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理不尽世界のキリングタイム ―トラブルシューティング―

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理不尽世界のキリングタイム ―トラブルシューティング―

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第五章 あっちの方から来ました

――多大な犠牲を払いながらも、遂に中央部へと到達した容疑者達。
 しかしまだゴールではない。最後の難関が容疑者達の行く手を阻む。
 中央部にの入り口は、何人をも拒むかのようである。
 果たして、容疑者達は真実へと辿りつけるのか。

「は、はわわっ! ご、御主人じゃなくてハデス博士ぇ〜! もう皆さん来ちゃいますよぉ〜!」
「何!? もう来たというのか!?」
 デ●ルーラ後、皆より一歩先に中央部へと向かっていたハデス(1/4)とヘスティア(1/4)。
 しかし扉に阻まれ、前で立ち往生していたのであった。
「フフフ……流石契約者達、というべきか……」
「そういう事言ってる場合じゃないですよ〜! このままでは中に入ってボスと一緒に皆さんを待ち受ける、という計画が水の泡ですよぉ!」
「む、そうであるな……迎え撃とうにももう武器は無い……このままでは悪しき契約者達を迎え撃てないではないか!」
「そうですよぉ! 【戦闘員】の皆さんも何も持ってないんですからぁ! どうするんですかぁ!?」
 ヘスティアに急かされながらも、ハデスは顎に手を当てて目を閉じ、考える仕草を見せる。
「……フハハハハ! よし、中へ入るぞ我が部下達よ!」
 やがて、何かを思いついたのか目を見開くと、ハデスは扉へ一歩踏み出した。

