リアクション
◇ ◇ ◇ 一階の廊下を可能な限り無用心にテクテク歩きまくる屋良 黎明華(やら・れめか)。 「んー、このヒモは何かな?」 見るからに怪しいヒモをぐいっと引っ張る黎明華。 ぶらんっと上から、コンニャクやらがんもどきが下がり落ちてくる。 「ふおーーー!! なぜにがんもどきまで!?」 ぷらんぷらんしてるがんもどきを突いて遊んでいると、びゅっと上に戻って行った。 それを見届け、気になるモノはないかと探索を再開する黎明華。 「これはいかにも動き出しそうな鎧だなー?」 ぺしぺしと古びた鎧を叩くと、ギッギギ……という音と共に手にした斧を黎明華に向かって振り下ろした。 「きゃー! 鎧が動き出した―!!」 緩慢な動きで黎明華を追いかける鎧。逃げる彼女の目の前に天井からボサボサの血みどろ人形が降ってくる。 楽しげに逃げていた黎明華が、鎧を振り切ると、目の前には大きな二枚戸が存在していた。 そこからピアノの音が漏れ出している。 「次はどんなのが来るのだぁ?」 なんの躊躇もなくドアを開けると、そこは朽ち果てた大広間であった。 奥にあるグランドピアノで薄暗いランプの灯りの元一心不乱に演奏する、白い仮面を着けて正装の上にシックな漆黒の外套を纏ったオペラ座の怪人に扮するローデリヒ・エーヴェルブルグ(ろーでりひ・えーう゛ぇるぶるぐ)。 トッカータとフーガニ短調やエリーゼのためになど一曲終われば次の曲、また一曲終われば次の曲と途切れることなく演奏を続けるローデリヒ。 黎明華がローデリヒの演奏に圧倒されていると、銀の仮面を付けた男が黎明華をエスコートし、コーヒーとシュトゥルーデルを出して去っていった。 「さっきまで走り回ってたから、ちょうど良いわね」 出されたそれを食しながら演奏を聞いていると、リブロとアルビダが入ってくる。 「ここにスタンプは……あるな」 入って早々にスタンプを見つけたリブロはぽんと台紙に印をした。続いてアルビダも。 先ほど黎明華をエスコートした銀の仮面がリブロとアルビダをエスコートしようと寄ってくるが、それを断る二人。 「レノアの組もゴール出来れば、ここでお茶でもしようか」 「それがいいな。演奏も聴けてゆっくり過ごせそうだ」 「では、ここに用はないな。次のスタンプを探しに行くぞ」 大広間を出ていく二人を見ていた黎明華も、コーヒーとシュトゥルーデルを食べ切りスタンプラリー完全制覇の為に大広間を後にした。 |
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