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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同忘年会!

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【マスター合同シナリオ】百合園女学院合同忘年会!

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 日の出少し前。
 忘年会後に百合園女学院を出て、宿で過ごしていた者達も起き出して。
 日の出を見る為に百合園や、高台、ホテルの屋上へと向かって行った。
「はーすーみーくーん!」
 遠野 歌菜(とおの・かな)も、旦那である月崎 羽純(つきざき・はすみ)と共に、百合園に戻るつもりだったのに。
「眠いのは分かるけど、これだと初日の出に間に合わないよ?」
 ゆさゆさ揺すって、羽純を起こそうとする歌菜。
「寒いから、このまま寝てたい」
 だけれど、羽純はベッドの中から出ようとしなかった。
「もー駄目だよッ、間に合わなくなるてば〜。おーきーてーっ」
 目は覚めているのに、揺すっても、毛布を剥がそうとしても羽純は起きようとしなかった。
「初日の出観れなくなっちゃうよ」
「日の出なら、ここからでも観れる」
「確かに……」
 歌菜はカーテンを開ける。まだ日は出ていないけれど、向きからして日の出が見える位置ではある。
「最上階だから、窓から観れるとは思うけど……」
 毛布を掴みながら、歌菜が迷っていると。
「あっ」
 強い力で、歌菜は引っ張られて。
「あ、あったかい……」
 ベッドの中に連れ込まれてしまった。
 毛布の温かさだけではなくて。
 冷えていた身体を優しく包んでくれる羽純の体温もとても暖かくて。
 歌菜は身動きできなくなっていた。
(予定とは違うけれど……部屋で観るのもいいかな……)
 つい、そんな気持ちになってしまったけれど。
(駄目駄目っ)
 流されちゃダメだと、歌菜は思いとどまる。
「んもう、駄目です! 予定通りに行くのっ」
 そして、歌菜は羽純の腕を掴んで、ベッドから下りようとした。
「だから……ここで観るのが予定通りなんだ」
 羽純はそれを許さず歌菜を抱きしめながら言った。
「え?」
「ここで初日の出を見る為に、この部屋を選んだんだ」
「……!」
 羽純の言葉に、歌菜の心臓が跳ねた。
 軽く息をついて、観念したかのように羽純は言葉を続ける。
「お前と2人で初日の出を観たい」
「……羽純くん」
 そんなことを考えていたんだと、歌菜は驚きながら羽純を見つめる。
(……うぅ……そんな事言われたら……もう何も言えなくなるじゃない)
「さ、いしょからそう言ってくれたら、私だって……」
「分かってる」
 言って羽純は軽く目を逸らした。
 素直にそう言えば、歌菜が自分の願いを喜んで叶えてくれたであろうことが。
 だけれど、なんとなく照れくさくて言いだせなかったのだ。
「羽純くんのバカ」
「……バカで悪かったな」
「……嘘。大好き」
 歌菜がそう言うと、羽純は彼女の目を見て。
 温かな手を毛布の中から出して、歌菜の頬に触れる。
「あぁ、知ってる」
「うん……」
 歌菜は目を細めて微笑んだ。
「そろそろだな」
 言って、羽純は歌菜を抱き寄せると、起き上がった。
 ベッドに座った姿勢で、2人は毛布にくるまりながら窓に目を向ける。
 空に光が現れて。
 闇に包まれていた空と街に、色がついていく。
 少しづつ、輝きは増して。
 少しずつ、静かに街は朝を迎えていく。
(何て穏やかな一時なんだろう……)
 言葉を無くし、2人は魅入っていた――。

「羽純くん」
 日が昇り終えてから。
 歌菜は間近にある羽純の顔を見上げた。
「改めて……今年もよろしくね」
「今年もよろしく」
 微笑み合った後、羽純は横になる。
 一緒にくるまっている歌菜も。
「……もう少し寝るぞ」
「えへへ……そうだね。少し眠って……それから初詣に行こっ。私、初売りにも行きたいな♪」
 笑顔で言う歌菜に、羽純は頷いてみせる。

 人混みは苦手だが、今日は歌菜に付き合おう。
 初日の出を2人で観たいという願いを、彼女は叶えてくれたから。
 穏やかな時間と優しい光に続き。
 賑やかな時間と、彼女の眩しい笑顔を観賞するのも、悪くはない。