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リアクション
「羽純くんったら、まだ照れてるの?」
「いや……」
歌菜が歌った「destined soul mate」はいつも支えてくれる羽純へ向けて歌ったものだ。自分もこうして歌った後に会うと照れてしまうが、普段言えない気持ちを歌に乗せて届けられたらいいという願いも込めてある。
「……ありがとうな」
耳元で低く呟かれて、繋いだ手にきゅっと力を入れて二人は家へと帰るのであった。
「本当にその衣装のままで出るとは思わなかったな」
「いいじゃな〜い! 可愛いしあったかいし。あたしちょっと気に入っちゃった!」
ライブが終わってもまだにんじんの衣装のままのラブを見ながらコアは大きく溜息をつくのだった。
「これでにんじんのCMとかこないかな〜? オイシイですよーって全力で
アピっちゃうのになぁ〜」
そんな彼女に届いたのは、CMではなく八百八の八百田さんからの現物支給のにんじんだった。
「にゃーにゃー」
「うさうささー」
二人ともすっかり頭から離れない様子で楽しそうに歌いながらの帰り道だ。
「ところでお前らいつまで耳つけたままでいるつもりなんだ?」
前方を歩くイコナとティーに、後ろから鉄心が声をかける。
すっかり忘れてたらしい二人は少し恥ずかしそうに辺りを見回していたが、耳をしまうと何事も無かったかのようにまた二人で歌いながら歩き始めた。
やれやれと思いながらも、そんな二人に癒されている自分がいることを鉄心は感じていた。
「さゆみ、わたくし上手くできたかしら?」
心配そうに俯きながら隣を歩くアデリーヌの手を引いて、さゆみは歩き出した。
「もうアディったらそんな心配ばっかり! 大丈夫って何度も言ったじゃない」
何度言われても気になるものは気になるのだ。しかも大切なパートナー相手だからこそ、余計に気になってしまって仕方ない。
「よし、わかったわ! こうなったらアディがなれるまで一緒にイベントにでましょう!」
「え、えええ?!」
「大丈夫よ、私がついてるから!」
ふふふと笑うさゆみに引っ張られる形でアデリーヌが歩く。
これからもこうやって新しい自分を見つけてくれる大切な存在を感じながら。
「それじゃ、またねー」
御神楽夫婦に連絡を取って、ノーンとエリシアは帰途についた。
「やー、楽しかったなぁ!」
「ノーンったら少しくらい緊張したらどうなんですの? わたくしのほうが緊張してしまったというのに……」
「え? なあに?」
「な、何でもないですわ! それよりノーン、今日はわたくしが美味しいごはんをご馳走してさしあげますわよ!」
「え? いいの?!」
照れ隠しはしたけれど、頑張ったあの子にご褒美を。
負けちゃって悔しいかもしれないけど、次は負けないでと願いを込めて歩き出す。
「ベル、お疲れさん」
歌いたいだけと参加した歌姫は準優勝という大きな獲物をもって帰ってきた。
「おうおうおう! いい歌を歌うじゃねーかよ! 今度俺様とも歌おうぜ!」
「それはい」
「それはやめろ! イメージがマイナスになる!」
「んだとこらあ」
いつも通りのやりとりを見ていて、ベルはくすくすと笑い出す。
そんな彼女を見ていると瀬乃とウォドーの二人は何だかこそばゆい気持ちになって距離を取った。
「あー……楽しかったか?」
「――はい」
歌姫の笑顔を見ながら再び騒がしいやりとりを繰り返しながら三人仲良く帰るのだった。
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