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華麗なる体育祭

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華麗なる体育祭

リアクション


プロローグ

 夏休みの最後には、薔薇の学舎へパラミタ全土の学校が集まり、サマーパーティーが開催されました。
 これから涼しくなる季節には体育祭が企画され、そしてもうじきやってくる薔薇の季節には何があるだろうかと、期待に胸を高鳴らせている者もいました。
 ところが、そんな生徒の様子を見て、顔をしかめるのは薔薇の学舎で校長を務めるジェイダス・観世院(じぇいだす・かんぜいん)
 本来ならば、学校生活を楽しんでいる生徒の姿は喜ばしいことなのに、手元の書類が彼に大きな溜息を吐かせます。
「全く、怠惰など美しくもない。なんと嘆かわしいことだ」
 浮かれた顔、知性を感じない会話、そして下がった平均点――
 イエニチェリを目指す生徒の多い薔薇の学舎にあるまじき結果に、呆れて物も言えません。
 特にその要因となった新入生は、夏休み明けの実力考査で満足のゆく結果が出せなかったにも関わらず、次の催しを楽しみにし、学生の本分である勉学に励む者は多くありませんでした。
「何か、手だてはないものか……」
 表面的な美などただの飾り。全てを磨いてこそ美しいというのに。
 ジェイダスは上級生の成績状況を確認しながら、新入生の成績不振を回復に導く手だてを考えますが、良い案は浮かびません。
 この後に控える体育祭までに、なんとか勉学に打ち込ませるには――?
「そんなに催事が好きなら、それに組み込んでやればいいだろう」
 さも面倒くさそうにパートナーの吸血鬼ラドゥ・イシュトヴァーン(らどぅ・いしゅとう゛ぁーん)が言うと、ジェイダスが意地悪く微笑みました。
「なる程。体育祭とは言え、肉体美ばかりを披露する必要はないと言うことか」
「……貴様がそうしたいのなら」
 今までは、イエニチェリを中心として生徒たちに仕切らせていた催事。
 しかし今回は職員で体育祭を取り仕切ることになりました。
 我が薔薇の学舎の生徒たちが切磋琢磨するように他校にも呼びかけ、静かに進められる準備。
 面倒なHRやグラウンド整備の時間がなくて浮かれる生徒もいれば、何かを察知して簡単な復習をする生徒もいる中、とうとう開催日がやってきてしまいました。
 競技以外、何1つ知らされることなかった体育祭。一体彼らは、何を体育祭に組み込んだのか。そして、成績不振の対策は?
 少し早めの体育祭には、理由があったのです。