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リアクション
「ふむふむ、このくらくらするのがお酒というものなんですね」
「う〜ん、これ思ってたよりおいしいねえ」
フレンディス・ティラ(ふれんでぃす・てぃら)パーカーの下にロングパレオを着こなし、ワイン(のようなもの)をすくいあげて飲んでみた。
その隣で、天禰 薫(あまね・かおる)が同じようにワインをすくいあげては飲んでいた。
「そうですねえ、ここのワインはどうやら作られた偽りのものとはいえ、なかなかに高級な葡萄が使われているのでしょう」
「うおっ、赤ふんどし!?」
思わずベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)は驚いた。
ひょっこりとその場に現れたルイ・フリード(るい・ふりーど)。
だがその下半身には真っ赤に染められたふんどしを身につけられていた。
「な、なんでふんどしなんだよ」
「まあまあ、そんなのはよいではありませんか、よろしければ一緒に飲みましょうよ
その言葉にフレンディスと薫は見合いしばらく考え込むと、二人は頷いた。
「きまったのじゃ〜、そこの男ちょっと飲まぬか?」
「え、俺か!? しかし……」
「わしの酒がのめんのかぁ〜? ほれほれ、セラその者を連れてくるのじゃ」
「え、あ、はい」
深澄 桜華(みすみ・おうか)の誘いをある目的から断ろうとしていたベルクだったが
近くにいたシュリュズベリィ著 セラエノ断章(しゅりゅずべりぃちょ・せらえのだんしょう)によって無理矢理お酒を飲むことになる。
「孝高、一緒に飲もうぜ! ……いやむしろ飲んでください」
「え、俺も!?」
ベルクは一人で飲むのが億劫になり、熊楠 孝高(くまぐす・よしたか)も巻き込んだ。
そのころ、わたげうさぎとわんこが会話をしていた。
「ぴきゅきゅ、ぴーきゅぴぃ?」
「え、子供でも飲めるらしいけど、僕はどうなんだって? う〜ん無理だと思いますけど」
耳としっぽを揺らしながら忍野 ポチの助(おしの・ぽちのすけ)はうさぎ姿の天禰 ピカ(あまね・ぴか)と会話している。
「ぴっきゅ〜、ぴきゅきゅぴぃ?」
「え、ハイテクな忍犬ならできてあたりまえって? そういうピカこそどうなんです?」
ピカは突然ワインボトルに突っ込むとそのワインを飲み始めた。
「ぴっ」
目をきりっとし、どうだと言わんばかりの顔でポチの助を見返した。
ちなみにピカは本当にワインは飲んでいない。単に飲んだフリをしただけだ。
だがポチの助は、ワイン風呂のワインに入ると、頭をお風呂に沈める。
数秒後に戻ってくると、ポチの助の顔は赤くなっていた。
「ぜ、全然余裕だよ〜。おいしいよ〜ピカももっとのんらふぁあああああっ!?」
そのまま、ポチの助は寝込んでしまった。
「ぴきゅい(他愛もないのだ)」
「なあ、ベルク。天禰とフレンディスは楽しんでるみたいだな、相変わらず無邪気というか」
「鈍感だな」
ベルクと孝高は深いため息をついた。
「天禰さんというと……あのひゃたですね〜?」
お酒を飲みながら聞いていた、セラエノ断章が笑いながら、遠くにいる天禰達を観察していた。
「ふむふむ、発育状況は私と良い勝負……あの人とはお友達になれそう。あ、でも」
セラエノは天禰とフレンディスを見比べる。
主に胸やお尻のあたりを重点的にみているようだった。
「あの方はナイスバディ―れすよ! むむむ……うらやましくなんてうわあああああんっ!」
突然セラエノは泣き出してしまった。俗にいう泣き上戸だ。
「こほん」
あっけにとられるベルクと孝高の二人をこちらに戻すように、桜華は咳をはらった。
「もっと、ならば酔った勢いでエスコートするのはどうじゃろ?」
「エスコートか?」
ベルクが眉間を寄せて聞いてくる。
「うむ、その様子じゃと手をつないだりなどおぬしらめったにやっておらぬじゃろ?」
「ぐっ」
二人は図星なのか黙り込んでしまう。
「決めたぞ」
その答えを発したのはベルクだった。
そのまま立ち上がるとフレンディスのほうへと歩いて行った。
続いて、孝高も薫の元へとある行っていった。
「こういうのも、良いものじゃのう」
残された、桜華はゆっくりお酒を飲みながらつぶやいた。
「そうですねえ、青春ってやつでしょうか?」
「おぬし、いつのまにいたのじゃ」
突然後ろから現れた巨体もとい、ルイを横目で見た。
ルイの片手には桜華が持ってきたつまみが握られていた。
「……つまみが半分以上へっておるな?」
「つい、みなさんと話してたら」
「でも、お酒は飲んでおらぬな?」
「……」
桜華の指摘にルイは笑顔のまま、汗を顔に浮かべる。
「図星じゃの、これ飲め! 飲むのじゃ!」
ルイは逃げるようにセラエノ断章を抱えるとワイン風呂を駆け回った。
銘酒「熊殺し」を持ち、桜華はそれを。
「本日は無礼講ですよ! お酒飲むも飲まないも自由ですははははは」
一方、薫、フレンディス。
「ふぬ〜、なんだかふわふわするのだ〜。どうしたのだ、フレンディスさんが二人いるのだ〜」
「えへ〜、わたしはひとりですよ〜。なるほどこのふわふわが酔ったっていうことですね〜でもたのしいです〜」
薫もフレンディスも顔を真っ赤にしながらも、まだ飲むぞとばかりにグラスにワインを入れては水のように飲む。
「フレイ、一緒にお酒飲み周りに行こうぜ」
「えっ? ど、どうしたんですマスター?」
フレンディス突然現れた、ベルクにつれられてしまった。
「あれ、フレンディスさんがふたりもいたはずなのに、いないのだ〜?」
「っと、大丈夫か? って、かなりできあがってるな」
立ち上がるなりふらふらする薫を孝高が、背中から支える。
「大丈夫だ、天禰。何も怖くない……俺に身をゆだねろ」
「なっ、何をいってるのだ? ひゃ、よ……したか……やっ……」
孝高は薫を強く抱きしめる。
意識が朦朧とし何をされてるか理解も追いつかない薫はただ、脱力だった。
「んんっ――」
薫は突然の息苦しさに目を見開く。
目の前には、キスをしてくる……自身の口を奪う孝高の顔がはっきりと見えた。
「ぴきゅきゅぴぴぴぃ!!」
甲高い鳴き声とともに、孝高は強い衝撃を頭に受ける。
と同時に、サイドワインダーによる矢が自分に向けられていることに気がついた。
「ま、まてピカ! こ、これは違う、そのちがうわあああああっ!?」
後の祭り。
静かなスペースのベンチ、フレンディスとベルクは並んで座っていた。
「マスター突然どうしたんです?」
ベルクは未だにフレンディスの手を離さずにいた。
「お酒が飲みたくて……いや違う、フレイと一緒に飲む時間を大切にしたくてな」
「え、時間ですか? 大丈夫ですよ! これからいくらでもありますよ」
「それってまさか!」
ベルクが「ぱあっ」と明るくなり、フレイの顔を見た。
「これから、薫さん達と定期的に飲みに行きましょうよ」
「え、あ……ああ。そ、そうだな! うん」
期待とは違った答えにベルクは肩を落とした。
「でも……ベルクさんと二人っきりで飲むのも楽しいですね」
最後にフレイはそう言い足した。
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