「……一体何があったんだ、これは」
 中央部の入り口前に辿りついた容疑者一行が目にしたのは、黒こげになってピクリとも動かないハデスとヘスティア達であった。
 一体彼らに何があったのかは知ることはできないが、ただ1つ確実な事はある。
 彼らは失敗したのである、入り口を開けるのを。
 やがて、ハデスとヘスティア達はそのまま消えていった。その内また新しいハデス達が送られてくるだろう。
「しっかし、見事なまでに扉閉まってますねー。さっき火災報知器鳴らしたから開いててもいいと思ったらこの有様ときたか」
 明志(1/3)が口調こそ軽い物の、悔しいのか舌打ちをする。
「そこまで甘くはない、って事だろうよ」
 昌毅(3/3)はそう言うと、一歩後ろへと下がる。どうやらここは任せる方向で行くらしい。何名かが同じく、一歩下がった。
「とりあえず、これどうする?」
 美羽(3/3)が扉の横を指さす。そこには一般的なドアホンが備えられていた。
「触れない方がよさそうね。あからさまに『罠でーす』って言ってるようなものじゃないの、これ」
「怪しすぎますわね」
 さゆみ(2/4)とアデリーヌ(2/4)が言うと、美羽が同意するように頷く。
「と、なると狙い目は扉だね」
 美羽はそう言って扉に目を向けると、さゆみ達も続いた。
「とりあえず、ブッ壊しますか」
 さゆみの言葉に、美羽が頷いた。
「それじゃ行くよ!」
 美羽はアサルトライフルを扉に向け、引き金を絞る。弾倉が無くなるまで射撃するが、扉は弾丸を弾き飛ばしていた。
 弾かれた弾丸は美羽へと向かってくるが、当たる直前に小暮(2/4)でガードする。
「うーん……駄目だ、効かないよ」
 小暮バリアーで防いだ美羽が残念そうに言う。ちなみに小暮は生きてはいるが虫の息である。
「んじゃ、コイツで一発やってみますか!」
 さゆみは背負っていたRPGを降ろし、構える。
「発射ぁッ!」
 放たれた砲弾は、真っ直ぐに扉へと向かい、
「「「え゛」」」
弾き飛ばされ、真っ直ぐにさゆみの方へと戻ってくる。
 逃げる暇も無く、さゆみ、アデリーヌ、美羽、そして小暮が爆風に包まれた。
「扉は破壊は難しい、か」
 その光景を見ていたセレンフィリティ(1/3)が呟く。
「となると、こっちの方が本命かしらね」
 セレアナ(1/3)がドアホンを見ると、セレンフィリティが頷いた。
「どうするのセレン? 押すの?」
「まさか。下手に押したらドカン、ってのは目に見えてるわ。だから、こうするのよ」
 セレンフィリティはアサルトライフルの銃口をドアホンに向けた。
「……大丈夫かしら」
 不安そうに呟きつつも、セレアナも銃口を向ける。そして2人が引き金を絞った。
 弾丸はドアホンに穴を穿つ――と思われた。
「……嘘、無傷!?」
 まさかの結果に、セレンフィリティが驚いたように声を上げる。
「セレン! 何か来たわよ!?」
 セレアナが指さす。その先には、天井から伸びるアームの様な物があった。
 アームの様な物は、先端が銃のようになっていた。
「ちっ! 逃げ――」
 逃げようとしたが、遅かった。
 銃の様な先端から、レーザーの様な物が発射されセレンフィリティとセレアナの2人に命中する。すると2人は塵も残さず、消滅してしまうのであった。
「扉も駄目、ドアホンも駄目……か」
 リリ(1/3)が呟くと、ララ(2/3)が首を横に振る。
「いや、まだ駄目ってわけではないな……銃以外で扉を破壊するんだ。爆発したら何があるかわからない。リリ、援護は頼んだ」
「……うむ、任せるのだ」
 そう言うと、ララは偶々持っていた【シリンダーボム】を構える。そしてリリは後ろで【サラマンダ―】を取出し、
「「ZapZapZap」」
ララは恭也に蜂の巣にされ、リリは吹雪に鉄パイプで滅多打ちにされるのであった。
「この二人は極自然に武装を取り出して、しかも使おうとしていた」
「つまりは反逆者なのであります。おのれ契約者め」
 恭也と吹雪が棒読みに近い感じで言うが、他の面々も仕方ない、という表情をしていた。そりゃ、反逆の証拠を堂々と出されては処刑されても仕方がない。
「うーん、みんなちょっと考えすぎなんじゃないでしょうかね」
 困ったようにルース(0/3)が言った。その視線はドアホンに注がれている。
「変に壊そうとするから変な事になるんですよ。単純に親切で置いてあるのかもしれませんよ?」
 そう言うと、パールビート(0/4)も同意したように身を捩らせる。そしてメモを取出し、ルースに見せた。それには『お届け物でーすって言えば開けてくれるんじゃない?』と書いてあった。
「ふむ、その案頂きますか」
 そう言うと、パールビートと一緒にルースはドアホンの前に立ち、指を伸ばす。
「こんちわー、ピザ屋でーす。ご注文の品をお届けに参りましたー」
 そう言いながら、ルースはドアホンを押した。
――直後、2人(?)が爆風に包まれた。
 残ったのは消し炭になった、かつてルースとパールビートであったもの。だが消し炭も、すぐに消滅してしまった。
 しかし残機が無い彼らは新しく送られてくることはない。次回に期待しましょう。
「やっぱりドアホンは危険だったみたいねぇ、ミリー?」
 爆散する様を見て、何処か愉しそうにフラット(0/3)がミリー(0/3)に言う。
「そうだねぇ。でもどうするかなー……ドアノックして、失礼しますーで案外いけないかな?」
「そうねぇ……失敗して死んでも面白そうだし、やってみる価値はあると思うわぁ」
 フラットの言葉に、ミリーは「やってみよう」と扉の前に立つ。
「失礼しまーす」
 そう言って、ミリーがドアを軽くノックする。すると、扉に着いていた電光掲示板の様な物が光る。そんな物あったかって? あったのですよ。
 電光掲示板には、こんな表示がされた。

