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婚活卯月祭、開催中!!

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婚活卯月祭、開催中!!
婚活卯月祭、開催中!! 婚活卯月祭、開催中!!

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 近くのテーブルには、ジェイコブ・バウアー(じぇいこぶ・ばうあー)フィリシア・レイスリー(ふぃりしあ・れいすりー)の姿がある。二人はこの丘に来て最初に、まず一服してからピクニックしよう、ということになり、この店に立ち寄ったのだ。
「こうした祭りは、やはり恋人たちが多いのだな」
 ラフな格好でのんびりとくつろいでいるジェイコブ。フィリシアはいかにもデート用のお洒落な服装に身を包んでいる。
「……」
「……」
 ジェイコブたちは飲み物を飲んで、とりあえず一息ついた。二人の間に、緩やかな沈黙が流れる。
 
「んー……あのな、オレたち、こうして婚約した訳だが……将来のこと、どう思うんだ?」
「将来のこと……というのは」
 ジェイコブは、フィリシアと婚約者となったことで、急に「結婚」というものが現実のものとなってきた。なってきたはいいが、何をどうしたら良いのやら、完全な手探りの状態である。
 フィリシアが将来についてどう考えているのか聞いておきたいという気持ちはあるのだが、何をどう切り出したらいいのやら皆目検討もつかない。
 しかし、二人して押し黙るのも気まずいため、とりあえず漠然とした疑問のまま、ジェイコブはそう切り出したのだ。
「あー、何と言うか……これから先、どうして行きたい、という展望のようなものはあるのか?」
 フィリシアは、ジェイコブの言葉を聞いて考え込むように俯いた。
「今、こうして一緒にお出かけできたりするのは幸せだけれど、将来のことを思うと、やはり少し怖いところもありますわ……」
「怖い、か」
 フィリシアの言う漠然とした不安のようなものは、多少なりともジェイコブも持っている感覚だった。
「でも、……その、一緒にいたいという気持ちは、どんどん強くなっているのだけれど」
「その、一緒にいたいというのは、恋人として過ごしたい、ということか? それとも、家族として過ごしたい、ということか?」
 ジェイコブはフィリシアに問いながら、自問自答する。自分は、どう考えているのだろう――?
「わたくし自身がどう思っているのか――、こうして一緒にピクニックをしたりして過ごす中で、もう一度問い直してみても良いかしら……?」
 ジェイコブは頷いた。――叶うなら、今年のジューンブライドまでには、その結論を自分の中で出したい。そう、思いながら。

「丘に登って、ランチにしましょうか」
「ああ、そうだな」
 二人はカフェを後にして、丘を目指して歩いて行った。二人の中で、何かが一つ進展したようだ。