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婚活卯月祭、開催中!!

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 キロスたちの乱闘騒ぎが起きている頃、ちょうど丘の真反対側では源 鉄心(みなもと・てっしん)が頭を抱えていた。
「ヒャッハー! ウサギ狩りうさ〜! 草の根をかき分けても探すうさ〜!」
「うさぎの精霊を捕まえたいのですわね? 恋愛を司る精霊……そういうことなら協力してあげないでもないですのにゃ。……べ、別にお友達になってご利益を……とか思ってませんにゃ!?」
 傍から見ても見なくても妙なテンションの二人――完全にヒャッハー状態(?)のティー・ティー(てぃー・てぃー)と、誰に突っ込まれるでもないのにセルフ突っ込みを入れているイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)を前に、
 鉄心は、最早一周回って真顔になり、隣で固まるパビモン リラード(ぱびもん・りらーど)の肩だか羽根だかをぽん、と叩いた。
「……頼んだ」
「鉄心、ちょっと待つリラ。この妙な状況は何事リラ?」
「見ての通りだ」
 鉄心とリラードは、もはや収集のつかないテンションで草原を駆け回るティーとイコナを見下ろしている。
「あ、とりあえずお弁当にするうさ?!」
 ティーが掛け戻ってきた。その後ろをイコナも追って戻ってくる。
「ふっふっふ、いやしいうさぎなど、わたくしのお料理にかかれば一撃必殺なのですわ!」
 イコナはティーの方をちらりと見て不敵な笑みを浮かべ、バスケットを取り出した。蓋を開けば、おからハンバーグのサンドイッチに、おかずはニンジンサラダに卯の花の炒り煮。デザートのニンジンケーキと色鮮やかなお弁当が詰まっている。
「おおっ、美味そうリラね」
「リラードさんや鉄心の分もちゃんと作ってありますの!」
 イコナはそう言って、二人の前にバスケットを差し出した。
「「頂きます(リラ)!」」
 鉄心とリラードがバスケットに手を伸ばす。――横から、伸ばされる手。
「……って、ティーばかり食べちゃダメですの〜〜!」
 イコナとティーが騒いでいる隙に、鉄心とリラードはお弁当に手を伸ばした。
「――美味しいリラ!」
「それは良かった。……いろいろと迷惑をかけて済まないな」
「大丈夫リラ!」
 と話しているそばから、鉄心とリラードの前に再度ティーの腕が伸ばされた。狙いは鉄心たちの前にある、ニンジンケーキである。
「悪いうさぎはとじこめてやりますにゃ!」
 隙あり。ティーの隙を窺っていたイコナは、ケーキに手を付けようとしたティーに封印呪縛を施した。
 こうして封印の魔石にティーは閉じ込められたのだった。めでたしめでたし。


「お祭りって、神様もこっそり降りてきて遊んでるってお話も良く聞くし、もしかしたら精霊さんもどっかで恋人(?)さんと一緒に居ないかな…?」
 さて、そんなこんなで、反省して少し落ち着いたティーは、うさぎの精霊探しを再度開始した。
「リラードさんも、お手伝いして欲しいうさ。恋を司る精霊さんなら、仲間みたいなものですうさ?」
「俺に任せるリラ!」
 ティーは野生の勘で大体の方向の目星を付けると、草原に放たれている野うさぎたちの元に向かった。
「うさっ……!? ウサギさんだらけうさ〜? これでは、どれが精霊さんか分からないうさぁ……」
「本当にたくさんうさぎがいるリラね」
 リラードもきょろきょろと辺りを見回す。この草原には、何かやはり精霊の気か何かを感じるのだろうか。ある程度固まっているパラミタうさぎたちも、どこかそわそわしているように見える。
「でもでもっ! うさぎ派閥的には大勝利〜♪ うさ〜!」
 ティーの大勝利宣言を聞き、悔しそうな顔でティーを見るイコナ。しかし、この丘は今、うさぎの本拠地である。仕方あるまい。
「……あっ、あんなところにも、ウサギさんがいるうさ!」
 そう言ってティーが指差した先にいるのは、明らかに怪しいうさ耳バニー姿の女だった。