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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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7)

宮殿都市アディティラーヤにて。

アゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)は、
ヴァイス・アイトラー(う゛ぁいす・あいとらー)に、誘われ、やってきていた。
「お手紙のお誘い、ありがとう」
「どういたしまして」
ヴァイスは、笑顔でアゾートに言った。

(ニルヴァーナの遺産に触れて賢者の石の研究にインスピレーションを
……てかオレが単純に珍しいとこで一緒に色々見て回りたいだけだけど)
ヴァイスはそう思っているが、
アゾートも、今回、宮殿都市アディティラーヤに対しては、
知的好奇心を強く持っているらしい。

ひととおり、観光地を巡ると、
アゾートは、ヴァイスに礼を言った。
「ありがとう。ここにはまだ見たことがないものがたくさんある……。
ニルヴァーナの大地には、きっとまだまだたくさんのものがあるんだろうね」
「ああ、そうだな。
また、こうして遊べるといいな」
「ああ、もしよければ、これからもよろしく」
2人は連れだって、今日の思い出にと、お土産屋を見に行った。

アクセサリーの店の前に立ち止まった時、
ヴァイスが、アゾートにプレゼントを手渡す。
「これ、オレが作ったんだ。もしよかったら使ってくれないか」
ヴァイスが差し出したのは、花飾りのブローチだった。
アゾートは、瞳を見開いた。
「これをボクに? ありがとう」
花飾りのブローチをじっと見つめるアゾートは、ヴァイスに問いかけた。
「もしかして、キミが作ったのかい?」
「うん。けっこう手先は器用なんだ」
ヴァイスはうなずき、もうひとつの包みを差し出した。
「これは、スイスのお菓子。
スイスでは、バレンタインは男性から女性にプレゼントをするんだろ?」
「どうもありがとう。もしかして、これも手作りなのかな」
「うん、そうだよ」
「キミはすごいね」
アゾートは、感嘆の息をもらした。
「どちらも大切にするよ。どうもありがとう」
アゾートは、クールな表情に、暖かな笑みを浮かべたのだった。

アゾートの表情を見て、ヴァイスは、自分の胸の中に何かを感じる。
(スイスの習慣で、バレンタインのプレゼントをしたけど……)
それまで、無自覚だった自分の想いが、はっきりと、形になってきている……のかもしれなかった。