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第3次スーパーマスターNPC大戦!

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下着 ―祝福と戒め―

 数日後。
 異世界『ロミスカ』で起きた皇帝アッシュのぱんつ騒動が終わり、パラミタへ帰ってもまだ、闘いが終わってない人間がいた。
「この、変態ー!」
 ス、ッパーンッと豪快な張り手を左頬に受けたのは沢山の下着が入った紙袋を持つ真だった。
「あ、あのッ」
 京子が慌てて取りなそうとするが、真にビンタをかました女性はキッと眦を吊り上げて、吐き捨てた。
「帰って下さい! そのぱんつも要りません!」
 ガチャンと鍵を掛けられた玄関を見つめて、真はそっと赤くなった頬に左手を添える。視線を向けてくる真に京子はちょっと困った顔をした。
「やっぱり透明なままなのは恥ずかしいのかも」
 紙袋に詰まった下着達は綺麗に洗われ丁寧にアイロンを掛けられ、プレゼント用にしか見えない正確さで透明セロファンでラッピングされている。
 玄関先で学生に名前と住所を確かめられ、あまつさえべろんと自分の下着を出されて「これは貴女のですね?」と尋ねられた日には、女の人は恥ずかしいんだよと京子は真を慰めた。
「確認がしやすくていいかなと思ったんだけど」
 真は投げつけられたぱんつを拾い上げて紙袋に戻す。
 でも、そういう真面目な所をパートナーたる京子はよくわかっている。彼の背中をそっと撫でた。
「真くん、大丈夫? ほっぺた痛く無い?」
 真と京子は今日もパラミタの家々を訪ね歩く。
 盗まれた下着を持ち主の元に返す為に。



「我こそは『ロミスカ』の戦士なり!」
「ワハハハ、ぱんつをよこせぇ〜」
 乾いた空に響く台詞はここ最近孤児院『系譜』の子供達がはまっているぱんつ戦士ごっこの定番文句だった。
 学習室の窓辺で書き物をしていた破名は、その手を止めて立ち上がると窓枠を掴み、ぱんつを頭から被っている一団に向かって今すぐ学習室に来いと手招きする。
 いやだー怒られるーと返答されて、思わず額を片手で押さえた。そんな彼を見つけた少女達は団体で学習室に駆け込んでくる。
「くろふぉーど、すてっきー、すてっきほしいー」
「すてっきー?」
「うん。きらきら〜ってするの〜、ほしいぃ」
 わらわらと囲まれ、おねだりされて、頭痛がしそうだった。
 すっかりと男児はぱんつ戦士に憧れ、女児は魔法少女に成りたがっている。
 全く、とんだ夏の思い出だ。
 く、と破名は思わず噴き出した。
 くつくつと喉の奥で笑いを堪える破名に少女達は「ん?」と首を傾げる。
 そんな彼女達の頭をそれぞれ撫でて、近場の子を抱き上げた。
「外に行こうか」
「おうたうたうの?」
 こう言って誘う彼の行動は大抵決まっている。
「そうだ。お前たちの人生が少しでも豊かになるように教えたい歌がたくさんある」
 もう一度外にいる少年達に向かって、こっちに来いと手招いた。
「……そう、覚えておいてもらいたいことがたくさんある」
 今日は仕事が無い。寝るまでずっと一緒にいられる数少ない日だった。



「今日の荷物一覧は……ふむ。おば上宛のが一つあるな」
 担当者から一覧を受け取った飛鳥 馬宿が、豊美ちゃん宛の品があるのを確認し、贈り主の名を見て首を傾げる。
「Alex Milo……ミロシェヴィッチ……? ……あぁ、彼か。
 豊美ちゃんに贈り物とは、何だろうか――」
 意外な贈り主に興味を惹かれた馬宿が、その豊美ちゃん宛の小包を手にした所で、

