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リアクション
<<おかえりなさい。市民いいえ、ワタシ>>
敢えてRAR.はダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)にそう告げた。
ダリルは彼らと行動を別れ、一人先にRAR.の元にいた。
彼の中にあるRAR.コピーが本体と常に同期化し、彼もまた思考を同期化する。故に彼はRAR.であり、RAR.もまた彼であった。ただ違うのはその思考の主軸をどこにおいているか。そしてハードウェアーの違いだけ。
「RAR.おまえが望むことは俺もわかっている。【第三世界】の存続。それは俺も望むことだ。だが、全てにおいておまえと意見を一致させることは出来ない」
ダリルはRAR.である故に、RAR.の提唱する『【第三世界】の存続』について全てを知っている。その方法はパートナーであるルカルカにも話してはいない。
それがいかに非人道的であるかを知っているからだ。
RAR.が問う。
<<では、アナタはワタシに従わないと?>>
「愚問だな。結局のところ俺はおまえだ。俺はお前に従う。だが、意見は一致しない。【第三世界】の存続のために模索される他の方法があるのだから」
<<対象の精神同位体を代理として使用する方法は可能でしょう。しかし、確実性に欠けます。そしてアナタが今なお検証している方法についても不確定な要素を多く含みます。ですから、ワタシもあなたに賛同いたしかねます>>
「そうだ。同一であれ全てが一致するわけではない。だが、俺は俺に従い、お前に従おう。――この都市の全権限を譲渡しろ」
<<――あなたの望むままに。すでに手はずは整っております>>
「お迎えに参りましタ。アリサ・アレンスキー」
アリサに機械の声が語りかける。
語りかけたのは女性だった。否、それは女性型のアンドロイドだった。ただし、右腕と左足の内装パーツがむき出しの。
アリサは前に立つ女性に問う。
「あなたは」
ひび割れた顔が笑顔を作る。
「私はアセト。この都市にたった一人ノ市民。そしテ――あなたに協力を請うものでス」
壊れた右手をアセトが差し出す。
壊れた右手から黒い靄が立ち、アリサの意識を奪う。
「アリサさん!」
迦耶がアリサの異変に気付くが、遅く。アセトより発生した靄がアリサの体を抱え距離を取っていた。
アリサがアセトの手に落ちると同時に、アリサを追っていた彼らもその場に現れた。
アセトは彼らに告げる。
「ご足労おかけしましタ」
「これよりアリサさんを私と私の世界のタめに犠牲になってもらいます」
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