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リアクション
サスペンス温泉事件 ダイイングメッセージ
「――で。そろそろお湯から上げて欲しいんだけど」
死体だったレジーナががばりと湯から顔を上げた。
さすがに息が続かなくなったらしい。
「うぅ、もうどんだけお湯に入ってなきゃいけないの…… のぼせて、鼻血が……」
鼻を抑えるレジーナ。
「はっ!」
それを見た藍園 彩(あいぞの・さい)は、何かに気付いたかのように声を漏らす。
「どうしたの?」
「い、いや何でもない…… まだ、確証が取れない事だからな。後で話すぜ」
それだけ言うと、その場を離れる。
(ああ、また危険なフラグを立てた人が……)
秋日子は気の毒そうな瞳で彼を見送った。
無事(?)フラグを立てた彩が向かった先は、第一の犠牲者、貴仁の元だった。
未だ死体は回収されず、現場はそのままになっている。
彩は、その死体を丹念に調べる。
特に、顔の部分を。
「死因は、撲殺。だとしたらこの周囲に流れている血液は――そうか!」
その顔に、にやりと微笑が浮かんでいた。
死体を前に、決して浮かばない表情。
「やっぱりな」
しかし、彼のターンはここまでだった。
何者かが、彼の背後に忍び寄る!
「うわぁああああああ!」
彩の背に突き立ったのは、包丁。
厨房から盗まれたものだという事を、彼は知らない。
次第に彼の意識は薄れていく。
「ぐっ……くそっ、これだけは、これだけは何とかして知らせないと……
彼は全身の力を振り絞り、それを指に集中させる。
自分の背中から流れ出る、血液。
この、血を……
「あとは、頼んだ……」
まだ見ぬ探偵に向かって、彼は託す。
「ほら、やっぱりあたしは犯人じゃないでしょ! 皆と一緒にいる間に、彼は殺されたんだから!」
「複数犯という可能性も考えられます」
新たな殺人事件の被害者、彩の死体を検証していたマイアにセレンフィリティが主張する。
しかしマイアの態度は変わらない。
「えーもう! 分かった! 犯人は、ヒゲマニア!」
「どういうことよ!」
半ばやけくそのようなセレンフィリティの主張に、セレアナは首を傾げる。
「ほら見てよ、被害者の顔。鼻の下にヒゲみたいに血がべったりついてるじゃない。これは、鼻ヒゲを気取ったものじゃないかと……」
「そんなわけないじゃない」
セレアナも彩の顔を覗き込む。
「これは、犯人じゃなくて被害者本人がつけたものよ。ほら、被害者の指を見て。血がこびりついてるわ」
「え……ちょっと待ってください」
今まで黙って周囲の話を聞いていたオルフェリアが、口を開く。
「被害者本人がつけたって……それじゃあ、これってまさかダイイングメッセージという奴では……」
オルフェリアの発言に、その場にいた探偵全員がはっとする。
「――分かりました」
その言葉を口にしたのは、『探偵研究会』代表の御神楽 舞花(みかぐら・まいか)だった。
さあ、真相は如何に!?
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