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第二幕:夜の見回り 〜機晶姫クウの画策〜

「少ないな」
 そう言葉を発したのは夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)だ。
 彼の両隣りにはパートナーであるホリイ・パワーズ(ほりい・ぱわーず)ブリジット・コイル(ぶりじっと・こいる)の姿がある。彼らの視線の先にはクウがいた。
「アタシたちだけでもするしかない」
「そうだな。わしらがしっかりやらねば久瀬の苦手意識も変わらんだろう」
 クウと夜刀神の意見は一致していた。
 久瀬に幽霊に慣れてもらい苦手意識を克服してもらうという共通見解だ。
 目的が一緒ならば共闘するのが最善と集まったのだが……。
「人手がタラナイかも」
「大丈夫だ。わしに考えがある」
「拝聴シマス」
「まずブリジットに迷彩塗装をしてもらって久瀬たちの脇を通り過ぎてもらう。これで風を起こして幽霊の演出をする。そのあとにホリイが久瀬たちを追い抜いて、待機しているわしが魔鎧として使う。そうすれば甲冑の置物にしか見えんだろう」
「ナルホド、だけど一押し足らない気がする」
「ならば久瀬たちが通り過ぎたあとを追いかけよう。動き出す甲冑なら怪談話にもってこいだろう」
 なるほど、と頷くクウ。
「アタシは何をすれば?」
「道すがら使えそうなものがあれば幽霊の恰好をして脅かせるだろう」
「なるほど」
 四人は話し合いを終えると静かにその場を離れた。
 目的は一つ、久瀬を驚かせて幽霊に慣れさせる。ただそれだけである。