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理不尽世界のキリングタイム ―トラブルシューティング―

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理不尽世界のキリングタイム ―トラブルシューティング―

リアクション

――武器庫にて。

「ふっ……どうよアデリーヌ! ちゃんと武器庫まで辿りつけたわよ!」
「素晴らしいですわさゆみ! 絶望的方向音痴のあなたでも辿りつけたなんて!」
 武器庫に無事到着したさゆみ(4/4)が胸を張ると、アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)(4/4)がパチパチと小さく拍手をする。
「……我々の後を着いてきたのならば迷う事は無いはずなんだが」
「ララ、ここでツッコむのは野暮というものなのだよ」
 その様子を見て呟くララ(3/3)を、リリ(2/3)が軽く窘める。
「……さゆみの方向音痴は、誰かの後をついてきたからといってどうにかなるとは限らないのですわ」
 リリ達の声が聞こえたのか、アデリーヌが小さく呟いた。そんなにひどいのか。
「そ、そんなにひどいんだ……」
 美羽が苦笑すると、アデリーヌが「ええ、それはもう……」と頷いた。どれくらい凄いのか、語られる日が来るのだろうか。もう来ているかもしれないが。
「楽しみだねぇフラット。ライフルがあればいいんだけど、後手斧とかバールの様な物とかあるといいなぁ」
 ミリー(2/3)がフラット(2/3)に期待を隠せないように呟く。しかし武器庫でバールを所望する、というのは何か間違っているような気がする。
「そうねぇミリー。フラットは爆弾やナイフが欲しいわぁ……」
 こっちはこっちで何か危険な香りがする。いや危険物なのは間違いないんだが。
「随分とあっちは賑やかだな」
 はしゃぐ面々を見て、武器庫の扉を調べていたオリバー(4/5)が苦笑交じりで呟く。
「鍵は開けられそうか?」
 その後ろで様子を見ていた甚五郎(4/5)が問うが、オリバーは首を横に振った。
「いや、そもそも鍵はかかってないようだぜ? 後罠もだが、何か仕掛けられたような感じもないな」
「そうか。それなら開けて中に入れば」
 小暮(3/4)が言うが、甚五郎が「いや、油断はできん」と首を横に振る。
「以前のように、何か仕掛けてあるとも限らん。敵だけでなく、味方の物とかな」
 甚五郎の頬に冷たい物が伝う。きっと過去に何かあったのだろう。
「開けて何かあるかもわからん。ここは偶々ワシが手にしていたコイツで扉を叩き斬る」
 そう言って甚五郎は【霊断・黒ノ水】を取り出すと、【抜刀術】の構えを取る。
「お、おい、大丈夫か? 成功率50%未満な気がするんだが?」
 小暮が慌てて止めようとするが、甚五郎はやめる気は無い。
「まあ見てろって。ああ、ちなみに言っておくが、これは単なる剣術であってスキルではない……せぇッ!」
 身体の捻りを利用し、鞘から刀身を抜くと勢いそのままに扉を斬り付ける。瞬間、
「「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉッ!?」」
扉が爆発し、爆風に巻き込まれた甚五郎とオリバーはそのまま倒れた。そしてすぐに甚五郎(3/5)とオリバー(3/5)が送られてきた。
「……ふぅ、小暮がいなければ即死だった」
 一方、後ろで騒いでいた美羽は爆発の気配を察知し、急いで小暮バリア(別名肉盾)を構え、更にリリやさゆみやミリー達はその後ろに隠れた為、被害は小暮1人で済んだ。
 間もなく小暮(2/4)も送られてくる。きっと次の小暮も役に立ってくれるでしょう。
「それより、扉開いたから早く武器を集めようよ」
「あ、そうね」
 美羽とさゆみ達が入り、その後に続きミリー達とリリ達が武器庫へ入る。その後を、納得いかない様子の甚五郎と小暮が続いた。
 武器庫の中は、与えられていた情報通り様々な装備が置かれていた。見た事もないような物もあるが、それは恐らく研究の成果であろう。
「とりあえず、リリの目的物は見つかったのだよ」
 そう言ってリリは透明な盾を手に取ると、ララに渡していた。
「えっと……これかな」
 美羽は先程手に入れた兵士のアサルトライフル用の弾薬を補充。後は手頃な銃器を手に取っていた。
「とりあえず、こんなもんかな」
 ミリーはライフルを背負うと、更に手斧とバールのような物を手に取っていた。
「ふふっ、ミリーよかったわねぇ全部あったじゃないのぉ」
「あれ、フラットはナイフだけ?」
「これすごいのよぉ。爆弾にもなるナイフなんですってぇ。折角だから何本か頂いていくわぁ」
 そう言うとフラットは手に持ったナイフを見せながら笑みを浮かべた。
「なあ、甚五郎。オラ達は何を持っていく?」
 オリバーに聞かれ、甚五郎は腕を組み考える。特に考えていなかったようである。
「……とりあえず、爆発物を持っていこう。何かに使えるかもしれん」
 そう言って甚五郎はグレネードといった小型の爆弾を数個手に取った。
「……さゆみ、何それ?」
 アデリーヌがさゆみを見て問う。
 とにかく強力な物を、と武器庫を漁っていたさゆみは、RPGを背負っていた。
 だがアデリーヌの目を引いたのはそちらではなく、手に持っていた物であった。見た目は球体の小型爆弾の様であるが、青く光を放っていた。
「うん、奥の方で厳重に保管されてきたから持ってきたの。強力そうだから」
「へぇ、これが……あら? 何か書いてありますわよ?」
 アデリーヌが言う通り、実際何か文字が書いてあった。首を傾げながらさゆみがその文字を見る。
「何々? えーっと……『ブルーライトボム』?」
 どうやらその爆弾らしき物の名前らしい。
「まぁいいや、持っていこっと。アデリーヌはいいの?」
「わたくしは遠慮しておきますわ。うまく扱えるかわかりませんし」
 それもそうか、とさゆみは頷くと、RPGを背負い、青く光る爆弾をポケットに入れた。

