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トリック・オア・コントラクト!

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トリック・オア・コントラクト!
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■□■5■□■ アーデルハイトとエリザベート

アーデルハイトの近くでは。

影野 陽太(かげの・ようた)は、
パーティーの楽しい雰囲気に水を差さないよう離れた場所で、
アーデルハイトに御神楽 環菜(みかぐら・かんな)の復活についての助言と復活の極意の伝授をお願いしていた。
「アーデルハイト様は復活の達人ですよね。
俺にできる事なら何でもします、
できない事でもできるようになってみせます。だからお願いします」
陽太は、アーデルハイトに土下座する。
「こ、こら、頭を上げるのじゃ。
私もそれができたらなんとかしてやりたいのじゃが……。
エリザベートも落ち込んでおるしのう」
アーデルハイトは困ったように言う。
「お前も望みは捨てずに頑張るのじゃろう?
今日はハロウィン。楽しんでくるのじゃ!」
アーデルハイトは、陽太にシャンバラ山羊のミルクアイスを出して、
肩をたたいてはげます。
「ありがとうございます。
……そうですよね。まだ、可能性があるんですから、全力でやるだけですよね。
環菜の分までお菓子をもらってきます!」
陽太は、会場に向かって走って行った。

★☆★

魔法使いの黒マント姿のザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)は、
アーデルハイトが一人になったところで、
後ろから近づきパンプキンヘッドを被せて挨拶する。
「トリック・オア・トリート!」
「うおっ!? もう、イタズラしておるではないか!」
「ふふふ。せっかくのハロウィンですし、たまには公務を忘れて楽しみませんか?」
「うむ、そうしよう」
「お菓子を集めるのに大ババ様の容姿が役に立……冗談ですって」
「大ババ様と呼ぶでないわ!」
そう言いつつも、アーデルハイトはザカコにもシャンバラ山羊のアイスをくれた。
ザカコとアーデルハイトは、一緒にパーティーを回る。
「普段の大ババ様も素敵ですが、こうして容姿相応に楽しむ大ババ様もかわいいですね」
ザカコは、アーデルハイトの手を取って、笑顔で言う。
「だから、大ババ様と呼ぶなと言うに」
「え? でも、かわいいと思いますよ、大ババ様って」

★☆★

一方、エリザベートは。
神代 明日香(かみしろ・あすか)と一緒に。魔女の格好をしてはしゃぎまわっていた。
なお、「魔女の格好」は、アーデルハイトのような服ではない。
「アのつくあの人は、
ウィザードのスキルとメイドのスキルが使えるから
魔女じゃなくて実は魔法少女なんじゃとか思ってるからではなく、
どう考えても恥ずかしい格好だからです。
恥ずかしがる姿を他の人に見せるなんてとんでもない!」
というのが、明日香の意見だったが、そんな余計なことはエリザベートには伝えていない。
「アスカ、あっちにもいっぱいお菓子がありますぅ!」
「はーい、エリザベートちゃん!」
荷物持ちならぬお菓子持ちとして、明日香は付き従う。
(ざんすか達の騒ぎの時とか、
ちょっとクールな視線で騒動を傍観してるエリザベートちゃんもいいけど、
子どもっぽくはしゃぐエリザベートちゃんもかわいいですねー)
「ん? アスカ、どうしたですぅ?」
「ふふ、なんでもありませーん」