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地球に帰らせていただきますっ! ~2~

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地球に帰らせていただきますっ! ~2~
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 2020年が終わろうとしている。
「もう1年経つのかぁ……」
 今までになく、自分の家である孤児院を空けてしまっていたことにシリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)は改めて気づいた。
 本当に様々なことがあった1年だった。
 全部が解決した訳ではないけれど、少し見当はついてきた。ここらで一度、地球に戻って報告をしようかと、シリウスはリーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)を伴って地球行きの新幹線に乗ったのだった。
 
 子供は風の子とはよく言ったもので、孤児院の庭には寒さにも負けず遊ぶ子供たちの姿があった。
 シリウスとリーブラの姿を見つけると、子供たちは門の外まで走り出てくる。
「お帰りなさい」
「わーいおかえりー!」
 飛びついてくる子供たちの頭を、シリウスはぐりぐりと撫でた。
「今帰ったぜ。元気にしてたか、みんな?」
「ただいま帰りましたわ」
 リーブラも子供たちに向かって微笑む。
 両親と生後すぐに離別したシリウスは、この孤児院で育った。だからこの子供たちはシリウスの弟分であり、リーブラにとっては孤児院に来た時期的に言えば同輩だ。
 パラミタに行ったシリウスたちの冒険の話を楽しみに待つのと同時に、心配もしてくれている。
「リーブラお姉ちゃんのこと、どうなったの?」
 子供たちの中では年長の女の子に尋ねられ、うん、とシリウスは答えた。
「まぁ完璧じゃないけど、見当はついてきたよ。そっくりだったティセラねーさんのクローンは何度か見かけたんだ……もしかすっと、リーブラも同じように作られたのかもな……」
 そう呟いた後、シリウスは大丈夫だよと、その子に笑いかける。
「リーブラはリーブラさ。そんなコピーロボットみたいな連中とは違う。俺が保証する!」
 断言するシリウスに、女の子も少し安心した様子になる。
「ティセラのことはどうなったんだ?」
 今度は別の男の子が尋ね、それに対してシリウスはこう答えた。
「ティセラねーさんは……悪い奴に操られてたんだ。今はいい人さ。ねーさんも、ミルザムもさ。さ、詳しい話は順を追って話すから、
中に入ろうか」
 次々に質問を浴びせてくる子供たちを宥めつつ、シリウスとリーブラは自分の育った孤児院に入っていった。
 
 
 子供たちに話をし、あるいは孤児院で起きた出来事を聞き。
 1年ぶりに帰ってきたシリウスは、ゆっくり休む間もなく子供たちとの話に興じていた。
 そこに、ぱたぱたとまだ小さな男の子が走ってくる。
「シリウスお姉ちゃんー」
「ん、どした?」
「玄関にお客さんだよっ、早く早くー」
「オレに客?」
 全く心当たりがなくて、シリウスは誰だろうと首を傾げた。
「うん。あのね、リーブラお姉ちゃんみたいな人だよ。玄関で待ってるから行ってあげてー」
「リーブラみたいな……って剣の花嫁ってことか? 一体誰だ?」
 とりあえず、会ってみれば分かるだろう。そう思ってシリウスは玄関へと向かったのだった。