・残機変動
夜刀神 甚五郎(3/5)
オリバー・ホフマン(3/5)



     * * *


――コンピュータルームにて。

「……収穫になりそうなのはこの程度、か」
 明志(2/3)がモニターに向かって呟く。表示されているのは研究所の平面図と、別ウインドウで表示されている研究所に関しての文章。
「平面図見る限り、なななの言う通り中央部は4つの通路しか道は無さそうだな……しっかし、本当に研究所かこれ?」
 研究所に関しての文章を読み、明志が呆れた様に言う。
「どうかしたんですか?」
 別のコンピュータで、同様に情報を調べている牡丹(2/2)が話しかけてくる。
「いや、この研究所。ここ見てよ」
 そう言って明志はかったるそうにモニターを指さすと、牡丹が覗き込み、
「……何調べてるんですかあなたは」
表示されているエロ画像を見て、心底軽蔑したような視線を送る。
「いやいや、そっちじゃなくてこっち」
 そう言って慌てるそぶりすら見せず、明志が指さしたのは研究所に関しての文章であった。
「これは?」
「この研究所が一体どういう場所かって書いてあるんだわ。兵器の研究してるのは聞いてたけど、何でも侵入者とか入って警戒モードになると各所にトラップが配置される仕組みになるんだってさ。最終手段でここの所長が自爆装置持ってるっていうし、殺る気満々じゃね?」
「それだけの研究をしているみたいですよ。私の方、見てください」
 今度は牡丹が、自分が調べていたモニターを指さした。
「……エロ画像ないじゃん」
「怒りますよ? 私の方は研究している兵器に関して調べていたんです。大したのはありませんでしたが、1つ凄いの見つけまして」
 牡丹がコンピュータを操作し、表示された物を見て明志が顔を顰める。
「……何この『ブルーライトボム』って。『使用したら半径ンkm草木一本生えなくなる破壊力を持つまるでニュークリア、いや最早ニュークリアな兵器』って、ギャグで言ってるの?」
「実際に開発していたようですよ。こういうのを盗まれないように、侵入者用トラップがあるのかと」
「どっちにしろ碌な所じゃなさそうだなぁ……ところで、彼女は何してんの?」
 明志がレナリィ(1/2)を見る。レナリィは何かしているようだが、傍目では何をしているかわからない。
「何の役に立つかわかりませんが、一応研究所の兵器の情報を記録してもらっているんですよ」
「ふーん。あ、ついでにこのエロ画像も一緒に」
「怒りますよ?」
 ちぇー、と明志が不満げに漏らした。