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【第三話】始動! 迅竜

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【第三話】始動! 迅竜

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アウクトール・ブラキウムキャロライン・エルヴィラ・ハンター(きゃろらいん・えるう゛ぃらはんたー)トーマス・ジェファーソン(とーます・じぇふぁーそん)よ。情報収集、現時点で問題なし、これより続行するわ』
 アウクトール・ブラキウムを駆り、戦場に出たキャロラインは土佐に通信を入れる。
 いち早く出撃した彼女たちは既に情報収集機として戦場での状況把握に必要な情報を収集していた。
 直後に通信が入り、同じく情報収集を目的としているブラックバードが合流してくる。
『こちらブラックバードの佐野 和輝(さの・かずき)アニス・パラス(あにす・ぱらす)スフィア・ホーク(すふぃあ・ほーく)。同じく情報収集を続行する』
 報告を入れる和輝にキャロラインは水を向けた。
『そっちはどう 情報収集機としては結構なスペックみたいだけど、もう十分に情報は集まった?』
『ひとまず敵の機体データと実際の戦闘データはあますことなく収集して土佐に送信してある。既に向こうで艦隊ネットワークへのアップロードと情報共有が行われてるはずだ』
『やるじゃない。あたしの方は敵の機体を分析してみてるわ。敵は人間に近い動きをする強敵。でもその動きには必ず隙、癖があるんじゃないかな? 幾ら人間に近い動きが出来ると言っても、機体の癖――剣龍の様な脱臼するとかもあるかも知れないし、その動きを分析してみるね」
 ひとまず情報の交換を終え、今度は和輝がキャロラインに水を向ける。
『そちらの機体も情報収集機としてはかなり高性能のようだが?』
『この機体はブルースロートベースだから演算能力は他のイコンよりはあるの』
『なるほど。あのブルースロートを基にしたイコンならば情報収集機として高性能なのは然りか――』
 納得した様子で呟くと、和輝は再びキャロラインに通信を送る。
『では、こちらは再び高高度にて情報収集にあたる。そちらも無事で』
『うん! そっちもね!』
 互いに言葉を交わし、二機の情報収集機は散開していく。
『こちらも加速に入るわ』
 アウクトール・ブラキウムのメインパイロットであるトーマスがそう告げると、機体は急加速して蒼空の彼方へと飛び去っていく。
 一方、ブラックバードも高高度に向けて上昇を始めた。
『また、あいつ等が動き出したのか。とはいえ、ちょうど俺達にも救援要請が来たことだし、いつも通りの仕事をするとしよう』
 静かに呟く和輝にアニスが相槌を打つ。
『今回はやることが多そうだけど、スフィアが補佐に入ってくれるから問題なしだね♪ それに、学校間の連携が重視され始めたらしいから、収集にかかる時間も短縮できそうだよ!』
 するとアニスの膝の上に乗ったスフィアが機械的な電子音声で応える。
『任務、了解です』
 二人の心強い言葉を聞いた和輝は、早速、二人に向けて言った。
『アニス、スフィア。なら早速、収集したばかりの情報を処理してくれるか。それが済み次第、俺が土佐に送ろう』
『まかせて♪』
『任務、了解しました』