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リアクション
5.サスペンス温泉事件 はじまり
「あれ?」
温泉についた早々、川村 詩亜(かわむら・しあ)は異変に気付いた。
いや、それはある意味日常だったのかもしれない。
「玲亜がいない……」
同行していた、川村 玲亜(かわむら・れあ)の姿が見えなくなっていた。
普通なら、慌てるかもしれない。
しかし、詩亜は慣れたものだった。
「本当に、どうしていつでもどこでも迷子になっちゃうのよ玲亜はっ! もぅっ、玲亜のばかぁ〜っ!」
玲亜の迷子はいつもの事。
詩亜は一言文句を垂れると、早速玲亜を探しに歩き出した。
「これは……迷いましたかね」
鬼龍 貴仁(きりゅう・たかひと)は、周囲の景色がどんどんと狭まっていくのに僅かな不安を抱えながら、それでも歩き続けていた。
温泉旅行に参加した筈だった。
温泉を探して歩いているうちに、よく分からない所に入り込んでしまったらしい。
そうこうしているうちに、貴仁は湯気を発見した。
「ということは……あそこに温泉が!」
がさがさと草かきわけ入った先は、貴仁は気づかなかったが貸切温泉。
「おや、誰か先客が……ん?」
湯気の先に見えたのは、健康的な褐色の肌。
顔はよく見えない。
胸はまだまだ未成熟だが、僅かに丸みを帯びた体はとても瑞々しく女性らしく今後の成長が期待できるもので……
「ぶはあっ!」
頭に血が昇った貴仁の鼻から大量の血液が!
「わっ、うぁああああああっ!?」
(気づかれた!)
別に故意というわけでもなかったのだが、相手の悲鳴を聞いた貴仁は鼻血もそのままに思わず逃げ出そうとした。
「み、見られたからには生かしておくわけにはいかない……っ!」
(えっ何ですかその死亡フラグ的な台詞は!?)
そう貴仁が意識する間もなく、後頭部に衝撃。
そのまま、貴仁の意識は薄れていった。
(あ……こ、コハク……)
(う、うん。分かってる、美羽)
その、一部始終を見ていた人物がいた。
小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)と、コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)。
(ど、どうしよう……)
(ひとまず、ここから離れるんだ!)
コハクはまず美羽の安全を真っ先に考え、そっとその場を後にする。
誰にも気づかれないように。
何事もなかったかのように……
「赤い温泉って、珍しいのですー」
オルフェリア・アリス(おるふぇりあ・ありす)は上機嫌で散歩していた。
温泉といえば湯けむり、湯けむりといえば事件!
「真実はー、いまひとつ!」
るんるんと歌やキメ台詞など口ずさみながら、どこかに事件が転がっていないか散策中だった。
そんな彼女の望みが、叶う時が来た。
「あれ、赤いお湯が、こんな所に……」
オルフェリアの足元に、真っ赤な液体。
その流れてきた先を目で追ったオルフェリアの顔が、強張った。
「こ、これは……血液?」
液体は、倒れている一人の人物から流れていた。
その人物は、貴仁。
うつ伏せに横たわったままぴくりと動かない。
ただ、赤い液体のみがゆるゆると動き流れ――
「ひゃあああああ! た、た、探偵さん、探偵さんはおられませんかー!?」
オルフェリアは動転して走り出した。
「温泉がー、殺人現場にー!!」
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