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リアクション
【2】開運龍脈風水……6
シーンは再び空京大学病院。
ニコルソン先生とダリルの卓越した医療技術により、手術は思いのほか早く無事に終わった。
病室のベッドには、包帯でぐるぐる巻きにされた老師が横たわっている。
「……良かった」
ルカルカの言葉に、ダリルは頷いた。
「ああ、酷い怪我だったが命には別状はない」
「それもあるけど、ダリルも良かったなって思って……」
「?」
「だって、元々ダリルが医術を学んだのって違う目的だったでしょ?」
「ああ……」
そもそもは殺人技能を向上させる一環として、医学の知識を身につけたのが始まりだった。
「それが今じゃ、人を生かす術として使ってくれてるんだもん。素敵な事だなってルカは思うんだけど……」
「俺には……よくわからん」
そう言いながらも、ダリルの視線は穏やかだった。
「……あの、ニコルソン先生、どのぐらいで老師はよくなりますか?」
「まだなんとも言えないが、ミャオさんは老人とは思えない強靭な肉体をしておられる。回復も常人より早いだろう」
「そう、良かった……」
ルカルカはベッドの横に座って、老師を安堵の表情で見つめた。
「でも、老師だったら絶対に皆のところに駆けつけたいだろうに、何も出来ないなんて悔しいだろうな……」
「ルカ……」
ダリルは窓際まで歩き、雨のそぼふる空京の街並を見つめた。
「そんなことはないだろう」
「……え?」
「老師の……いや、万勇拳の魂は消えてはいない。黒楼館に向かった連中には万勇の魂が燃えているはずだ」
「……そうだね」
「その火が消えない限り、老師も安心して身体を休められるだろう」
見上げた曇天の空に一瞬、雲間から蒼空の空が見えた。
雨はじきに上がる。
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