リアクション
【 闘那面徒(トーナメント) 】 威■■■□□□□□□□□□□□□□□□ □□□■■■■□□□□□□□□□□□□ 露■■■□□■□□□□□□□□□□□□ □□□□□□■■■■□□□□□□□□□ 覇■■■□□■□□■□□□□□□□□□ □□□■■■■□□■□□□□□□□□□ 煮■■■□□□□□■□□□□□□□□□ □□□□□□□□□■■■■□□□□□□ 帆■■■□□□□□■□□■□□□□□□ □□□■■■■□□■□□■□□□□□□ 屁■■■□□■□□■□□■□□□□□□ □□□□□□■■■■□□■□□□□□□ 屠■■■□□■□□□□□■□□□□□□ □□□■■■■□□□□□■□□□□□□ 血■■■□□□□□□□□■□□□□□□ □□□□□□□□□□□□■■■■■■ 離■■■□□□□□□□□■□□□□□□ □□□■■■■□□□□□■□□□□□□ 濡■■■□□■□□□□□■□□□□□□ □□□□□□■■■■□□■□□□□□□ 瑠■■■□□■□□■□□■□□□□□□ □□□■■■■□□■□□■□□□□□□ 於■■■□□□□□■□□■□□□□□□ □□□□□□□□□■■■■□□□□□□ 輪■■■□□□□□■□□□□□□□□□ □□□■■■■□□■□□□□□□□□□ 化■■■□□■□□■□□□□□□□□□ □□□□□□■■■■□□□□□□□□□ 余■■■□□■□□□□□□□□□□□□ □□□■■■■□□□□□□□□□□□□ 汰■■■□□□□□□□□□□□□□□□ 「では、これから皆さんには、トーナメントのクジ引きをしてもらいましょう」 桂輔は、淡々と続ける。対戦相手を決める公正なクジ引きも審判としての重要な役割だ。 「クジはこちらで用意されている。1〜16の番号ではなく、パラ実らしく『 威、露、覇、煮、穂、屁、屠、血、離、濡、瑠、於、輪、化、余、汰 』の文字が書かれたカードが箱の中に入っている。これから参加イコン及びパワードスーツ隊の代表が一人ずつ出てきてクジを引いてもらい、その文字に該当する場所に配置されることになる」 16人制トーナメントの12組までがクジ引きで決まる。誰も入らなかった箇所は、極西分校のモブNPCが参加するようだった。 「最初は朝霧さんから、どうぞ」 「どこでもいいんだけどな」 垂は細かいところに突っ込むつもりはないようだった。さっそく進み出て一番手でクジを引く。 緊張感が漂う中、垂はアルマが抱え持っている箱の中から一枚のカードを取り出した。書かれた文字は、汰。 「汰、か。トーナメントの一番下に来たな。一回戦の最後の試合とは」 ふふふ、と垂は不敵な表情で残りの参加者たちを見回した。参加するからには、狙うはもちろん優勝だ。相手が誰で引けを取るつもりはない。 「出場者名簿順だと、次は私たちがクジを引く番ね」 美羽は頷いたが、クジを引かなかった。傍にいるパートナーのコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)に目配せする。 「コハク、お願いね。今日のあなたはここが見せ場よ」 「え、でも僕は」 今回は応援のみで美羽についてきていたコハクは、いきなり振られて戸惑った表情になった。出場するわけでもないのにクジを引いていいものか。 「まあ、パートナーならいいんじゃないかな?」 桂輔は答える。特に問題も無さそうだし、クジ引きくらいはサクサク進めたいところだ。 「責任重大だ」 押し出されるように進み出たコハクは、ゴクリと喉を鳴らした。箱に手を入れ、思い切ってカードを引いてくる。 書かれた文字は、屠 だった。 「一回戦第四試合みたいね。お疲れ様、コハク」 トーナメント表を眺めていた美羽は、戻ってきたコハクを笑顔で迎える。彼女にとって、トーナメントのどこに配置されてもよかったのだ。どうせ決勝まで勝ち抜くつもりなのだから。あとは、対戦者を待つだけだ。 「トーナメントとはな。まあどこでもいいから、とりあえず適当に」 次は、サビクがクジを引く番だった。彼女は無造作にカードを取り出す。 「“ 離 ” だな。一回戦第五試合ってところか」 ここでは余計なパフォーマンスはいらない。トーナメント表を確認したサビクは静かに推移を見守る。 続いては、葦原明倫館のハーレム王、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)の番だった。 