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リアクション
サスペンス温泉事件 更なる悲劇
「――なんて、酷い」
再び殺人現場に遭遇してしまった秋日子と真尋は眉を潜める。
(まあ、あの台詞の後だから絶対死ぬと思ったけどね)
内心では冷静に事態を見据えながらも。
レオーナは、温泉に浮かんでいた。
ぽっかりとお尻を出して。
その、お尻に刺さっているのはゴボウ(魔槍)。
どうやらこれが致命傷だったらしい。
ぼこぼこぼこ。
温泉の中の彼女の頭に当たる部分から泡が出ているようだが誰もそれに気を留める者はいない。
「早く引き上げてやった方がいいんじゃ――」
いや、マーカスが気付いてやるも、誰も彼の意見に同調する者はいない。
「だってこうした方が面白そうですか……いえ、現場保存は重要ですからね」
第一発見者であるクレア・ラントレット(くれあ・らんとれっと)がその場を仕切る。
「死んでしまった者は二度と戻って来ません」
「いやいや放っておくと本当に二度と戻って来ない」
「わたくしはただひたすら平穏な生活を取り戻せればそれで……いえいえ」
「まあそれは分からなくもないけど」
そうこうしているうちに、マイアがクレアに声をかけた。
「あなたが第一発見者ですか。ちょっとお話を聞きたいのですが?」
それを聞いてクレアははっと青ざめる。
(まずい! まずいですわ! このままでは第一発見者の上に最も動機のあるわたくしが疑われてしまいます!)
そう考えたクレアは、目についた人物を適当に指差した。
「わたくし、見ました! この人が犯人です!」
「えええーっ!?」
その日も、セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)は上機嫌だった。
ウェザーからの温泉旅行の招待状。
「うわあサニーってばくじ運がいいのねえ! そうだ今度のパラミタジャンボはサニーに買ってもらおうかしら!」
なんて言ってはセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)に窘められながら温泉旅行に参加した。
まずは通常温泉でウォーミングアップ。
お次は湯けむり温泉。
「あ……セレン」「うふふふふ、いいじゃないセレアナ。たまにはこんな真昼間から」「たまには、じゃない気も……」
なんて堪能して、お次はサスペンス温泉だとふらふらとやって来たばかりだった。
そこで、彼女の悲劇は起こった。
「この人が犯人です!」
「えええーっ!?」
クレアに突然指差され、セレンフィリティは何が何だか分からない。
「ちょっと署までご同行願えますか?」
「逃げるんじゃねえぞ」
やや乱暴に詰め寄る警察役のマイアと昌毅。
「え、え、そんな、あたし犯人じゃなーい!」
「そうよ、セレンが犯人なわけないじゃない」
「もうその展開は飽きました!」
このままではワンパターン奪回のため、セレンフィリティが犯人にされてしまう!
「ああ、ああ、あたしってばシャンバラ一不幸な美少女だー!」
セレンフィリティの悲鳴が周囲に響き渡った。
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