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【裂空の弾丸――ホーティ盗賊団サイド――】綺麗な花には何がある?

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【裂空の弾丸――ホーティ盗賊団サイド――】綺麗な花には何がある?

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「バルクも止めないとだけど、まずはハデス一行からね」
「ああ。片手間で済むほどの相手ではないからな」
「というわけでルニちゃん! 加勢するよ!」
 大斧を振り回すルニと緊急回避しまくりのハデスのもとへ蓮見 朱里(はすみ・しゅり)アイン・ブラウ(あいん・ぶらう)が走る。
「ま、またしても増援!? くそ、白衣が棚引きすぎて注目を浴びたか!」
「関係ないわよ! それよりもさっさと退きなさい。こっちはバルクも止めないといけないんだから」
「これ以上場をかき回すのならば、容赦はしない」
「この斧っ娘は最初から容赦なしだがな!」
「どいて」
 ルニの大斧が空を裂く。地面を割る。ハデスに掠る。
 バルクもルニもいろんな意味で大暴れである。
「な、なんの、これ、しき……はあはあ」
「疲れてるところ悪いけど一気にいかせてもらうわよ」
 融合機晶石【フリージングブルー】を使用して『ホワイトアウト』を使う朱里。
 増幅されたスキルは辺り一体を白一色に染めてしまう。
「ぐ、やはりブルーも捨てがたかったか。やむを得ん、ヘスティア! ペルセポネ! 一時撤退だ!」
「わ、わかりました」
「次はこうはいかないんだからー!」
「フーハハハ! データは十分に取れた! このまま白一色の世界に消えさせてもらおう! さらばだ!」
 そういい残してハデス一行と空賊は白の世界へと消えて
「み、みえん! 前がみえんぞー……!」
 ……消えていった。

「はー、こりゃ大騒動だな」
 【DS級空飛ぶ円盤】に乗って遠視能力を活用してバルクを中心に広がり続ける戦火を見守るのは国頭 武尊(くにがみ・たける)
 彼もまた奪われた機晶石を取り戻す為この島にやってきていた。
「にしてもなんでここの住人っぽいのはあの巨漢を援護するんだ? 理由が見えてこん」
「そこの円盤のあなた、大人しく出てきてもらえるかしら?」
「おっと、噂をすればだな。ちょっとまってくれ」
 住人に目を付けられてにも関わらず至って冷静に、円盤を着陸させる。
「あなたもあちらの人と同じかしら」
「いや、そうじゃないが……大別すればそうなるかもな」
「なら、戦うしかないわね!」
 多分、美女ZZHくらいの住人が武尊に攻撃。が、そこに武尊の姿は既になく。
「悪いが手早く終わらせる。あんたら撤退しそうにないからな」
 『ポイントシフト』で瞬間的に超高速で動き相手の背後をとった武尊は【烈風のフラワシ】で住人の衣服を切り刻む。
「……これしき、どうということはないわ!」
「す、すごいな。だが二手目も考えてあるさ。そしてこれでチェックメイトだがな」
 眩い光が住人を襲い、視力を奪う。その隙に【アブソービンググラブ】で相手をダウンさせる。
「お、のれ……」
「……なんだってこんな執念が。だがこっちも機晶石を取り戻す為だ。まっそれはそれとして、戦利品を頂いてもいいよな?」
 そういってごそごそしだす武尊。だが、彼を衝撃の事実が襲う。
「……はいてない、だと? これが、文化の違い、なのか?」
 そう言ってちょっとしたカルチャーショックを味わう武尊だった。