「誤解を招くような紹介はやめてくださいね」 唯斗は誰にともなく言って、トーナメントのクジを引く。 「乾燥椎茸が、この私に“ 輪 ”の位置へとつくよう誘ってくれていますね」 “ 輪 ”のカードを引き当てた唯斗の名はトーナメントの下方ブロックに記入された。一回戦第七試合では、誰と対戦することになるのだろう。 「……」 そんな唯斗にガンをつけながらセリスがクジを引く。乾燥椎茸を狙っているのは、ハーレム忍者だけではなかった。美味しいあわび料理の食材として米ともども頂いていくのは自分たちだといわんばかりだ。 「我々にたてつく者どもは、仏罰が下るであろう」 セリスのパートナーのマネキ・ング(まねき・んぐ)は、参加者たちを威嚇するように笑みを浮かべる。神々しい姿のイコンの前に皆が拝み伏すだろう。 果たして、セリスの引いたカードは“ 離 ”だった。 「……」 特に感想はないらしい。 「そろそろ対戦相手が決まってもよさそうだな」 のんびりとした口調で言いながらアキラもクジを引いた。 これまでの生活から台所事情が苦しく商品の欲しいアキラだったが、切羽詰った様子はない。何しろ持ち込んできたイコンが“アレ”な奴なのだ。そう簡単に敗れることはあるまい。 「絶対無敵要塞『かぐや』は出来れば使いたくないのじゃが」 パートナーのルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)は、乗り気では無さそうだ。元々の借金の元凶がこのタケノコ要塞の修理費をパラ実の人たちにぼったくられたせいだったりするのだ。これ以上壊されたりしたら、枕を涙で濡らす夜が続くことになる。 そんな彼女の懸念をよそに、カードを引いたアキラは口元に小さな笑みを浮かべたままゆっくりと振り返った。 「俺と対戦する相手はアキラメロン。アキラだけに」 彼の視線は、抽選会を眺めていた垂の視線と激しくぶつかり合う。 引いたカードは“ 余 ”だ。 トーナメントの一番最後、一回戦第八試合で垂のイコン、黒麒麟とアキラのイコン、絶対無敵要塞『かぐや』が対決することが決まった。 一回戦から好カードの対戦に、ギャラリーたちが、おおっっ! と沸いた。 「運命的と言おうか、恣意的と言おうか」 垂はフッと笑うと、身を翻した。対戦相手がわかった以上、抽選会場に長居する必要もない。戦いに備えてイコンの最終調整を行っておこう。 「何か盛り上りかけてるところ悪いんだけど、主役はイコンだけじゃないんだぜ」 さらには、パワードスーツ隊のフィアーカー・バルで参戦のトマスがクジを引いた。お気に入りのパワードスーツ隊の活躍を見せ付けることが出来るなら、相手は誰でもいい。 引いたカードは“ 煮 ”。一回戦第二試合の位置だ。 「天御柱学院生として、簡単に負けるわけには行かないんだが」 真司がクジを引くと、カードは“ 於 ”。一回戦第六試合に組み込まれた。 お次は、裁がクジを引く番だ。 彼女も、イコンではなくパワードスーツ隊で大会に臨む。人気の薄い(?)パワードスーツ隊の需要を高めるために活躍が期待されるところだ。 「……仏罰キターーー! 観光名物がなんぼのもんよ!? 叩き壊してやるわ」 “ 濡 ”のカードを引いた裁が、セリスとマネキにビシリと指を突きつける。それに答えるように、ふふ……と笑い続けるマネキ。 一回戦第五試合では、カイザー・ガン・ブツとソレンジャイが激突する。 「ヒャッハー! パラ実のイベントなのにパラ実以外が多すぎるぜ! おっぱいは誰にも渡さん。全て俺様のものだぁ!」 ようやく、パラ実の期待の星である【モヒカンキング】ゲブーの登場だった。操るイコンはキング・王・ゲブー喪悲漢。パラ実カスタム機の実力でおっぱいを揉むために、やってきたのだ。おっぱいおっぱい! 念じながらクジを引くゲブー。 「……ちっ、なんてこったい。ちっぱいだったぜ」 カードを見てゲブーは、不満げに言った。対戦相手は胸の控えめな女の子だったのだ。 書かれていたのは“ 血 ”の文字。 一回戦第四試合で、美羽のグラディウスと対戦することになった。 「で、誰がちっぱいだって?」 ドコドコドコドコ! とゲブーに蹴りを食らわせまくる美羽。コハクに止められなければ、対戦相手出場不能で不戦勝になっていたところだ。 「ぐふっ……、今のところはこの辺で勘弁しておいてやるぜ! 試合では覚えていやがれ!」 