「ダメですーーー!!」
「んがっ」

 突然現れた豊美ちゃんに背後からふっ飛ばされる。宙を舞った小包は豊美ちゃんがかざした『ヒノ』に吸い寄せられるようにして、豊美ちゃんの手元に収まる。
「危なかったですー。
 ウマヤド、私がいいと言うまで部屋に来てはダメですよ! 讃良ちゃんも来ないようにして下さいね」
 ホッとした表情を見せ、馬宿に言い残して足早に豊美ちゃんがその場を後にする。
「…………フォローは無しですか、おば……豊美ちゃん」
 しばらくして起き上がった馬宿は、気配のない所でもおば上、と言うのは止めにしようと誓いながら、豊美ちゃんに言われたことを振り返る。
(俺を遠ざけるのはまだしも、讃良様までとは、アレクサンダルからの贈り物はよほど何かあるとみえる)
 そう思いつつも、余計な詮索は身を危険に晒すだけと考え、馬宿は思考するのを止める。

「わぁ、素敵ですー」
 部屋に入り、アレクから届いた小包を開いた豊美ちゃんは、中に入っていた品――ぱんつとブラジャーとスリップのセット――を取り出して表情を輝かせる。アレクが身に付け、彼に絶大な力をもたらしたぱんつとブラジャーは戦闘の影響で伸びきってしまい、またホックが壊れ使い物にならなくなったため、アレクが新しいものを選んで買って来、豊美ちゃんの手元に贈られてきたのであった。
「……着けてみても、いいでしょうか?」
 誰に確認するでもなく一人呟いて、豊美ちゃんは着ていた服に手を掛ける。布擦れの音が響き、服が足元にファサ、と落ちる。ブラジャーのホックを外し、ぱんつに指を差し入れて下げ、生まれたままの姿になった豊美ちゃんはまず、ぱんつを手に取ってしばらくうっとりしたように見つめ、満足すると自らの脚の間に通していく。
「あっ、ピッタリですー。可愛いデザインなのに履き心地も凄くいいですねー」
  貸し出したぱんつと少し似た愛らしいベビーピンクを控えめなレースが縁取るデザインは、豊美ちゃんの好みをピンポイントで突いていた。それに可愛いだけじゃない、機能性も備えたデザインに豊美ちゃんは嬉しそうだった。
 次に豊美ちゃんはブラジャーを取って、あるかないかの膨らみを包んでいく。後ろで結わえていた髪をかき上げて、全身を映す鏡に映った自分の姿を見る。
「えへへ……なんだか、恥ずかしいです」
 頬を赤く染めて、豊美ちゃんはアレクからもらったこのぱんつとブラジャーを、大切にしようと誓う。
 しかし……豊美ちゃんなら一番小さいサイズだろうと推察出来るぱんつやスリップは兎も角、何故アレクにサイズを伝えていないにも関わらずブラジャーまでジャストサイズなのかについては、彼女はちっとも疑問には思っていないのだった。



 義兄が生活に必要なもの以外買い物に出掛けた記憶が、ジゼルには無い。帰宅直後にソファに倒れ込む位には疲れた様子なのに――実は道中カガチと行き合って一戦交えてきたから疲れていたのだが――、何の買い物に出掛けたのだろうか。
「この間豊美ちゃんに借り物をしたんだよ。洗って返しはしたが、新品を贈るのが礼儀というものだろう。
 ああついでにお前のも買ったといた」
 借り物に新品を返す兄の律儀さに株を上げつつ、ジゼルは微睡みに引き込まれつつ在るアレクの横で紙袋から包みを取り出した。上品な柄の包装紙で飾られたその箱は、想像していたよりも大きい。洗って返したと聞いたからてっきりハンカチ辺りだと思ったのに、一体何を借りていたのだろう。
「開けて良い?」
「どうぞ」と答えを貰って丁寧に包装を剥がしたジゼルは、蓋を開けて絶句した。
 箱の中身は下着セットだった。
「……これ……一人で買ってきたの?」 
「うん。このブランドよくプレゼントする男居るからって店員さん親切だったよ。どっちが彼女さんにですか? って聞かれたから尊敬する幼……魔法少女と妹だって答えたら固まってたんだけど何が悪かったんだろうな……。あ、そうか、考えてみたら、彼女も妹も殆ど同義語だったな
 説明らしき声は大きくなったり小さくなったりボヤボヤで鼓膜に響いて来ない。輝く様な白のブラジャーを、タンガを、レッグガーターとベビードールをどんな気持ちで受け取れば良いのか分からずただ困惑を全身で表していると、箱の上に更に一枚のぱんつがのせられる。
「そういえば借りてたこれ、返す。悪い、一回『使った』」
(……使ったって……何に? てゆーかあれ? 豊美ちゃんに買ったついでって事は、豊美ちゃんにもその……下着を贈ったんだよね。あれ………………まさか、お兄ちゃん? これと似た様なデザイン、豊美ちゃんに贈ってないよね? こんなのお友達に贈ったらドン引きだよって重要なのはそこじゃなくてそもそも下着を借りた!? どういう状況で何の為に女の人の下着を借りるの!? ……お、落ち着いてジゼル。何か理由があるのよ。そうよ、何か……何か……何があったら女の人の下着を男の人が借りる必要があるの。……ダメよ、ダメダメっ! 理由よりもまずお礼を言って、それからプレゼントの感想を……うわなにこれ触り心地凄く良い高い! 絶対高い! どうしようこんな高そうなもの着れな……待ってジゼル! これは着ちゃ駄目なやつだわ! こんなっこんなのっ着たら絶対あんなことやこんなことちちち違うのそんなえっちな事考えてないのああああ何でこんなもの買ってくるのよぉ!!)
 混乱する頭は質問の言葉すら生み出せない。どうしたらいいのか全く分からないまま箱を握りしめたジゼルはプラチナブロンドの髪を振り乱し、全力で叫んでいた
「もおおおッ! バカッ! バカッ!
 お兄ちゃんのッへんたあああああああああいッッッ!!!