『失礼だと思うならすんな。帰れ』

 直後、頭上からレーザーを浴びせられ、ミリーとフラットが塵と化した。

――以上、DIEジェストであった。

「……扉の鍵開けに行こうと思ったけど、やめた方がいいかなぁこれ?」
「ええ……残機も考えると大人しくしておいた方がいいと思います」
 レナリィ(0/2)が聞くと、牡丹(1/2)が頷く。
「しかし、これ完全に詰んでるだろ……扉とドアホン、どっちに何しても死ぬとか……」
 状況はセリス(0/3)の言う通り、完全に手詰まりであった。
 既に何名か残機も使い果たし、手も尽きた。どうしていいか容疑者達が考え込む。
「策なら、まだあるのだよ」
「諦めるのはまだ早いよ! フォアォゥッ!」
 そんな中、マネキ(0/3)とマイキー(0/3)が何故か小暮(1/4)を携えて前に出てきた。
「またお前ら……って何で小暮も一緒なんだよ?」
「さあ……自分も『とりあえず来い』と言われただけなんで」
 小暮が首を傾げると、マネキが「ふっふっふ」と笑いながら答えた。
「この作戦に、小暮が必要だからなのだよ」
「小暮が? というか作戦って何だよ」
 セリスの問いに「それはだね!」とマイキーが答える。
「ジェットストリームアタックだよ!」
「そう! 三位一体の縦一列アタックを敢行するのだ! ちなみに前から小暮、我、マイキーの順番な!」
「って何でさっきから自分が盾にされてるんだ! こっちだって残機ヤバいんだよ!」
「安心しろ! 我らなんて次はもう無いのだ! ああ安心しろ小暮。お前に拒否権なんてものは存在しない!」
「成程! 安心してボク達も突っ込めるね!」
「何処が安心なんだよ! おい頼むから止めてくれ!」
 小暮がセリスに頼むが、
「あー……もういいや。言っても聞かないだろうし、散ってこい」
完全にツッコミを放棄していた。
「というわけで許可は得た! 行くぞ!」
 マネキが小暮の返事も聞かず、背中を無理矢理押し出す。その後ろを何故かマイキーがグルグル回転しながらついて行った。怪しいが素晴らしい動きだ。
「ちょ! 突っ込んでどうするつもりだ!?」
 小暮が問うとマネキは胸を張って答えた。
「全く考えていない!」
「おいぃぃぃぃぃぃぃ!」
「大丈夫! ボクは考えているよ!」
 後ろから回転しながらマイキーが前に出る。彼の行先はドアホン。
「新時代の技術は、『押す』から『回す』に進化した!? スピンの力は世界を救うんだ! だからボクは回すよ! アーォッ!」
 そして、マイキーはドアホンのスイッチを、摘まんでダイヤルの様に回した。
「あーあ……死んだな」
 その様を見て、セリスが手を合わせる。が、
「やったね! 開いたよ! ポォアオゥ!」
マイキーが歓喜の甲高い声を上げていた。彼の言う通り、扉が開いたのであった。
「……嘘だろおい」
 セリスが戦慄し、呟く。現実はこんなもんである。
「よぉーしよくやった! 早速乗り込むぞぉー!」
 マネキが小暮を盾に、開いた扉から乗り込む。その後ろにマイキーが続き、呆気にとられていた者達も扉が開いた、という事実を漸く受け入れ、乗り込む。
 中に入った容疑者達を待ち受けていたのは、

「そこまでだ!」

という声だった。


・残機変動リスト
ルース・マキャフリー GAMEOVER

リリ・スノーウォーカー(0/3)
ララ・サーズデイ(1/3)

小鳥遊 美羽(2/3)

綾原 さゆみ(1/4)
アデリーヌ・シャントルイユ(1/4)

パールビート・ライノセラス GAMEOVER

セレンフィリティ・シャーレット(0/3)
セレアナ・ミアキス(0/3)

ミリー・朱沈 GAMEOVER
フラット・クライベル GAMEOVER

ドクター・ハデス(0/4)
ヘスティア・ウルカヌス(0/4)