リアクション
■ 世界統一国家神の真実(黒歴史編) ■
そこは妄想のフロンティア。
「物申す! 超国家神!? それはオレのことだ!」
「チェンジ! 全力でチェンジで!」
元祖超国家神・シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)の異議申し立てに対し、グランツ教のメルキオールは慌てふためいて、アルティメットクイーンに対する二つ名を、超国家神から世界統一国家神に書き換えた――
「……デスが、こちらも物申しマス。
そもそも我々グランツ教は、ずっと以前から密かに暗躍していたのデス。アナタより、先なハズ!」
「うるせえ、そんな理屈は通らねえ。
先に周知された方が元祖! 出したモン勝ち!」
名乗る権利はこちらにある、と言うメルキオールの負け惜しみを、シリウスはぴしゃりと跳ね除けた。
「出したモン勝ち……。
つまり、言い張れば皆、超国家神、ということデスね」
「……うん? うん、まあそうさ」
「では私も、名乗れば超国家神デスか!」
「うわ何か言い出した!」
「いえ、超国家神では、アナタのパクリとなってしまうのデスね。勿論アルティメットクイーンはパクリではありまセンが!
わかりました、では私は、真・超国家神と名乗りまショウ!」
「てめえ何だそれ!
つーかアルティメットクイーンにあんなダセェ改名するならそっちじゃねえのか!
いや、オレは何処に何の突っ込み入れてんだっ!?」
「女神が転生するゲームからも明らかなように、後から出る方が真なる神なのは自明の理デス。
つまりアナタはファミコン、私はスーファミ、そしてアルティメットクイーンはプレステなのデス!」
「ふっざけんなこの野郎――!!!」
がば、と飛び起きて、周囲を見渡し、シリウスは、鳴り響く目覚ましを止めた。
「どうした? 何か、ものすごい叫び声が聞こえたけど」
サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)が、ノックをして部屋に入ってくる。
「うー……すげぇむかつく夢を見たぜ……」
「夢? 超国家神なら、夢の内容くらいコントロールすれば」
悶々と答えるシリウスに、サビクが笑う。
「……そうだな」
うん、と頷いて二度寝に入るシリウスに、
「明日にしなよ。もう陽が高い」
と、サビクは布団を引き剥がした。