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【裂空の弾丸】Knights of the Sky

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【裂空の弾丸】Knights of the Sky

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第2章 ホーティ義賊団のファーストミッション 5

「……うん、この子からハッキングできそうね。でも一人じゃ結構時間がかかりそうだわ」
「んなら、俺様も手伝ってやんよ」
 ニキータの言葉に返事をしたのは三船 甲斐(みふね・かい)。現在はエメラダ・アンバーアイ(えめらだ・あんばーあい)とユニオンリングで一つとなっている。
「神風シンクタンクの名を欲しいままにした俺様にわからぬことなぞ、そんなにないんじゃぜい?」
「あら、心強いわね。それじゃそっちは任せてもいいかしら?」
「お安い御用だ。ってわけでゴリ+諸君。ハッキング中は無防備になるお約束があるから、守ってくれたまへ」
「いや、まだ敵がでると決まったわけじゃ……」
 猿渡 剛利(さわたり・たけとし)がその言葉を発した途端に白騎士たちが沸いて出てくる。
「いやなんでだよ!」
「空気を呼んだんだよ。ぐだぐだ言ってないでさっさとお相手仕ってやれよー」
「その通りじゃぞ。こんなことは速やかに終えなくてはならんのじゃ」
 剛利の隣には佐倉 薫(さくら・かおる)が既に戦闘準備を終えていた。
「白虎、青龍の餌食になりたい者からかかってくるとよいぞ」
 その言葉に反応してからせずか、白騎士たちが一斉に攻撃を開始する。
 狙いは当然、制御コンピュータをハッキングしているニキータと甲斐だ。
 しかし、二人はハッキングをやめない。それは、自分のパートナーを、他の皆を信じているからである。
「そこまで信頼されちゃ、やらないわけにいかねぇな!」
 【ヘビーマシンガンピストル】からの『弾幕援護』で弾をばら撒き、相手の足を止める。
 その弾雨を掻い潜りながら、相手の懐へと接近する薫。
「ほれほれどした? そんなことでは、生き残れんぞ?」
 白騎士たちの攻撃をスウェーでかわし、【フリージングブルー】で強化された白虎と青龍が猛るがごとく、白騎士を刈り取る。
「さすがゴリ! 第3の性別なだけはあるな!」
「うむ、第3の性別さまさまじゃな」
「誰が第3の性別かあーーーーー! っていうか関係ねぇーーーーー!」
 味方からのマインド攻撃が剛利の連射に拍車をかける。
「何度も何度も何度も! 俺は男だっていってるだろうがあああ!」
 呼応するが如く、マシンピストルが空薬莢の山を作り上げていく。室内であれば、その段違いの連射により制圧力は文句なし。リコイルも気にせずただひたすら撃ち続ける。
 剛利の足止めにより他の皆も難なく白騎士を相手取り、迎撃。あとはハッキング完了を待つばかり。
「おい! まだかよ! 弾は無限じゃねぇんだ!」
「ガヤるなって……よし、こっちはOKだ。そっちは?」
「こっちも、これで、OKよ!」

―――0000、1011、01……アクセス確認――――解除コード、オープン。

「よしきた! やることやったんだ! さっさと逃げるぞ!」
 甲斐の言葉に全員が頷く。それとほぼ同時に、バルクやホーティたちも合流。
「げっ、ここも白騎士だらけかよ!」
「ルニとあんたら! 解除コードは!」
「ある」
「でかした! それじゃさっさと無転砲の場所へ行くよ!」
 白騎士たちの猛攻をいなしながら、ホーティたちと契約者たちは無転砲のある地下へと走る。

 一行は無転砲を目指し走っていた。その道中に待ち構える白騎士たちは、エオリアを筆頭に遠距離から攻撃する部隊が牽制し、
 その牽制網を掻い潜ってきた相手は近接系の武器・スキルでもって薙ぎ払っていた。
「くそっ、いつまで走らせる気なんだい!?」
「……あっ! 姐さん、あれ! あのおっきいのがそうじゃないですかい!?」
 白騎士が溢れる通路の先は空間が広がっており、その真ん中には全てを破壊したと言われる最悪の兵器、『無転砲』が鎮座していた。
「よーし、これでアダムも年貢の納め時だ!」
 狭い通路を抜けて、広い場所へたどり着いた皆。
「通路は任せろ!」
 通路から追ってくる白騎士の群れの前にアインが立ちはだかる。
「ルニ、これを」
「……リボン?」
「ともだちのしるし」
 そのリボンには、また遊ぼうと。これからも仲良くしようという気持ちが込められていた。
「あら、友達ができたのね。そのリボン、あとでホーティに結んでもらっちゃいな」
 朱里がそう言うと、ルニとタマーラが少しだけ照れたように顔を伏せる。これは珍しい。
「……ルニは、ホーティといっしょに。バルク、こっち」
「お、おう!」
 そう言ってタマーラはバルクとともに通路から来る敵の足止めへ。
「それじゃ解除コードを叩きつけてあげようかしら」
「よっしゃ! やったるぜー」
 ニキータと甲斐が無転砲へと近づき、操作盤を展開させる。
 そして手に入れた解除コードを入力し、送信。

