シャンバラ教導団へ

百合園女学院

校長室

薔薇の学舎へ

空域陣取り合戦、始まる

リアクション公開中!

空域陣取り合戦、始まる

リアクション


組み立てるのは勝利の道

 控室にて1つのテーブルを囲むようにして座っている東陣営の各チームリーダーと校長たち。

「では、敵陣営に三方向から同時侵攻し、頃合いに蒼空の正子とパラ実のマレーナの部隊に中央から強攻突破して貰う。敵陣営を陽動・撹乱して、その空きに両翼の味方部隊から奇襲部隊が突撃し、敵陣のクリスタルを出来るだけ多く破壊する。全員理解したか?」

 地図を広げて両陣営の駒と指揮棒代わりの帝国武装錬金術士の杖を使って演説していた武崎 幸祐(たけざき・ゆきひろ)が今まで話していた内容をまとめて発言する。
 周りは頷き了承を示す。

「次に部隊構成に移る。中央、蒼空の正子とパラ実のマレーナ」
「点数が高いわしたちにどれだけ引き付けられるかで、状況は変わるだろうな」
「石原肥満さんから頂いた、魅那醐露獅でどれだけ攻められるか今から楽しみですわ」

 馬場 正子(ばんば・しょうこ)は腕を組み、神妙にそう言う。
 対するマレーナ・サエフ(まれーな・さえふ)は魅那醐露獅を撫でつつそう返す。

「陽動部隊。白百合の静香と俺のチームから妲己。そして静香の護衛に名乗り出たレキのチーム。この部隊は飛行生物を誘導して貰い、敵陣大将に敵意を向けさせて攻撃させる様に工作する部隊だ。よろしく頼むぞ」
「僕が陽動隊……怖いけど頑張るよ」
「大丈夫だよ。ボクとチムチムがちゃんと守るから」
「本当? ありがとう」

 始まる前から弱気になる桜井 静香(さくらい・しずか)レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)が慰める。

「右翼部隊は俺のチームからヒルデガルド、美羽のチーム、舞香のチーム」
「リコがいる西シャンバラには負けたくないもん、頑張るよ!」
「優先順位はしっかり覚えたよ。動かないクリスタルの1つはあたしのチームでちゃんと守るから」

 親友兼ライバルの高根沢 理子(たかねざわ・りこ)に負けたくないと意気込む小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)
 桜月 舞香(さくらづき・まいか)は打ち合わせた内容を反復し、しっかり頷く。

「左翼部隊。右翼同様俺のチームからルーデル。輝のチームから紅葉とシエル」
「ボクは防衛ですけど、紅葉たちならしっかりやってくれますよ」

 神崎 輝(かんざき・ひかる)は攻撃側に就いたパートナーたちを自信を持って推す。

「防衛部隊。薔薇学のルドルフ。ルドルフの護衛のクリストファーのチームからクリスティー。エリシアのチームと美羽のチームからコハク。それと、さっき言ったように輝が担って貰う。点を稼ぐのも重要事項だが、防衛はそれ以上に重要だと言う事をもう一度言っておく」
「分かっていますわ。ですが、わたくしたちも点を奪えると判断した場合は攻めさせていただきますわ」
「僕自身のクリスタルを守りつつ、不可動式クリスタルも守らなくてはならないのか」
「今回薔薇学からの参加者は他にいないし、あまり無様なところは見せられないね」

 エリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)はやや攻撃的な防衛に出る事を打ち合わせ中に言っていたのだが、改めてそう話す。
 ルドルフ・メンデルスゾーン(るどるふ・めんでるすぞーん)はちらりと護衛を名乗り出たクリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)を見る。存外にお前たちならできるであろう?といったように。
 見られているクリストファーもそれが伝わったのか、真剣な眼差しでルドルフを見つめ返す。

「司令塔は防衛部隊として動きつつ、俺と舞香のチームから綾乃が随時連絡を入れる。聞き逃しが無いよう頼むぞ」
「援護射撃もするけど、不意打ちとかの奇襲や、防御の甘そうな狙い目のクリスタルを見つけたら連絡を入れるわ」

 桜月 綾乃(さくらづき・あやの)がひとりひとりを見るように全体を見ながらそう話す。

「飛行生物対応部隊。陽一のチームとクリストファーのチームからクリスティー。分かってるとは思うが、陽動部隊のような事をしなくていいからな」
「ようするに飛行生物がこちらに危害を与えないよう妨害すれば良いんだろ? 打ち落としたり、酷い事しなくても良いよな?」
「あぁ。あくまでもこちらのクリスタルに危害が出ないようにする事が、最前事項だ」
「わかった」

 酒杜 陽一(さかもり・よういち)は確認すると、首に巻いていたマフラーを軽く撫でる。

「結局わたしはどの部隊に入ればいいんですの〜?」

 護衛に名乗り出た者がおらず、かといって自らが攻めに徹するような性格ではないエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)が幸弘に尋ねた。

「イルミンのエリザベートには単独行動を取ってもらう。あなたの魔法威力は高い。打ちだされた魔法を合図に近くに居る者をそちらへまわそう」
「でしたら、あまり固まった場所にはいないですよ〜?」
「流れ弾で相手の点になるのはごめんだな。それでかまわない」

 一通りの部隊分けをした幸祐は異存がいないかと辺りを見回す。
 誰も異論を唱えない。

「では、今回の空域陣取り合戦、勝ちに行くぞ!」