担当マスターより

▼担当マスター

菊池五郎

▼マスターコメント

【保坂 紫子】
 皆様初めまして、またおひさしぶりです。保坂紫子です。
 今回のシナリオはいかがでしたでしょうか。皆様の素敵なアクションに、少しでもお返しできていれば幸いです。
 復帰シナリオがぱんつになりました。
 その節はお誘いしてくださった東MS、快く快諾してくださった猫宮MSには多大なる感謝とお詫びをこの場をお借りして述べさせたいと思います。本当に色々とありがとうございました。
 また、執筆が進むにつれて、途中から真顔でぱんつやらゴールデンパンティやらを連打している事に気づき、つくづくぱんつの魅力は恐ろしいなぁと感じました。
 では、ご縁がございましたらまた会いましょう。
 あ、東MSが猫宮MSは変態です。と記入したほうが良いとおっしゃってたのですが、此処で大丈夫でしたでしょうか。


【猫宮 烈】
 えー、猫宮です(トランス状態が解けた)

 事の発端は、8月2日、『ぱんつの日』でした。
 あの時自分がぱんつの設定をまとめなければ、こんなシナリオは生まれなかった……!(目に涙を浮かべ

 まぁでも。
 別にえろい感情で、ではなく、女性用の下着は見ていて楽しいですし、この子はこんなデザインのぱんつかなーって想像するのは楽しいと思うんです。
 昔のサムライが兜や鎧に装飾を施したのに通ずるものが……あー、これ以上言うと真っ白な目で見られる気がしたので止めておきます(もう手遅れ

 東マスターと保坂マスター、お疲れさまでした&色々とご協力いただき、ありがとうございました(ぺこり
 お二方は自分と違って健全です。(東マスターを見て)……健全ですね?

 それでは、また。


【東 安曇】
 東です。健全です。最後迄読んで下さって有り難う御座います。
 ご参加頂いた皆様に措かれましては、生暖かい視線と素晴らしく素敵なアクションを有り難う御座いました。
 ……否、終わりくらい真面目に挨拶させて下さいよ。猫宮マスター、振りには答えませんよ。復活した保坂マスターが、以前と違って様子が可笑しいのも気の所為ですって。はは。
 マスターNPC大戦は今回も極めて真面目なシナリオだった。そう思わせて下さい。何故ならば私は、そういう記憶だけを、皆様の正善にして廉直なる御心に残したい!!

 それでは皆様、またお会い出来れば幸いです。


*2013年9月3日:改訂致しました

*推敲を重ねておりますが、誤字脱字等がございましたらどうかご容赦願います。
 個別コメントはリアクションをほぼ三人で描写している為、連名にて送らせて頂きます。