 ユリナの言葉に皐月は首を横に振る。
「いや、俺もわかんね……そういやアイツ、さっき会った時材料メモ忘れていったんだっけ……」
 ふと、皐月がポケットに入れていたメモを見て、
「……え?」
二度見した。
「……悪い、帰るわ」
 何を思ったか、すぐさま立ち上がると皐月は出口へとスタスタと歩いて行ってしまった。
「……どうしたんでしょうかね?」
 灌が首を傾げるが、竜斗も同じく首を傾げるばかりだ。
「……あら? メモ落としてる」
 ユリナが足元にメモが落ちている事に気付いた。恐らく皐月の物であろう。
「ん? どれど……れ……?」
 竜斗がメモを見て、言葉を失った。
 そのメモには以下の様に書かれていた。

▽材料
・ホイップクリーム
・各種フルーツ
・チョコレートソース
ラナ・リゼット