First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Last
リアクション
「もうお終いネ」
「大人しく縄に付け」
「く……」
ティファニーとゲイルに追い詰められる男性。
男性は目をせわしなく動かしていたが、にやりと笑い檻と鎖を解放させた。
「ふふ……はははは! さぁ、こいつらはお前の好きな人間だぞ? 思う存分食い荒らせ!」
よだれをだらだらこぼしたままのっそりと出てくる狼男。床に落ちたよだれはしゅうしゅうと音を立てながら煙を発生させ床を溶かしていく。
「気を付けるネ。あれに当たればタダでは済まないヨ」
「よく分かってるじゃないか、イヒ。こいつの体液には痛覚遮断と融解作用があるのだよ。肉体を溶かされながら食われていく様は見ていて面白い。大の男が泣きじゃくりながら助けを求めるのは傑作だったな、ヒヒヒヒヒヒ」
自慢げにそう話す男性。
そんな男性をじっと見ている狼男。
「こいつを解放させてしまったお前らが悪いのだぞ? 食われてしまうのだからヒヒ……」
バインダーを片手に檻から遠ざかる男性。
誰かのあ! という声と共に男性はじっと見ていた狼男の長い爪を体に食い込ませるようにして捕まえた。
「な、なにをする! 俺はお前を作ったご主人だぞ!! や、やめろ……やめろ……やめてくれ」
何度も制止の声を言いながら食われていく男性。
男性が言ったように痛覚が無くなっているのだろう。
部分的に溶けていく身体の一部。
食われていく身体。
血の海の上で食べられていく男性。
なぜか大量の出血にもかかわらず、なおも声を発している。
「殺せ! もう殺してくれ! ころ……!」
ようやく男性は残った顔に喰らいつき、この世から去ることが出来たのだった。
男性が食べられると次のターゲットは必然的にティファニーたちになる。
「覚悟はイイネ?」
ティファニーの言葉に全員頷く。
最後の噂の根源との戦いが幕を開いた。
◇ ◇ ◇
狼男が繋がれていた、あの鎖をサイコメトリするメシエ。
そこから読み取ったのは、先ほど食われた男性が自分の息子と娘を使った生体実験であったことが分かる。
実験過程でいろいろな薬品を飲まされ、血を交ぜられこの姿になったようであった。
「ねぇ、貴方はなんでミーたちに依頼をしてきたノ?」
「わ、私……あの人に脅されて……自分が食べられたくなければ協力しろって。ご、ごめんなさい……私が食べられたくない一心であなたたちを巻き込んでしまって」
ティファニーとゲイルに依頼してきた女性は、泣きながらあの男性は生体実験の為にこのホラーハウスを作りだしたが廃れてしまったので、あの狼男に食べさせる人肉が減ってしまい、いつ自分が食べられてしまうか怖くなってしまったのでこのような依頼をしたということを正直に話した。
「大丈夫ヨ。もうあの狼男みたいなヤツいないネ」
泣いている女性を慰め、館を出るティファニーたち。
脱出者はティファニーたちが最後だった。
「お疲れーマシントラブルは直ったんかい?」
「もちろん。でも、そこまで行くのに時間がかかってしまってネ。ゴールした人にちゃんとチケットをアゲタ?」
「当たり前や。コンプリートしたみなさーん、これからチケットの交換をすさかい彼女について行ってぇな」
出迎えた裕輝がティファニーについて行くように待っていた面々に声をかける。
チケットの交換場所はローデリヒが演奏していた大広間。
お化け役はその姿のまま席についている為、少々不気味である。
「みんな、今回は楽しかったカナ? さぁ、ミーからのイイモノダヨ!!」
ティファニーがステージの上でそう言って、お化けのメイドたちにお化けをモチーフにした青い焔に包まれたアイスクリームを運ばしてきた。
「恐怖感の寒気も良いけど、アイスの様な冷たい寒気もいいデショ?」
青白い焔に照らされながらアイスを食べる人たち。
ローデリヒは食事の邪魔にならない程度の音量で演奏を始める。
「終わったらここでお茶をしようとは言っていだが」
「まさかここでアイスを食べることになるとはな」
スタンプラリーの途中でそう話していたリブロとアルビダはその偶然にほんの少し驚いていた。
「ここで食べたシュトゥルーデルも美味しかったけど、このお化けアイスも美味しいね!」
本当に美味しそうに食べるエーリカ。
レノアも満更でもないように出されたコーヒーを飲んでいる。
あちこちで他愛もない話をしながら、夜が更けていった。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
Last
担当マスターより
▼担当マスター
冬神雪羅
▼マスターコメント
初めまして、冬神雪羅です。
今回はシーン分けが多く、読みにくかったかもしれません。
ホラーシナリオに始めて挑戦しましたが、ホラーの恐ろしさを表現するのは難しいですね、やはり。
今回ゴール出来た方、真相を暴いた方たちはお疲れさまでした。
もちろんお化け役のみなさんもお疲れ様です。
イイモノがはたしてみなさんにとってイイモノであったかは微妙だったかもしれませんが、楽しんでいただけたでしょうか?
それでは、またの機会がありましたら参加してくださると嬉しい限りです。
それでは失礼します。
▼マスター個別コメント