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リアクション
第7章 招待!
「今日はお買いものに付き合ってくれてありがとうございます」
勢いよくぺこんと、ミーナ・リンドバーグ(みーな・りんどばーぐ)は頭を下げた。
「あっ」
「おっと」
拍子に荷物を落しそうになってしまうが、真田 佐保(さなだ・さほ)が押させてくれた。
空京の百貨店で一緒に買い物をした2人は大きな荷物を手に、駅に向かっていた。
「突然立ち止まったら、危ないでござるよ。人も多いでござるから」
佐保はミーナの荷物を持とうとする。
「いえ、自分で持てます。そうですね、気を付けます」
荷物をぎゅっと抱きしめるように持って、ミーナは再び歩き出す。
(今日はクリスマスだし、ミーナのパーティーにお誘いしてもいいんだよね)
ミーナはドキドキ鼓動を高鳴らせながら、何度もそう自分に言い聞かせていた。
百貨店では、パートナー用のプレゼントを佐保に一緒に選んでもらった。
佐保は、ミーナの想いを知っているはずだし。
クリスマスが、恋人達にとって特別な日であることも、知っているはずだし……。
ごくんと唾をのみ込んで、意を決すると、イルミネーションを眺めながら歩いている佐保に言う。
「佐保先輩、今日ミーナの家でパーティーするんですが、先輩さえよかったら……」
佐保が、ミーナに顔を向ける。
目が合った途端、ミーナの顔がカッと熱くなる。
「その……うぅ〜。パーティーするので来てください!!」
大きな声で言ってしまい、ミーナは更に赤くなる。
近くを歩いていた人達がちらりとこちらを見ていく。
「美味しい料理も準備してるし」
ミーナは赤くなったまま混乱しながら、言葉を出していく。
「先輩の好きな、お蕎麦も作りました。手打ちで!」
「おお、手打ち蕎麦でござるか」
「はい! ミーナのパートナーの子もお話ししたいって言ってたし、ミーナもフリフリお洋服着てる先輩も見たいし……」
「ふりふり……?」
「先輩にプレゼント渡したいし、先輩ともっとお話ししたいし、お泊まりの準備だって」
そこまで言ってしまい「あっ」と、ミーナは口を結んで、俯く。
(プレゼントのこと、秘密だったのに……うわー、言っちゃったよ〜)
恐る恐る顔を上げると。
「ふ、ふふふふ。面白そうでござるな」
佐保は笑みを浮かべていた。
「ただ、フリフリの服は、用意してないでござるぞ?」
「うちにある服、着てください! 先輩に似合いそうな服、あるんですよ。パジャマも……」
「そうでござるか。それなら」
佐保は優しい笑顔を、ミーナに見せた。
「お邪魔しても良いでござるか?」
「も、勿論! やったー!」
「こらっ」
荷物を投げそうになったミーナを、佐保は慌てて押さえる。
「大事なプレゼントが入っているのでござろう?」
「あ、はい……。すみません。でも、先輩のは家において……ってまた言っちゃった」
しょんぼりするミーナに。
「楽しみでござるな。実は、拙者も、ミーナとパートナーの皆にと思って、これを選んだでござるよ」
言って、佐保は持っている紙袋を指差した。
中には……そう、高級な和菓子が入っていたはずだ。
「ありがとうございます。皆喜ぶと思います」
すっごく嬉しそうに言うミーナ。
荷物を持っていなかったら、スキップして帰りたい気分だった。
そんなミーナを見てか、佐保もとっても嬉しそうな笑みを浮かべていた。
それから2人は、ミーナのパートナー達が待つ家に向かって。
一緒に楽しいクリスマスの夜を過ごしたのだった。
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