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【第三話】始動! 迅竜

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【第三話】始動! 迅竜

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 ウィスタリア 格納庫
 
 格納庫で待機する柚木 桂輔(ゆずき・けいすけ)の元にブリッジのアルマから通信が入る。
『桂輔、そちらにイコンが着艦します。整備と補給の準備を』
「まかせろ。着艦予定は?」
『今から約180秒後です。ウィスタリアまでの誘導はこちらで行いますが、着艦後の誘導はお願いします』
「了解。こっちは準備に入るぜ」
 時計を確認した桂輔は素早く格納庫のハッチを開き、受け入れ態勢を整えていく。
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1――来たッ!」
 アルマの計算通り180秒後に飛び込んできたフィーニクスタイプを手持ち式の誘導灯で定位置まで誘導すると、桂輔は停止の合図を出した。
 完全に停止したフィーニクスタイプのハッチが開くと、中から出てきたのは蓮華とスティンガーの二人だ。
「迅竜所属、鮮紅パイロットの董蓮華です」
「同じく、スティンガー・ホークだ」
 蓮華とスティンガーはコクピットから降りて桂輔に敬礼する。
「ウィスタリアの柚木桂輔だ。早速、整備に取りかかるぜ」
 早速、桂輔は鮮紅の状態を見た。
 桂輔は整備トリアージを行うつもりなのだ。
「なるほど……バッテリーと関節のアクチュエーターがいくつか疲弊してる以外はまだまともか。なら、緑ないし黄色ってとこか」
 すると桂輔の言うのが気になったのか、ふと蓮華が問いかける。
「作業中の所を失礼します! その……緑や黄色とは何のことでしょうか?」
 不思議そうな顔をしている蓮華に、桂輔は答えた。
「緑とか黄色っていうのは整備トリアージを行う上での区分……要はイコンの診断結果だな」
 チェックの手は止めず、桂輔は説明を続けていく。
「区分は青が問題無し、緑は損害軽微、黄色で小破、オレンジとなると中破、赤ともなれば大破、そして黒になると修理不能、という具合だ。この機体の場合はいくつかの部品交換ですぐにまた戦えるようになるから、緑か黄色――損傷軽微か小破ってところだな」
 ほどなくして部品交換を終えると、桂輔は蓮華とスティンガーに向き直った。
「修理完了だ。後は頼んだぜ」
 蓮華とスティンガーは再び敬礼する。
「感謝します!」
「助かったぜ」
 礼を述べると、二人はコクピットへと乗り込んだ。
 再び桂輔が手持ち式誘導灯で誘導する中、鮮紅はカタパルトに乗った。
「董蓮華、スティンガー・ホーク。鮮紅――再出撃します!」
 蓮華が機外スピーカーで高らかに言うと、再び鮮紅は蒼空へと飛び立っていった。