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アリサ・イン・ゲート -Rest Despair

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アリサ・イン・ゲート -Rest Despair
アリサ・イン・ゲート -Rest Despair アリサ・イン・ゲート -Rest Despair

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 アリスの復元作業をする彼らに、アリサのことが入る。
 どうやらアセトに捕まったとのことだ。
 彼らはキョウマに復元作業を任せ、アリサ救出へと向かった。
 研究所に残ったのはハデスと天樹 十六凪(あまぎ・いざなぎ)くらいだった。
「おやハデス君は助けに行かなくていいのですか?」
「いやみったらしい言い方だな裏切り者。そっちは部下に任せている。俺は天才科学者としてその勤めをはたすだけだ。それに、

 どちらの助けに入るのが面白いのだろうか?」



 これは彼らがオリュンズへ向かう前のこと。 
 【ノース】のDR社前にある広い公園。
 佐野 和輝(さの・かずき)はベンチに座る。ベンチの後ろには同じベンチが線対称に置かれて、そこにはビジネススーツの先客が座って鳥にパン屑を与えていた。
 先客は「君もどうだね?」と紙袋を渡す。袋の中には食パンの代わりに紙幣が入っている。「後で頂く」と返す。
「国のお偉いさんが餌やり(前金渡し)とは」
 ロキス・ワーグナーとの密談だった。
 密談の内容は、この世界の存命の阻止。その依頼。
 ロキスは情報工作員から「外世界の者達が世界を救う方法を画策している」と耳にしていた。
 和輝が言う。
「向こうの世界でも同じことを言っていた奴がいたな。日本人なのに英語入っている変な名前のやつが」
「そちらでもわたくしと同じ人はいるでしょう。この世界が崩壊するからこそ、利益を得る人が。あなたもそうでしょう?」
【第三世界】が消滅していくこと、消滅することが利益になるモノたちが居る。それは紛れもない事実だ。
 地球側では未知の技術の流入が同時に金の流れとなり利益をもたらす。それが有限のものであれば、枯渇していく石油のように相場が高くなっていく。
 また一部でも技術を独占できれば、輸入元が消滅した後に利益をもたらす。
 永遠に扉が開いてないからこそいい話だ。
 少なからずそこには地球側のパラミタに対する【第三世界】の技術輸入に対する独占的特権に反発する声が聞こえてくる。
「ならお前たちになんの利益がある。土地や多くのモノが減っている現状がお前にとってどんな利益があるんだ?」
 ロキスが笑う。
「大いにあるさ。国民は民族差別の元、他国への侵略政策を良しとしている。この国には『土地が減れば、他国から奪えばいい』という考えが蔓延している。そして【グリーク】も軍国主義において戦争を良しとしている。戦争は莫大な利益を得るチャンスだろう?」
「戦争によって向上する技術。それに伴う技術輸出の利益。だがそれは技術を買う国があってこそだ。その技術をむこうの世界に売りつける気か?」
「いや、売りはしない。わたくしどもは安い商売をする気はない。買おうというのだよ。“そちらの世界を”」
「なに?」
「昔君たちが使っていた扉があるそうだね。今そこが開いているとのことだ。折角なので通してもらおうかと思ってね。それは君から君の世界を買うための前金。もし、わたくしどもがそちらの世界に行き、全てを手に入れたら正当な報償を君に支払う。その時には隣の国が買えるくらいのを用意しよう」
 つまり、それは外世界への侵略宣言だった。
「君は君の利潤と君に渡される利益のために、味方に手をかける。それが君への依頼だ。君のお友達の目論見が成功するかもしれない時に、そっと手を添えてやるだけの簡単なことだ」