ゲブーは担架に乗せられて救護室へと運ばれていった。試合に出る頃には戻ってくるだろう。 「そろそろクジ引きシーンにも飽きてきたから、早く試合を始めたいんだが。ってか、さっさと米よこせ」 ダレ気味になりつつある雰囲気を察しながら、昌毅はクジを引く。 カードの文字は“ 威 ”だった。第一試合で最初に戦うことになる。とはいえ、対戦相手はまだ決まっていないのだが……。 「やっべ。キツいとこ引いてきた」 生駒はクジを引いて硬直した笑いを浮かべた。 手にしているのは“ 屁 ”のカード。 一回戦第三試合では、シリウスのシュヴェルト13と対戦することになる。 「ちょっと待ってよ。これじゃまるで、ワタシが屁のような存在みたいじゃ」 残念ながら生駒の落胆の声は誰も聞いていなかった。 参加者たちは闘志に漲り始めていた。 モブ参加者も含めて、全員がクジを引き終わったところで、桂輔が状況を整理する。 「皆さん、お疲れ様でした。クジ引きによりトーナメントの対戦相手が決まったので、もう一度確認しておこう」 ◇ 一回戦第一試合 ゲシュペンスト VS 壌璽倭神遁(ジョージ・ワシントン):極西分校所属・モブNPCイコン ◇ 一回戦第二試合 “押忍! 九州番長”:極西分校所属・モブNPCイコン VS フィアーカー・バル ◇ 一回戦第三試合 シュヴェルト13 VS ジェファルコン特務仕様 ◇ 一回戦第四試合 グラディウス VS キング・王・ゲブー喪悲漢 ◇ 一回戦第五試合 カイザー・ガン・ブツ VS ソレンジャイ ◇ 一回戦第六試合 怒羅権魔奇死無須(ドラゴン・マキシムス):極西分校所属・モブNPCイコン VS ゴスホーク ◇ 一回戦第七試合 魂剛 VS 魔法少女・ルルカ:極西分校所属・モブNPCイコン ◇ 一回戦第八試合 絶対無敵要塞『かぐや』 VS 黒麒麟 「一回戦で分校生の分校のモブイコンと当たった組は得だな」 対戦表を眺めながら、唯斗はポツリと呟いた。……っていうか、それ以前に対戦相手が魔法少女って何だよ? 「ここで当たったのも何かの縁。いい戦いをしような」 対戦相手を確認したシリウスが、生駒に言う。 「こちらこそ、お手柔らかに。いやもう本当に遠慮せず目一杯お手柔らかでお願いしたいところだよ」 生駒は真顔で答えた。まともに戦っていては決勝まで残れそうな気がしない。パートナーのジョージ・ピテクス(じょーじ・ぴてくす)と意味ありげに顔を見合わせた。 「あの仏さん、一回戦で本当に仏さんにしてしまうのはもったいないんじゃないかなぁ」 裁はカイザー・ガン・ブツに視線をやりながら言う。 「皆さん。文句は言いっこなしですよ。クジ引きは公正に行われました」 アルマは、運も実力のうちです、と付け加えた。 一回戦で強敵の他校生同士が当たる対戦は、実力が伯仲していてどちらか勝つかわからない状況だ。激戦になるだろう。だからこそ面白いし、よじんば一回戦で敗れたところで評判は落ちるまい。 「よし、じゃあ対戦相手も決まったことだし、試合を始めるとするか!」 ようやく解説をすることが出来る。桂輔は気合を入れなおした。 「客の入りは上々だ! 盛り上げていこうぜぇ!」 おおおおっっ! と皆が歓声を上げた。 勝っても負けても遺恨は無用! 伊達と酔狂で行われるゲームなのだ。趣味で戦うからこそ全力で。 と……。 「なるほど。これは見ごたえがありそうだ。我々も楽しませてもらうから、よろしく頼むぞ」 「……?」 背後からの声に桂輔は振り返った。 顔に真っ白なお面をつけ学ランを着たモヒカンたちが数人、トーナメント表を確認してこちらにやってくる。 「極西分校『決闘委員会』の者だ。なに、気にすることは無い。試合の運びから判定まで全てキミに任せたのだからな。我々は、大会の結果を最後まで見届けるのみだ」 「この大会は、決闘じゃないって聞いているけど」 桂輔はの問いに、お面のモヒカンの一人が頷く。 「もちろんだ。だが、優勝者には金ワッペンが贈られる。それを用意するのは我々の仕事だ。見届けておかねばな」 それだけ言うと、彼らはどこかへ去って行った。 「……」 なんとも怪しい連中まで現れたものだが、桂輔は気にしないことにした。 かくして、収穫祭のメインイベント、イコン格闘大会は幕を開けるのだ! |
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