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リアクション
「くけーーーっ!」
逃げ出していたカナタはまだ捕まらずにいた。
「カナター! どこ行くんだーー!」
その後ろを追うケイ。
カナタは桃を収穫し終わったホイップへと襲いかかろうとしていた。
「カナタさんどうしたのーー!?」
殺気を感じ、ホイップも逃げる。
「へぶしっ!」
ホイップを守るようにエルが立ちはだかろうとするが、異様な光景に圧倒されカナタに簡単にタックルされてしまった。
牙竜も同じく。
「凶悪な人発見ですよー!」
どこからともなく桐生 ひな(きりゅう・ひな)が登場した。
背中にはもう動かなくなった桃の木を背負い、バーストダッシュでカナタへと突っ込んだ。
「あの辺の桃なんか良いんじゃない〜?」
その先の桃の木では逃げ切ったオリヴィアと円が桃を物色していた。
「ちっ……あの桃は美味しくないに違いない」
桃の木に気付かれないようにそっと近寄り、オリヴィアに指示された桃を採ろうとジャンプするが届かない。
カナタもひなも2人に気付かず、バーストダッシュの勢いのまま、桃の木に円とオリヴィアと一緒にめり込んだ。
「きゅ〜……ぺったん出来たなら本望ですー」
目を回しながらも言う事は言うひなだった。
桃の木もそのまま倒されている。
その桃の木に群がる魔物が更に増えたが、メイド牙竜とエル、そしてあとから追いついた武によって掃討された。
「まったく、どうしてこんなことを」
「……桃が食べたかったのだ」
「いや、食べたいからってこれは……」
ケイはカナタを安全な所までつれて行き、正座をさせていた。
その後、みっちりと叱られているところを何人かに目撃されている。
「……はっ! な、なんですか、この状況はーー!?」
忘れられていたひなは起きたら魔物に囲まれていたのだった。
その叫び声によって起きた円とオリヴィアはひなを放置し逃げた。
「まったく、ホイップちゃんも水くさいよねぇ。言ってくれれば栽培から手伝ったのに〜」
少しむくれながらカレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)がジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)と八坂 トメ(やさか・とめ)に話しかけた。
「だが、栽培方法は秘密だったのだろう?」
「むぅ〜、そうだけど〜」
ジュレールの言葉に面白くなさそうにした。
「とにかく、なんか面白そうだよね! みんな生き生きしてるし」
トメは逃げ惑ったり、攻撃を仕掛けている人達を見て笑っている。
「……この木、このまま切らないで1本捕まえられないかな。捕まえてタノベさんに売れば新しい手作りダンジョンの目玉になりそう!」
カレンの意識はもう桃の木捕獲に向かったらしい。
さっきの落ち込みはどこ吹く風だ。
「手伝う」
「あたしも、あたしも〜!」
トメは最初にディフェンスシフトを3人に掛け、準備を整える。
準備が出来ると氷術を根っこへ向けて放ち、動きを止める。
それを見て、ジュレールが攻撃してくる枝を切り落として行く。
トメはロープで幹と枝をぐるぐるに巻いていくが、まだ切り落されていない枝にはたかれまくっていた。
「なんであたしばっかりー! おねえちゃん達ずるい〜!」
なんとか無事(?)に桃の木を捕獲完了。
カレンは直ぐにタノベさんの元へと向かう。
タノベさんはサンダー明彦に潰され、腰をさすっていたがカレンの申し出を聞くをすっくと立ち上がり、携帯で何かを指示していた。
「有難うございます! さっそくトラックを呼びましたので」
「やった! これホイップちゃんの報酬に加えておいてね」
「勿論です」
収穫された桃は桃の木から離れた場所へと集められていた。
各々が匂い対策をしてはいるのだが、やはり匂いが漏れているらしく少なからず魔物が寄って来る。
それは武達が対処している。
「おーほっほっほ! これであの男を消せますわ〜」
嬉しそうに収穫されたばかりの桃を摩り下ろしているのはロザリィヌ・フォン・メルローゼ(ろざりぃぬ・ふぉんめるろーぜ)だ。
桃は隆光からもらったものだ。
「温州桃でございます」
「え、ええ。有難うございますですわ」
と、いうわけのわからない言葉付きで。
違うとは言わせない殺気付きだったので何も言わずに受け取ることとなった。
ジュースが出来あがると、早速ホイップの側にいるエルへと近付く。
「あ〜っと、手が滑ったですわぁ〜」
わざとらしくこけると、中に入っていた魔物ほいほいジュースをエルへとぶっかけた。
「甘い匂い……って、これもしかして……ぎゃーーーっ!!」
桃の香りを察知した魔物に目を付けられた。
ホイップや周りの人達が巻き込まれると戦闘地域へと走って行った。
「この隙にわたくしはホイップ様の桃を収穫ですわ〜」
「へっ!? へっ!!?」
エルを心配そうに見ていたホイップは後ろからいきなり抱きつかれ、胸とお尻をむにむにっと、やられてしまった。
「ひゃっ!」
「収穫ですわ〜」
「ご主人に何をしているーー!」
牙竜はロザリィヌの頭上で桃を潰し、その汁を大量に染み込ませた。
「何なさるんですの!? って、きゃーーっ!」
汁は紙で出来たドレスを透けさせたのだ。
こうしてロザリィヌもエルと同じように、戦闘地域へと走り去っていったのだった。
「やり過ぎだったんじゃない?」
「そんなことはない!!」
ホイップの言葉にメイド漢は即座に否定した。
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