 衝撃の事実その2。はいてなかったのはさっきの住人だけである、以上。
 他の住人はちゃんとはいているので、空を飛んでも平気なのだ。
「まったく、バルクはモテモテやな! 僕もあやかりたいもんや」
「もてもてのぼこぼこだが、いいのか?」
「……ぼこぼこは勘弁願いたいわ」
「ははっ。ほれほれ、次がくるぞ」
 住人たちの苛烈な攻撃をかわしつつバルクへの牽制もしていた大久保 泰輔(おおくぼ・たいすけ)讃岐院 顕仁(さぬきいん・あきひと)
 その二人を見た住人たちが一斉に襲い掛かる。
「あらら、ようやく一対多数の力の差を理解したか。でも、」
「少しばかり遅いようだな」
 顕仁の姿が消える。それを見て動揺する住人たち。
「ちょっと消えただけで、情けないで!」
 その隙を見逃さす泰輔ではない。すかさず間合いを詰め、敵を無力化していく。
 そこまでされたようやく気を戻した住人たちだったが、今度は後方からの攻撃に撃沈。
「悪魔に後ろを取られるのは危ないですねぇ?」
 泰輔の【召喚】を利用して一瞬にして敵の背後に回りこんだ顕仁が【光術】と【闇術】を交互に繰り出し目くらまし。
「ついでにバルクにも食らわしたり!」
「御意に」
 バルクの眼前へと動いた顕仁が光で目潰し。が、バルクは止まらない。
「ふむ。もはや見えていようと見えていまいと関係なしに動く、か」
「タフやなー。少し分けてほしいくらいやわ」
「まったく、余裕ですね。他の方も来られていると言うのに」
「全力でいってもまだ倒れないとは、まるでバーサーカーですね」
 フランツ・シューベルト(ふらんつ・しゅーべると)レイチェル・ロートランド(れいちぇる・ろーとらんと)が二人の元へ駆けつける。
「バルクへ当たろうとも、この数の多さでは逆効果。丁度、奴さん以外も食いついてきたようだし」
「そうですわね」
「ここは、二組に分かれて」
「住人たちとダンスでも踊ろか!」
 再び二組に分かれて住人たちの迎撃に入る四人。
「奴さんはこけてもこけても立ち上がって来たけど、君達はどうかな?」
 地上から襲い来る者には『風術』を、空中から穿とうとする者には『サイコキネシス』を隔てなくプレゼントするフランツ。
「ご本人の意に染まぬ戦いを強いるのは、いろいろとマナー違反だと思いますわよ?」
 フランツの攻撃が間に合いそうにない敵を索敵し、的確に戦闘不能にしていくレイチェル。
「さて、魔法にも飽きたろう? 次は鉛玉と硝煙のハーモニーをご堪能あれ」
 二丁拳銃【シュバルツ】【ヴァイス】を取り出し、『弾幕援護』で弾をばらまいていく。
 相手に当てつつ、レイチェルの動きをカバーする。
「お見事ですわ」
 レイチェルはフランツの弾幕援護に合わせて、敵を斬り伏せていく。
 二人の動きに迷いや淀みはなく、まるで完成された芸術作品のようだった。
「おーさすがやな、こっちも負けてられないで!」
「とはいっても大方終わっているのだがな」
「な、なんやとー! ……まあええわ。聞きたいこともあるし」
 泰輔の方も自分の周りにいる敵を一掃し終えていた。
 そのうちの、傷を負った住人の一人に迫り質問をする。
「おまはんら、目的はなんや?」
「もく、てき?」
「そっ。何も考えなしに襲ってきたりせえへんやろ? それにあんさんらの機晶石。僕の知ってるのと違うんや。いろいろ聞きたいねん」
「わ、私は何も知らない」
「ふーん。まあええんやけど。教えてくれたら回復魔法であんたの傷を治してやろうと思ったけど、こんなに血だらけじゃ助からんかもなぁ?」
「ほ、本当に知らない! この機晶石はネフュラ様に渡されたもので、原理なんかしらない! お前たちを襲ったのも命令されたからよ!」
「……なるほどなぁ。ネフュラ、ねぇ。まっ情報おおきに、おやすみなさ〜い」
 当身を食らわせて意識を飛ばし、その隙に回復してやる泰輔。
「今回の黒幕はネフュラという者か」
「そうみたいやね。バルクを大人しくさせたら、ネフュラはんにも話聞かんとな」
「まったく、恐ろしい笑顔だ」
「何言うてんねん。すっきりさわやか、邪気のない笑顔やろ?」
「そういうことにしておこう」
 ネフュラというものが裏にいることを聞いた泰輔。
 バルクを倒した後でネフュラを探そうと思うのだった。