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炬燵狂想曲

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炬燵狂想曲

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「ねぇじんごろー、ルルゥも羽純おねーちゃん達の炬燵に入りたいよー」
「ルルゥまで猫化したら、わしが寂しくなるので駄目だ」
 家電量販店から少し離れた場所にある市場にやって来た甚五郎とルルゥは、そんな話をしながら手には皆を救出するための道具を見定めていた時だった。
「あ、あそこにカペルのおじちゃん達が居るよ」
 反対を向いていたルルゥが、パラミタ・トラベル・ツアーズの四人を発見し指を指した。
「ん? どこだ……」
 甚五郎は手に持っていたまたたびの木を買うと、「あっち」と示す方向に向かって人々の間をすり抜けて進む。
「おーい! カペル!」
 不意に誰かに呼ばれた気がしてカペル・イェーガーは立ち止ると後ろを振り向いた。
「誰かと思ったら、甚五郎さんじゃないか」
 カペルは甚五郎とルルゥの姿を見ると、手を振った。
「お二人とも猫になって居なくて安心しました」
 柔らかく微笑んだのは、リュリネス・カサッシャだ。
「もし猫になっていたら、うちのダクレスが調教しちゃうってさ」
「おいおい、オレは人間を調教する趣味は無いぞ」
 先ほどの放送を見ていたのか、イラエット・シュタインヘーガーダクレス・リモンチェッロを指差しながら茶化した。
「カペル達はどうして市場に? わし達はパートナー達……いや、あの猫化した人々を助けようと買い物をしている最中だったんだ」
 そう言って、甚五郎は先ほど買った物が入ってる紙袋を持ち上げた。
「市場に来たのはたまたま。というか、市場の先に駐車場があってね。飛空挺を止めているんだ。ツァンダに来たのは……その、仕事で」
 キーホルダーに付けた鍵を鳴らしながら、カペルはルルゥに微笑む。
「仕事かぁ。おじちゃん達、お仕事がんばってね!」
 ルルゥが笑顔でカペル達を応援する。
「あ……ああ。そうだ、ダクレス。お前なにか猫化した人々を救出する案はないか?」
 カペルにいきなり話を振られてダクレスは、しばらく考えていたのだが……。
「……今は思いつかないが、そうだな猫じゃらしとか竿に付いたおもちゃで猫の気を引く時には左右でもいいが、上下にも振ると猫の気が早く引きつけられる。ぐらいだね」
 ダクレスの小さなアドバイスを聞いた甚五郎は真剣に聞くと、軽く頷いた。
「なるほど。アドバイスありがとう。そのおもちゃも買って試してみるよ」
「ああ。……じゃあ、私達は帰るよ。もう少ししたら駐車料金が上がってしまうからね」
「その心配は忘れていたよ。引きとめてすまなかったな」
 カペルと甚五郎はふっと笑うと、片手を上げて別々の方向へと歩き出した。

「……ルルゥちゃん可愛かったなぁ」
 歩きながらカペルがぼそりと呟くと、
「あら、そんな事言うとクミスちゃんが嫉妬しちゃうわよ」
 そう、イラエットがカペルに言う。イラエットが言ったクミスとは、カペルのパートナーの少女の名前だ。
「あいつも猫みたいな性格だからな」
「もし、社長がルルゥちゃんみたいな子と契約したらクミスちゃん家出とかしちゃうんじゃないですか?」
 リュリネスがカペルに向けて心配そうな様子で言うと、三人はないない。とジェスチャーをした。
「まさか。あいつはドSだから家出はないよ」
 笑いながら言うカペルの言葉に、イラエットとダクレスが頷く。
 三人の納得にリュリネスは、「はぁ……」と判ったような返事をした。