―――無転砲ノ解除ヲ確認。チャージ中止、稼動ヲ停止シマス。

 それまで轟音を立てていた無転砲が静かに、静かになっていく。それは、稼動停止を意味していた。
「よしっ! これで無転砲は使えなくなったわけだね?」
「だねぇ。あとは、主役同士での果し合いだけ。どうなることかは、主役次第ってなぁ」
 ホーティがガッツポーズを取る横で、唯斗がそんな言葉を呟く。
 しかし、それだけでは納得いかない魔法少女が一人。
「ううん、解除だけじゃだめ。こんな危ないものは、残してちゃいけないんだよ!」
「そう、ですね」
 美羽の言葉に、賛同するベアトリーチェ。確かに、世界を滅ぼす兵器を残しておくのは危険だ。
「だから、無転砲はぶっ壊さないと! ほら、バルク! 剛力バルク!」
「だーかーらー! 俺は怪力だって何回……あれ?」
「その力で無転砲をぶっ叩くの! ほら、ルニちゃんもみんなも!」
 美羽の言葉に若干の戸惑いはあったも。しかし、程なくして全ての契約者たちが己の武器を構え、無転砲破壊を了承した。

「通路の敵はあらかた片付けた!」
「今しかないわ!」
 アインと朱里が、
「私の風で、無力化します」
「風のボクだって、こんなもの嫌いさー!」
 佐那と裁が、
「いらぬものは壊すに限りますわ」
「今回ばかりは私も全力で」
 エレナとベアトリーチェが、
「私も、少しでも力に……」
「うん。みんなでやっちゃおう」
 レジーヌとエースが、
「無転砲など、不要だからな」
「世界を守る騎士として破壊するわ」
「エースの意は僕の意ですから」
 メシエとリリアとエオリアが、
「冷 蔵子! ここに復活!」
「……まあいいか」
 蔵子とセリスが、
「僕たちのほとばしる協力し愛! ああすばらしい!」
「フフフ……この功績により、我が名は天まで……フフフ……」
 マイキーとマネキングが、
「まあ、脇役でもちょいとはいいとこみせんとね」
「思いっきりぶっ壊せばいいんだろ」
 唯斗とエヴァルトが、
「天使ちゃんパワーで強さ百倍!」
「……やり場のない思いごと、ぶつける」
 ニキータとタマーラが、
「いくぜ第3のゴリ!」
「準備はいいか? 第3のゴリ」
「第3のゴリってなんだよ! 準備はいいけど!」
 甲斐と薫と剛利が、
「バルク、ルニ! 思いっきりだ! 後先考えず、思いっきりやりな!」
「た、たまにはいいとこみせてやるぜ!」
「ガーノと、みんなと一緒に……!」
「無転砲なんか、いらないんだからっ!」
 ホーティとバルクとルニと美羽が、己の思いを武器に託し、
「準備いいですぜぇ!」
「全力全開……!」
「ああ、もう終わりさね! こんな役に立たないもん、私たち全員の力で!」




「「「ぶっ壊す!!!」」」




 全員の叫びと思いと攻撃が一つになり、無転砲へと降り注ぐ。
 圧倒的な威力の前に、世界を揺るがせた無転砲も耐えられず、続々と各部位が破損していく。
「これはおまけだよ! とっておきなさーい!」
「俺たちの船なのにー! ちくしょー!」
 バルクと美羽ががオンボロ小型飛空艇を担ぎ上げ、無転砲へと放り投げる。
 投げられた飛空挺が無転砲と衝突したのを見た美羽が最後の一手を講じる。
「これで……終わり!」
 【対イコン用爆弾弓】を飛空挺目掛けて射出し、見事に的中し、飛空挺は爆発する。

ズドドドオオオーン! ゴゴゴゴゴッ!! ゴゴゴッ、ゴゴゴ、ゴゴ――――――。

 その爆発に巻き込まれ、遂に無転砲はその姿をこの世から消した。
「ああ、俺たちの船が……」
「というかルニ、その斧どうしたんだい?」
「……友達に、もらった。他にも、タマーラから、リボンとか……」
 しかし、無転砲があろうがなかろうが、ホーティたちはホーティたちのペースを貫くのだった。

 ホーティ義賊団vs無転砲 力を合わせた一撃で、無転砲破壊!
 残るはクドゥルとアダムのみ―――――。