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地球に帰らせていただきますっ! ~2~

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地球に帰らせていただきますっ! ~2~
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リアクション

 
 
 
 セーフハウスでの再会
 
 
 
 半年ぶりに地球に戻り、柊 真司(ひいらぎ・しんじ)はセーフハウスの扉を開けた。
 入り口から見える範囲には誰も姿もなく、耳を澄ませても物音1つ聞こえない。どうやら誰もいないようだ。
「この前、地球に戻る旨を連絡したら、報告を受ける者を1人寄越すと言っていたはずだが……」
 そもそもこのセーフハウス自体が仲間から指定された部屋なのだが、そうは言っても来ていないものは仕方がない。
「上がって待つとするか」
「そうですね。少し時間も早いようですから、まだ来ていないのでしょう。コーヒーでも淹れて待ちましょうか」
 ヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)はキッチンはどこだろうと見回しながら、真司と共に部屋に上がった。
 と……。
 リビングに入った途端、2人の背後から腕が投げかけられる。
「久しぶり。元気にしてたか? 二人とも」
 肩を組まれた時にはさすがに驚いたけれど、その声は2人にとっては馴染みのものだった。
「お久しぶりです、ヨハンさん」
「……久しぶりだな」
 真司の声のトーンが落ちたのは、正直、ヨハンのことが苦手だから……という理由からだ。
 ヨハン・ブラウナーは真司の特殊部隊仲間、というか兄貴分で、真司のことを弟のように可愛がっている。が、その可愛がりっぷりが真司は苦手なのだった。
「ちゃんと飯食ってるか?」
「まあ……そこそこには」
「そこそこじゃなく、ちゃんと食えよ。向こうでは仲間は出来たか?」
 根掘り葉掘り質問してくるヨハンに、真司は問い返す。
「そんなこと聞いてどうする」
「心配なんだよ。お前無愛想だからな」
 こういう所が不得手なのだと思いながらも、真司はふと考える。戦災孤児で行き倒れていたところを特殊部隊に拾われ、そのまま部隊の一員として育った真司には、家族というものが分からないけれど……家族が居たらこんな感じなのだろうか、と。
 真司がヨハンからの質問攻めを受けているうちに、ヴェルリアが人数分のコーヒーを淹れて運んできた。
「立ち話もなんですから、座りませんか?」
 リビングのテーブルに置いて勧めると、ヨハンがさっさとやってきてソファに座る。
「お、ヴェルリアちゃんありがとう。ほら、真司も飲め飲め」
「言われなくても飲む」
 そんなに世話を焼かなくても、と渋い顔で真司はソファに座り、よい香りのコーヒーを口に運ぶ。そんな真司を見やった後、ヨハンは質問の矛先をヴェルリアへと変えた。
 真司に質問しても、そっけない感じではぐらかされる。だったらヴェルリアに色々聞いたり吹き込んだりして、その時の真司の反応を見てみようと考えたのだ。
「ヴェルリアちゃんは向こうではうまくやってる?」
「はい。よくはぐれたり迷ったりしてしまうのですが、そのたび真司が迎えに来てくれますし」
 おおむね問題なく暮らしている、と言うヴェルリアに、で、とヨハンは身を乗り出し。
「真司とはどうなんだ?」
「えっと、それは……」
「あんまり彼女をからかうのはよしてくれ」
 真っ赤になっているヴェルリアを見かねて真司がいさめたが、そんなことでへこたれるヨハンではない。
「何か進展とかあった? こっそり教えてよ」
 当人がいる前でこっそりも何もあったものじゃないが、ヨハンはそう言って冗談めかして耳を寄せてくる。
「その……ノ、ノーコメントです」
 それだけをやっと答えると、ヴェルリアはコーヒーのおかわりを淹れてきます、と急いで席を立ってキッチンへと逃げ込むのだった。